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ロボスの娘で行ってみよう!

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第32話 論功行賞


バクダッシュ初登場。

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第32話 論功行賞

宇宙暦792年6月5日

■自由惑星同盟 首都星ハイネセン 

第5次イゼルローン要塞攻略戦を終えた、同盟艦隊四万二千隻が帰投してきた。
イゼルローン要塞に肉薄し大損害を与えたうえ、敵艦隊一万数千隻を撃破したのにも関わらず。損害が三千隻程度に済んだことは、奇跡的であると称されたのである。

流石エル・ファシルの英雄達が率いる艦隊だと同盟市民に印象付かせる事に成った。
政府としてもイゼルローン要塞攻略戦は失敗に終わってはいるが、敵に大規模な損害を与えた上で味方の損害が軽微であるとの理由で、支持率もある程度は安定した為、今回の作戦は成功裏に終わったと考えているのである。

同盟市民の歓喜の中各艦隊司令官、参謀などが順次帰投してくる、その中には大失敗をしでかしたホーランドも居たが、政府が作戦は成功裏に終わったとの談話を聞き、反省の色もなく自分の手柄のようにTVカメラや新聞記者に挨拶をして話しかけるが、全く相手にされなかった。

逆にシトレ、リンチ、ヤンは、マスコミに揉みくちゃにされながら、インタビューを受けている。リーファは横目で見ながら、イブリン達を連れさっさと統合作戦本部へと向かうのであった。
ヤンはリーファに又押し付けられたと、うんざりしながら質問に答えるのであった。

その放送を見て、ヤンが好きで胸をときめかす士官学校女子生徒が1人と意地悪な祖母に虐げられながら、ヤンを尊敬する少年が1人居たそうだ。


■自由惑星同盟 首都星ハイネセン 統合作戦本部

統合作戦本部に帰還したリーファは、本部長へ帰還の挨拶を行う。
「ロボス少佐以下2名無事帰還しました」
「御苦労、良く帰ってきた」

挨拶が終了後に雑談を始める。
「少佐の指摘通りに進んだようだね」
「はい、敵はミサイル艦隊は関知していましたが、並行追撃には気がついていませんでした」
「やはりな、情報局からの報告で、ネズミがかなりかかったよ」

「それは何よりです、此で英霊も多少は浮かばれましょう」
「そうだな、所でホーランド大佐が見事に勘違いをしてマスコミから総スカンを食らっていたぞ」
「それは、見物でしたね」

「録画してあるから後で見ると良い」
「はい」
「あれぐらいの失敗をすれば、少しはまともに成るかと思ったが期待はずれだったようだ」

「自意識過剰は、フォークと変わりませんからね」
「そのフォークが、知らぬうちに情報漏洩の片棒を担がされたようだな」
「どのような状態でしょうか?」

「酒を飲まされた挙げ句喋ってしまった様だな」
「なるほど、哀れですね」

「まあ、詳しい事は今度バクダッシュ大尉に質問してくれればいい」
「了解しました」
「まあ、明後日から作戦考査会が開かれるので、それまでは休養することだ」

「しかし、ネズミに関しては」
「あまり情報部の仕事を取らないことだ、彼等が失業してしまうぞ」
冗談を言う本部長にリーファも折れる。
「判りました」


宇宙暦792年6月7日

■自由惑星同盟 首都星ハイネセン 統合作戦本部

第5次イゼルローン要塞攻略戦の作戦考査会がこの日開かれた。

参加した各艦隊司令官、参謀長、分艦隊司令官、参謀、統合作戦本部員などが集まり大会議室で反省会が開かれているようなモノである。

無論スパイに関しては、何処から漏れるか判らない為に上層部は言わないことになっていた。
結果的にやり玉に挙がったのが、ホーランド大佐の提案したことになっている。ミサイル艦隊による奇襲が失敗したことに対する計画の杜撰さに対するモノが多かった。

ホーランドに統合作戦本部参謀の大佐が指摘したことは、既に数年前からミサイル艦隊による奇襲は作戦案の中に有り、その利点や欠点があるにもかかわらず、それを改良もせずに只漫然と作戦を行ったのはどう言うつもりなのかと指摘があった。

ホーランドに言わせれば、作戦案は宇宙艦隊で承認されたのであり、私だけの責任では無いと言い張ったのである。結果的に宇宙艦隊総参謀長サダ中将がホーランドを抑えきれなかったと非を認めることになったが、此もシナリオ通りの結果であった。

宇宙艦隊側が非を認めることで、ホーランド自身も非を認め無ければ成らなくなる様にしたのである。更にサダ総参謀長が責任を取る為退任を発表した事で、ホーランドは二進も三進も行かなくなり、更に軍内部で孤立することになるのである。

次々に作戦の効果や欠陥などが上げられていき、非常に有意義な会議になっている。一部の馬鹿を除いてだが、その中でヤンやワイドボーンの作戦案も優れていると評価された。リーファは裏方でお客さん扱いなので、話題にのらないようにしている為、ホーランドに目の敵にされる事もなく終わるのである。


宇宙暦792年6月9日

■ハイネセン市街 レストラン ココロポトス

午前中繁華街のブテックで買い物をしてその後、食事の為にレストランに普段着のリーファが1人でぶらりと現れ入店しウェイターに案内されてテーブルに着くと食事を注文した。

暫くしてウエイトレスがワインを持ってきたが、ドジッ子なのかリーファの手前ですっ転び、ワインをリーファにぶちまけた。頭からワインをかぶりベタベタになる。ウエイトレスは慌てて泣き出し、ウェイターやマネージャーが慌てて出てきて謝りまくる。その後、着替えとシャワーを浴びる為にバックヤードへと案内されていくのである。

バックヤードへ付くと、ウェイターの1人が笑いながら話しかけてくる。
「少佐、水も滴るいい女ですな」
「大尉、はっ倒すよ!」
「おお怖い」

頭をタオルで拭きながら、リーファが大尉と言う男と話し始める。
「始めまして、バクダッシュ大尉ですね、小官はロボス少佐です」
その言葉を聞いたバクダッシュがエッという顔をして話し出す。

「少佐と小官は同期なんですが」
その言葉を聞きながら、ニヤニヤとリーファは話す。
「そんな髭の大尉は見たこと無いけどね」

「それは、士官学校時代は髭は生えてませんでしたよ」
「剃ってくれれば、思い出すわよ」
バクダッシュはからかわれていると知り、しょうがないと諦める。

「そいつはご勘弁を、此れはトレードマークでして」
「いいわよ」
「全く、昔からからかわれていましたからね」

「頼りになる情報部員だけど、あのドジッ子もそうなのかい?」
「新人ですけどね、あのドジは役に立ってます」
「まあ、自然だしね」

「本部長からのネズミ狩りですが、順調に進んでいます。現在は監視に止めていますが何時でも行ける状態になりつつあります」
バクダッシュは資料を見せながら話す。

「此は、後方勤務本部大佐か、横流しをして私腹も肥やしていると」
此がイブリンの不倫相手になるかもしれない奴か、今の内に対処しておこう。
「そうですね、今回横流しも発覚しました」

「バクダッシュ大尉、この男に妙齢な結婚願望が強い様に見える諜報員を部下として送り込み、愛人関係になり監視するようにしてくれないかしら」
「又どうしてですか?」

「後輩にこういう輩に引っかかりそうなのが居るんだよね」
バクダッシュがそれを聴いて苦笑する。
「ドールトン中尉ですな、判りました、中尉を守る為に部下を配置しましょう」

「流石、情報一筋〜300年早いの安い旨いの♪だねw」
「どこの、テーマソングですか」
「まあ頼むわ」
「了解しました」

その後べたつきを取り着替えた、リーファは謝られながら店を後にするのであった。



宇宙暦792年7月1日

自由惑星同盟軍の新人事が発表された。

統合作戦本部長エーデルガルト元帥が老齢で退任し、
統合作戦本部長にシトレ大将が就任。
宇宙艦隊司令長官にロボス大将が就任。
総参謀長にグリーンヒル中将が就任。

憲兵隊総監にサダ中将が就任、此は最初から決まっていたことであり、ホーランドを巻き込む為に態と総参謀長退任を発表したのである。

宇宙艦隊作戦参謀兼統合作戦本部員にヤン中佐、ワイドボーン中佐が就任。
統合作戦本部員のドールトン、スールズカリッターが大尉に昇進。
リーファは今まで通り宇宙艦隊作戦参謀兼統合作戦本部員で中佐に昇進した。
アッテンボローも大尉に昇進したが、配属場所は第四艦隊のままであった。

各艦隊司令官も変更が有った。

第一艦隊司令官  ロボス大将兼任   
第二艦隊司令官  コーネフ中将       
第三艦隊司令官  ルフェーブル中将 

第四艦隊司令官  クブルスリー中将  
第五艦隊司令官  ビュコック中将   
第六艦隊司令官  パエッタ中将
    
第七艦隊司令官  ホーウッド中将   
第八艦隊司令官  アップルトン中将 
第九艦隊司令官  アルサレム中将   

第十艦隊司令官  ウランフ中将    
第十一艦隊司令官 リンチ中将       
第十二艦隊司令官 ボロディン中将
   
ホーランド大佐のまま昇進できず、第五艦隊に預けられてビュコック提督の下で根性を叩き直されるのであった。逆にホーランド艦隊に決死隊として参加した将兵150名は全員が作戦終了後に一階級昇進し、更に今回の人事で一階級昇進し、最終的に二階級昇進を果たし、決死の覚悟が報われた事に成ったのである。

またバクダッシュは情報漏洩者を絞り込んでおり、女好きなバルサモ大佐には今回の人事異動で妙齢な結婚願望が強い様に見える諜報員を部下として送り込み、愛人関係になり監視するように命令を出したのである。これはイブリンを守る為にリーファが特に指示を出したモノであった。



リーファ自身は忙しくて6月が過ぎてしまい、ジューンブライドを逃したことを非常に悔しがったが、アッテンボローは人生の墓場へ一歩が少しだけ伸びた事に感謝していたそうだ。
アッテンボローとしても、別にリーファが嫌いなわけではないが、マリッジブルーなのか実感が沸かないのが原因だった。

結局諸般の事情で結婚式は10月10日に行われる事が決まり、式場もキャゼルヌ先輩の行った場所で決まり、準備が進んで居るのである、忙しいリーファであるが暇を作っては、キャゼルヌ夫人の元へ向かい色々教え込まれているのが、旦那からアッテンボローやヤンに伝えられたのであった。

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一部改訂。
 
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