異世界にやってきた俺は、チート能力を駆使して全力でスローライフを楽しむ!
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洞窟の奥深く
視野を赤外線に変更する。
可視光に反応する罠は以前の世界で見かけたものだ。
とはいっても、可視光の範囲になったのは結果的にだろう。
人間を倒すための罠、なのだから。
ただこういった赤外線の範囲にするひと手間をかけるよりは、前の世界でやっていたように力技で罠をすべて消滅させる、という手もあるのだが今回はこの先にある“気配”の関係上、手荒な真似はしないようにしようと考えたのだ。
それに罠を崩せば敵に気付かれる可能性が高い。
「気づかれない方が敵を倒しやすいからな。……しかし、また糸状のものが張り巡らされていて……引っかかると気づかれるのか。そして足元や横には罠が敷かれている……こちらは魔力を感じ取らないと見えないか。読んでみると光をやはり感知するタイプだな」
そう呟きながら俺は違和感を感じる。
やけに、前の世界のものと似通っていないか?
同じ人間だから似たような発想をしたり、その結果、進歩の結果が似たようなものになったりすると考えてもいいが……。
「対戦は前の世界では終結させたが、残党はまだ残っていたはず。そちらの方の戦いは、あの世界の“仲間”にお願いしてきたはずだが……まさか、世界までは渡ってこないよな……」
嫌な予感を覚えて俺はそう呟きながら、その場から軽く地面を飛びあがる。
上の方に張られた糸などを飛び越えて、罠の魔法陣同士の隙間に着地する。
魔法が使われたと感知できないような量で効率を重視しながらそこを飛び越えていく。
そういえばこういった繊細な魔法の使い方を俺が考えて使ったときは、前の世界で“神業”だと言われた。
また、“異世界人”は“魔力感受性”が高いために、これができるのだろう、とも。
ちなみに魔力が強いと、“魔力感受性”が高い傾向にあるという。
それらを思い出しながら更に洞窟の奥の方に進んでいく。
赤外線による映像は、中のものがはっきり見えるものの白黒映像のようで、あまり気分のよろしいものではない。
そう思いながら進むとやがて、地面に敷かれた罠がなくなる。
代わりにさらに奥に進んだ場所で、別の魔法を感じる。
それと干渉しないようにといった配慮があるのかもしれない。
しかもそちらから流れてくる水は、二種類に分かれていて、俺のすぐそばの足元で混ざり合っているようだった。
「浄化された方の水と、“邪悪に汚染されたような水”の二種類か。だが、だいぶ弱っていそうだな……急ごう」
そして俺は再び歩き出す。
治療の方法も前の世界の知識と経験でおそらくは何とかなる……ならなければ誰かに頼むのがいいだろう。となると、
「……昨日会ったあの人たちは騎士団だといっていたからまだ信用できそうか? 味方にスパイが紛れ込んでいる場合もあるが、この世界はまだ平和そうだし信じてもいいか……様子を見て考えよう」
そう、失敗した時のことを考えてさらに歩みをすすめる。
柱のような物がいくつもある場所を潜り抜けて、そして洞窟の一番奥にたどり着く。
そこには……一人の少女が、囚われていたのだった。
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