ABULHOOL IN ACCELWORID
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電車を降り、ホームを後にする。
そこでニューロリンカーのマネーが自動精算され、視界の端に文字が浮かぶ。
「俺の予想ではシアン・パイルは昼過ぎまでは攻めてきません」
「どういう事かね?」
「シアン・パイルが俺の想像通りの人間なら、昼までは動けないって事ですよ」
駅を後にした。
スーっと病院の自動ドアが開いた。
「そういえば病院入るならニューロリンカーを院内ネットに繋げる必要がありますけど…大丈夫なんですか?」
「問題あるまい。"病院等の生命に関わる施設における戦闘は極力避ける"バースト・リンカーの暗黙の了解だ。
覚えておくといい」
「そうなんですか?」
「ああ、バーストリンカーが事故や病気等で入院している時…さらに手術中等は完全に無防備になってしまう」
それもそうだな…
「数年前にソレを専門とするレギオンがあったが…
七王のレギオンに殲滅された」
自業自得だな…
そしてそんな中で対戦を挑んで来るのは…シアン・パイルくらいか…
まぁ…計画ではこちらから仕掛けるのだが…
「黒雪姫先輩…ネガ・ネビュラスも参加したんですか?」
「ああ、七王会議の前だったからな」
そう言った黒雪姫先輩は寂しそうな顔を見せた。
「あ、えっと、すいません」
「なに、昔の事だ。気にするな」
黒雪姫先輩は俺の頭を撫でてくれた。
「うにゅ…撫でないでください」
「いいじゃないか。可愛いのだからな」
「むぅ…」
"可愛い"って時々言われるけど全く嬉しくない…
"かっこいい"って言われたい。
「ほら、こうしてる間に認証が終ったぞ」
「じゃ、行きますか」
そして病院の奥へ奥へと向かう。
「お、おいハルユキ君。予約はしてるのか?」
「予約?要りませんよ。アイツは暇ですから」
「ちょ!予約無しって…ここは病院だぞ?」
あ、あぁ…そっか…普通ならそう思うよね…
「アイツは医師じゃありませんよ。大学院生です。
病院の設備を使うため特例でこの病院に研究室が置かれてるんですよ」
今から行くのはソイツの研究室だ。
予約は無いが…まぁ…アイツなら俺が来るのはわかってるだろうな…
「大丈夫なのか?」
「まぁ、この両腕とコネクターを造ったのはアイツですし。
大丈夫ですよ」
「め、免許は?」
「ないですよ。この腕もコネクターも試作品です」
話している間に、目的の部屋に到着した。
その入り口には、対極図が描かれていた。
「な、なんだねこの部屋は?」
「アイツの研究室ですよ」
対極図の中心に両手を当てる。
UNLOCKED
対極図が割れ、そこに円形の入り口が開いた。
「おーい!コロバセ!来たぞ!コロバセー!」
中には人の気配が無い。
その部屋はよく分からない機材などが散乱していた。
「奥か…」
その足の踏み場もないような部屋を通って更に奥にある部屋へ向かう。
先と同じように扉を開け…
中にあった和室に入る。
「おー…居た居た。来たぞコロバセ」
そこには振り袖(的なナニカ)を纏った少女がいた。
少女は卵型のなにかの上に寝ていた。
「待ってただや…ん?そっちは誰だや?」
「学校の先輩。お前なら知ってるだろ?」
「一応聞いただけだや」
コロバセと話していると…
「ハルユキ君。彼女は誰かね?」
部屋が、少し寒くなった気がした。
「この変な語尾の年齢詐称女はコロバセ タクミ。東京大学大学院機械医療科の秀才にして東大院一の変人。
で、一応俺の遠い親戚…らしい」
「酷い言い方だや…まったくその腕を造ったのは誰だと思ってるんだや?」
「ハハーカンシャノキワミー」
「ムカつくだや…!」
「大学院生だと?……………見えんな」
「でしょ?威厳もクソもないでしょ?」
「うるっさいだや!」
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