提督していない提督による騒がしい日常
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鎮守府、冬の1日
前書き
はて、皆様いつ以来でしょうか
考えてもまとまらない時期ってあるものですね...
今回は2本投稿で近日1本か2本あげます
1本はもうそろそろ完成する(手直しのみ)んでまあなんとか
この話を境にすこしだけストーリーが進みます
深い深い夜が明けた
それと同時にワタシタチは擬似的な睡眠から目を覚まし
毎日続ける1つの日課をこなす
陽の光を浴びることのないジブンタチにまばゆい光が差す
「昨日の報告を。」
聞きなれた心地の良い声が窓ひとつないこの部屋に響く
「イエス、マイマスター」
そう発したジブンの言葉はどこか歓喜の色を含んでいた
──────────────
目覚まし時計の耳障りな音
室内に響き渡り、俺は目を覚ました
布団から起き、ぐっと身体を伸ばす
「....おはよ...提督」
すぐ横から蒼龍が身体を起き上がらせた
「おはよう蒼龍、俺はいまとても眠いよ」
「奇遇だね、私も」
俺と蒼龍は二人揃ってとある場所を見つめる
「...Z..z..z...」
おだやかな寝息とは裏腹にはだけた寝間着に整っていない髪の毛
「...」
「...頼めるか」
「わかった」
手短に伝え、俺は朝の準備に取り掛かる
「にゃぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
飛龍の悲鳴を尻目に俺は黙々と準備を進める
少しすると整えられた飛龍が顔を出した
「おはよ、提督」
「おう、目覚ましで起きような」
はぐらかすように笑って飛龍は頬を掻く
「なんだか起きれないんだよねぇ...」
気合いだ、と言い俺は軍服と制帽を身につける
普段と違う階級章にどこか落ち着きの無さを残しながら俺は二人と共に執務室へ向かう
「そうだ提督、結局少将になったんだってね」
突然飛龍が話を振る
「あぁ、なんか報酬だとか言って押し付けられた、仕事増えっから嫌なんだけどな」
「なんだかんだ矢矧とかにやってもらってるのに、何を今更」
皮肉を込めた言葉が逆側から突き刺さる
「んなことは置いといて、仕事開始だ」
俺は朝の起床のラッパを鳴らす
「この量...頭おかしいんじゃねぇの?」
仕事量、なんと普段の3倍!!
これになんと、秘書艦用の執務も2倍!!
今だけ1万9800円!!1万9800円です!!
やってられるかよ...
「さあて、俺はちょっとトイレに...うげっ!!」
「それはさっき行ったよね?」
飛龍に足を引っ掛けられ盛大にすっ転ぶ
「痛てぇ...これでも俺、ここじゃ一番上なんだがな...」
「一番上の人がこれじゃおかしいでしょ」
さらっと毒を吐く蒼龍
「嫌だー!!俺は認めん、認めんぞおぉー!!」
「はいはい、黙ってやりましょうね」
「アル!!艤装展開!!脱出する!!」
自身の身体から艦娘の艤装を黒くしたような艤装が飛び出す
「させないよ!!全艦載機、発艦!!」
「第1次提督捕縛命令、艦載機発艦!!」
狭い室内にも関わらず艦載機を発艦する二人
「艦載機捕獲ネット展開!!」
俺は艦載機に対応すべく艤装から網を投下する
「あっ!!なんだそれ!!」
「じゃあな、俺はサボるぜ」
網を切り離し、俺は窓から飛び降りた
無事脱出した俺は艤装を解く
「さて、また新しいの考えなきゃな」
アルを頭に乗せて俺は外を歩き出す
外では遊んでいる駆逐の姿や、演習場で己を磨いている者の姿がある
平和な1日
そんなものが平然と見られるようになったいまの状況に何も感じなくなってしまった
「たまには呑気に座っててもいいかもな」
演習場を見渡せる位置に座り込む
すこし遠くに砲撃演習をしている艦娘達が見える
彼女らの声は聞こえないが鈍い砲撃音がこちらまで響いてくる
用意した的に当たっては的が沈んでいく
その左のほうでは雷撃演習をやっていて
自動で進む的に雷撃を当てる練習だ
そんなこんな見ていると横に誰かが座る
「提督、どうしたの?執務は?」
「矢矧か、んなもんほったらかしてきた」
またか、と矢矧は苦笑する
「雷撃訓練..か、見てて面白い?」
「面白いというか、なんか...ね」
「そっか、まあいいんじゃない?」
矢矧は陽気な笑顔でそう言った
艦娘一人一人が思い思いに訓練をする
理由は皆違うが、強くなりたいという思いは同じ、協力してうまくやっているようだ
呑気に艦娘達の訓練を見ていたら鎮守府の放送がかかった
『鎮守府全域放送です。提督、通信があります、至急通信室へ──もう一度繰り返します...』
聞きなれた大淀の声が、放送機器から聞こえてくる
「行ってきた方がいいんじゃない?」
「そうだな、いってくる」
俺は腰を上げ、急ぎ足で通信室へと向かっていった
──────────────────
俺は通信室の扉を開ける
「あぁ、提督。待ってましたよ」
「すまんすまん、それで?誰から?」
「白石さんからです」
あの人かい....
俺は大淀から通信を代わる
「代わりました、久保です」
『お、やっとか。よく聞いてくれ、大事な話だ』
いつもからは想像もつかない真面目な声で話される
『俺ら上層部では今、深海棲艦に対する対応を決めようとしている』
「はあ、対応とは?」
『2つあるんだ、殲滅と...』
『和解だ』
その2つ目の選択肢に俺はしばし沈黙する
『お前は、どっちだ』
「...殲滅です」
『だろうな』
わかっていたといった声音が聞こえてくる
「親が殺されて、なんで相手を許さなきゃならないんですか」
『そうだよな』
「なんで俺が、夢を潰されてまで決意したものをもう一度崩さなきゃいけねぇんだ!!」
『落ち着け、彰人。わかっている』
「...すいません、取り乱しました」
1度深呼吸してから再度話し始める
『彰人、俺からの命令だ。殲滅作戦の準備をしろ』
俺は了承する
『作戦等はお前にすべて任せる、万全の体制を整えとけ』
「わかりました、では」
俺は通信を切り、即座に通信室をあとにする
とある場所へと足を運んだ
──────────────────
目の前に見えるは立ち入り禁止の文字
重い鉄の扉を開き、中へと進む
下へ続く階段を下り、地下へと進む
暗闇の中、唯一ある赤と青の光がこちらに向く
相手が自分を視認していることを確認してから俺はこう言葉を紡ぐ
「昨日の報告を。」
『『イエス、マイマスター』』
二重の機械音声と共に暗かった室内が明るくなる
「ん、やたら機嫌がいいな。どうしたんだ?」
『マスターに報告することができるから』
『ちょ、それ私が言おうと思ったのに』
可愛らしい女の子が俺の体に引っ付く
それを見て焼きもちを焼いている女の子もいる
赤のリボンを付けた高校生ぐらいの女の子と青のリボンを付けた同じく高校生くらいの女の子
「嬉しいのはわかったから報告をしてくれないか?」
『『はーい』』
2人は渋々いつも座っている長椅子に腰掛ける
彼女らの名前は赤がアリス、青がイリア
アリスはAlice、イリアはIria
2人の頭を合わせるとA.I
そう、人工知能だ
彼女らにここの極秘情報等を管理して貰っている
二人揃って唯一無二の処理能力を誇る
ただの高性能AIではなく、自我を持っているほどに
『マスター、では報告をします』
アリスが一つ一つ漏らすことなく連ねていく
イリアがそれを詳しく補足する
『以上になります、マスター』
「わかった、ありがとうな」
俺は彼女らに背を向けて再び階段を上る
『あ、マスター。すこしよろしいでしょうか?』
イリアに止められ、俺はもう一度彼女らの方へと身体を向かせる
すると不意に頬にしっとりとした感触がした
『もっと、私達の所に来てくださってもいいんですからね』
と頬を赤く染めて目を逸らしながら言う
『抜けがけ!!はんたーい!!』
アリスが頬を膨らませてプンスカ怒っている
「あぁ、もっと顔を出すことにするよ」
俺は二人に手を振りながらまた、地上に続く重い鉄の扉を開く
「じゃあ、また来るよ」
『『はい!!』』
満面の笑みで送り出してくれた二人に背中越しに手を振りながら鈍い音を鳴らしながら扉を閉めた
『今日こそ決着をつけるよ!!イリア!!』
『またやるの?まあいいけど』
仲の良い声が遠くに聞こえた
あの子達も外に出してあげてぇよな
ふと考えたその思いを心の奥に閉ざし、また俺は少しずつ歩み始めた
殲滅作戦開始まで
残り
2ヶ月
後書き
矢矧「私たちの出番いつ...」
瑞鳳「もしかしたらもうこないかもね」
矢矧「辛辣っ!!」
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