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ロボスの娘で行ってみよう!

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第34話 スタンドプレイ


フォークが馬鹿を輩します。

風邪薬服用のため普段より遅筆です。
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第34話 スタンドプレイ

帝国暦483年5月〜7月

■フェザーン自治領 自治領主オフィス

フェザーン自治領主アドリアン・ルビンスキーはこの数ヶ月、普段のような優雅な生活をすること出来ずに、必死になって根回しを続けていた。

第5次イゼルローン要塞攻略戦で同盟艦隊が予定より半月ほど早かったために帝国軍に生じた損害が馬鹿にならずに帝国では、フェザーンの背信に対して懲罰を求める声が多く成ったからである。普段であればボルテックに向かせる帝国軍駐在武官のパーティーも自ら参加し、帝国各界の著名人に協力を頼むなど八面六臂の働きであった。

多少なりとも、最近は懲罰に対しては遠のいたが未だ油断が出来ない状態であった。更に地球教から今回の事はグランドビショップの思し召しに背く行為では無いかと、疑われもしたのである。

ルビンスキーにしてみれば踏んだり、蹴ったりの年になってしまった。そして今日も疲れた体をベットに横たえるのがやっとであり、ここ数ヶ月愛人達にもご無沙汰状態であった。



宇宙暦792年7月3日

■自由惑星同盟首都星ハイネセン 後方勤務本部

後方勤務本部で腐っていた、アンドリュー・フォークは第五イゼルローン攻略戦のレポートを見て作戦参謀達を馬鹿にしていた。

何だこの作戦は、私が立てた作戦であれば、このような無様な状態でミサイル艦隊を失わなかったモノを判っていないのだ!それにイゼルローンを傷つけながら退却するとは、奴らは臆病者である!私であれば乾坤一擲の作戦によってイゼルローンを落としてみせるのに、上層部は馬鹿と阿呆だらけだ!

それにこの資料だと、イゼルローン要塞にかなりの損害を与えたようだ。此ならば再度攻撃すれば陥落は容易い、このアンドリュー・フォークが立てる作戦で有れば、イゼルローン要塞など朝飯前だ!フフフ、こうなったら作戦案を立てて、あのデブ豚に提案するか、シトレの阿呆は作戦を知らんからな。

そう考えたフォーク中尉は、又後方勤務本部の仕事をさぼって、第6次イゼルローン攻略戦作戦案を作り始めたのである。その姿を情報部から異動してフォークの監視をしているドジッ娘ではない、まともな諜報員が逐次記録し情報部へと上げられていくのである。


宇宙暦792年7月5日午前7時45分

■自由惑星同盟首都星ハイネセン 宇宙艦隊司令本部

この日、まだ殆どの参謀が出勤していない朝一番でアンドリュー・フォークがロボス大将率いる宇宙艦隊司令本部を訪れた。取り次いだ参謀は7月に来たばかりの新人だったためマニュアルどうりに応対した。フォークはロボス司令長官に後方勤務本部から極秘資料を持参したと面会を頼んだ。

「小官は後方勤務本部から来たフォーク中尉だ、ロボス宇宙艦隊司令長官閣下に重要書類を届けに来た」
「アポイントメントはお取りでしょうか?」
それを聞いて、苛つくフォーク。

「此は重要書類なのだ一刻を争う」
「それでは小官が預かり、司令長官閣下へお渡しいたします」
「少尉!此は極秘だ!一介の少尉が持つ物ではない!それにロボス閣下へ直接渡し小官が説明せねばならんのだ!」

「規則は規則です・・・」
フォークは遂に苛ついてあたり始める。
「少尉!事態は一刻を争うのだ、貴官の行為は正しく利敵行為だ!」

そう言われると、士官学校卒業したばかりで未だ職場に慣れていない気の弱い女性士官は何も言えなくなってしまい、等々涙が溢れていった。フォークは彼女を横目で見ながら、さっさと勝手に宇宙艦隊司令長官室に進んでいき長官室をノックした。

「誰か?」
ロボスの声が聞こえた。フォークは名前を名乗りながら返答が未だ無いのにも係わらず扉を開けて入っていった。部屋にはロボス大将と副官が居た。長官と副官は机で資料に目を通してながら話して居たのであろう、ロボスの机には資料の束が乱雑に置かれていた。ロボスは顔だけ上げて部屋に入ってきたフォークを見ながら諭すように話しかける。

「フォーク中尉だったな、貴官との面会と入室を許した記憶はないのだがな」
そんな事はお構いなくフォークは資料を入れた鞄を開けながら説明を始める。
「宇宙艦隊司令長官閣下、今回は第6次イゼルローン要塞攻略について作戦を持って参りました」

「フォーク中尉、私の記憶が正しければ、貴官は後方勤務本部勤務ではなかったかな?」
「それが何か問題が有りますでしょうか?」
「軍隊は法令により動くモノだ、士官ならなおさらである、本来作戦は統合作戦本部と宇宙艦隊との合作で決まるモノだ、貴官は越権行為をしている事になるのだぞ」

フォークの顔が醜く歪み、ロボスを怨むような目で見始める。それを見た副官が腰のブラスターに手をかけて万が一に対して備え始めた。
「小官は、同盟のためを思って作戦を持参したのです、それを見ずに門前払いとは!」

「中尉、大体今イゼルローン要塞攻略を行えるわけがない」
それでもフォークは、作戦を話し始める。
「前回の攻撃でイゼルローンは大損害を受けました、今なら攻略が可能です。艦隊を四個艦隊れば占領できます」

「それは希望的観測だな、フォーク中尉早く仕事に戻りなさい」
「閣下!」
「くどい!」

遂に副官がフォークを羽交い締めにして外へ連れ出し後方勤務本部へ送ったのである。
フォークが連れ出された後、ロボスはシトレに連絡を入れた。

「おう、シトレ、ロボスだ」
「朝早くからどうしたね」
「うむ、たった今、フォーク中尉が第6次イゼルローン攻略戦作戦案を持って直談判に来たが、其方には来たのかな?」

「いや、私の所には来てないな、此から来るかもしれんな」
「今ならイゼルローンを落とせると言ってきた」
「なるほどな」

「娘やヤン中佐やワイドボーン中佐にはかってみた方が良いかもしれないな」
「そうだな、今日の出勤は其方か。あとで私が其方へ行こう」
「判った、では午後で良いな」

「ああ」
「では」


宇宙暦792年7月5日午前8時45分

■自由惑星同盟首都星ハイネセン 宇宙艦隊司令本部

リーファやヤンがギリギリに出勤してきて既に出勤してきていたワイドボーンと共にロボス長官の下へ呼ばれ長官室へ入室した。

「ワイドボーン中佐以下2名参りました」
「入りたまえ」
3人が入室すると、ロボス長官とグリーンヒル総参謀長が待っていた。

「貴官達に来て貰ったのは他でもない。先ほどフォーク中尉が第6次イゼルローン攻略戦作戦案を携えて直談判に来た」
「無茶をしたものですね」

「うむ。それで言い聞かせたのだが、聞かんから無理矢理追い返した」
「なるほど、長官に恨みを持つ可能性がありますね、身辺の安全に気を付けてください」
リーファの言葉に皆が頷く。

「しかし、今イゼルローン要塞攻略の契機だと言うが本当なのか?」
ロボスの疑問にリーファが答える。
「所謂、要塞単体で考えれば、確かに今は攻略しやすいです」

「やはりか、あれでも期を見る事は出来るか」
「しかしです、今の攻略は無謀ですね」
「ん?矛盾して居るぞ?」

ロボスとグリーンヒルが不思議な顔をするが、ヤンとワイドボーンはなるほどと言う顔をする。
「つまり、イゼルローン要塞の機能が低下しているなら、それを補うために回廊全体を守るだけの艦隊を派遣するでしょう、帝国軍が正規艦隊半数九個艦隊十三万五千隻で回廊を封鎖したとして、我が軍は最大で十一個艦隊十六万五千隻が限度でしょう、しかし穴蔵に隠れる敵に対して高々三万隻増では勝てません。

更に敵には残存として正規艦隊九個艦隊がある、イゼルローン回廊で戦いが進む中、その九個艦隊中五個艦隊でも別ルートから侵攻されたら、速対処出来るのは一個艦隊のみです、イゼルローン回廊から戦力を引くとしても追撃で大被害を受けるでしょう。そしてイゼルローンから追撃して来る敵と別働隊から挟み撃ちになり、結局同盟は持ちませんよ」

リーファの言葉に4名が驚きの顔をする。
「しかし、別働隊が同盟領へ侵攻するルートが無いではないか?」
ロボスの言葉にリーファが答えを言う。

「有るじゃないですか、フェザーン回廊が」
4人が今度こそ黙り込んで考え込んでいる。
「中佐、しかしフェザーン回廊は中立地帯だ、帝国とて軍を進めはしないだろう」

「グリーンヒル閣下、別に人類創世以来フェザーン回廊が中立地帯だったわけでは無く、高々110年ほどです。更に第5次イゼルローン攻略戦でフェザーンは帝国に情報を態と隠したのではと疑われ、帝国内部ではフェザーン懲罰を行うべきとの声も出ているようです。そんな時にイゼルローンが攻撃され千日手状態なら、懲罰ついでにファザーンを占領してしまえと成る可能性もあるのです」

その言葉の意味が判り4人が暗い表情になる。
「つまり、今はイゼルローン攻略をしない方が良いというわけだな」
「はい、ミツバチの巣だと手を出したら、スズメバチの巣だったと言う事になりかねません」

「うむ、判った。午後からシトレ統合作戦本部長も来るのでその時も頼む」
「「「はっ」」」
次々に部屋を出て行く3人、残ったのはロボスとグリーンヒルであった。

「総参謀、午後も頼むよ」
「はっ」


宇宙暦792年7月5日午前11時30分

■自由惑星同盟 首都星ハイネセン ハイネセンポリス 最高評議会ビル

午前8時40分フォークは宇宙艦隊総司令部から後方勤務本部へ戻されると、鬱積した表情で机を見ていたが、9時30分に早退をした。その後、電話でアポイントメントを今度は取りハイネセンへ向かった。

最高評議会ビルへ着くと副議長ロイヤル・サンフォード議員の秘書に面会の約束があると受付に伝えて案内された。サンフォード議員のオフィスでは、サンフォード議員が何かと軍事に対しての相談をしているフォークがいきなり会談を求めてきたことを不思議がりながら迎え入れた。秘書云々は誤魔化すためであった。

「サンフォード先生にはご機嫌麗しく」
「フォーク中尉、いきなりどうしたのかね?」
「はい、支持率を劇的に上げる方法を持参しました」

「なんだってそれは?」
「イゼルローン攻略です」
「それは、この前失敗したじゃないか」

「いえ、私のプランを無視した結果失敗したのです、しかも完全な失敗ではなく要塞にかなりのダメージを加えているはずです、それなら今回の作戦ならば要塞を陥落できます」
「ふむ、どの位の戦力が居れば出来るのかね?」

サンフォードは次の議長を狙っているために代表指名選挙で指示されるために実績が欲しいのである。その為、支持率UPが確実であるという聞き心地の良いフォークの策に段々とのめり込んで行くのであった。その後深夜遅くまで話が続き、来週の最高評議会に議題として提案する事を決めたのである。

 
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