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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第七章 C.D.の計略
  驚愕!過去での遭遇者

これまでの仮面ライダー電王は


次々に現れるデミライダーに対し、独自に調査を始めた野上良太郎。
すると、先の戦いでブレイドに敗れた久遠レイカが、イマジンに干渉を受けている疑いが出てきた。

かざしたライダーパスに出現した日付は、歳は違うものの良太郎の誕生日と同じ日だった。
いったいこれには何か意味があるのか?

ともあれ、彼らはデンライナーへと乗り込んだ。


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「時の列車、デンライナー。次の行き先は、過去か、未来か――――」

「いや、過去だろ。何言ってんだおっさん」


どこともなく、天井を見ながらつぶやくデンライナーのオーナーにツッコミを入れるモモタロス。
現在、彼らは「時の砂漠」を走り、ライダーパスに写っていた時間へと向かう最中だ。

その途中で、当然オーナーに聞けること聞いている。
即ち、契約者以外の人間の時間に干渉は可能なのか否か、だ。


「結論から申しますと、不可能ではありませんねぇ。とは言いましても、正規の手段ではありませんが?」

「どういうことですか?」

「まずイマジン自身の実体化、そして時間の確立が絶対条件です。さらにいうなれば、そこから自由に移動するための手段―――時の列車が必要不可欠となります。つまり」

「僕らに―――電王に対応した、デミライダー?」

「それしかないでしょうな」


時の列車は、このデンライナーだけではない。
共に戦ったゼロノスの乗るゼロライナーに、かつて封印され牙王に利用されたガオウライナー。

更には幽霊列車にネガデンライナー、未来を奔るNewデンライナー。
もっと大きい規模だと車両基地が変形したキングライナーに、列車ではないが時を走る戦艦なんてものもあった。


そう、この世界にはまだ見ぬ時の列車があっても、何もおかしくはないのだ。

そして、その列車には必ずその時間を守る戦士―――つまり仮面ライダーが存在する。
とはいってもそのライダーの目的が善か悪かはまた別の話だが。

そして、おそらく今回のライダーは悪者、ということになるだろう。


「しかし、それだけの条件があっても全く無関係の人間の過去―――記憶に干渉するとなると、その列車は限られてきます」

「ってことは、見当がついてるってこと?」

「それは・・・・」

ウラタロスの質問に言葉を漏らすオーナー。
そして

「♪それはそれは~、そ~れ~、は~~~」

そんなことを歌いながら、奥に引っ込んでしまった。

こういうところではぐらかすのは彼にはよくあることだ。
しかも厄介なことに、彼は語らないときは絶対に語らない。

あれやこれやではぐらかされてしまうのがオチだ。


「まあ、私もよくわからないのですがね!」

「うわぁびっくりした!!」

と、思っていたら急に出ていった方とは反対車両から大声を出して出てきた。
ひっくり返るリュウタロスに、え?あれ?と狼狽えるウラタロス。

モモタロスはプリン食ってた。
キンタロスは寝ていた。

いつも通りである。


「良太郎君の時間に、その時間を守護するデンライナーがあるように、各世界、各時間に時の列車は存在します」

まあ「電王(我々)の世界」の範囲内ではありますが、と付け足しながらオーナーは話を先に進める。

「しかし、今こうして世界は結合されました。そしてそれから相当の時間が経過しています。で、あれば。様々な世界の要素を取り込んだ時の列車が誕生していても決して不思議ではありません」


つまり、不確定要素が多すぎて彼にも把握し切れていないということだ。
確かにライダー世界でもかなりあるというのに、そのほかの世界に適応したときの列車が誕生していたら把握しきるのも骨だろう。


「ともかく、出会ってみるしかないですねぇ。ほら」

と、そういって杖を窓の外に向けるオーナー。
どうやら到着したようだ。


窓の外には、雨の中の工場が。

四人の男、一人の老人。
そして、その老人を殺害する怪人―――――

四人の男には見覚えがある。
少し若いが、剣崎達だ。

そして、その工場の屋根の上。
剣崎達から見て四角になるところに、一人の女性がいた。


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「ふむふむなるほど、こういう場面ね。んじゃぁ、この記憶持っていきますかね・・・と?」

土砂降りの中で傘を差し、工場の上から戦いの一部始終を見物する女。
その女の背後に、デンライナーが停車する。

「え?どうして?」

「そりゃこっちのセリフだ。なんであんたたちが来てんのよ」


デンライナーから降りた良太郎たちに振り返った女は、そんなチグハグな口調で聞いてきた。

驚きながらも、まあ仕方ない。
そんな感情の入り混じった顔をした女の顔を見て、キンタロスが口にした。


「ん!?おい良太郎。あれ、病院で会った姉ちゃんやないか?」

「久遠、レイカさん・・・」

そう、その女は、久遠レイカだった。
だがおかしい点がいくつかある。

まず、その姿だ。
彼女の姿は、さっき良太郎が病室で会った時と変わりないものだった。
仮に彼女がこの時間の久遠レイカだとして、現在と同じ姿なのは説明がつかない。

次に彼女の記憶と合わない。
かりそめの記憶が本物だったとしても、彼女はこの時には天王路氏の亡骸を抱えているはずだ。

最後に、これは彼女自身のことではないが、下の光景だ。

現在の彼らから見える光景では、天王路氏と思われる老人は、怪人―――アンデッドに殺されている。
彼女の書き換えられた記憶では、仮面ライダーによるものだったはず。

つまり、まだ記憶がーーー歴史が差し変わる前の状態だと言うことらしい。

色々と疑問点はあるが、今この場でやるべきであろうことは一つだ。

「捕まえるよ!!」

「おっしゃ!!いくでぇ!!」

「ちょっとキンちゃん。捕まえるなら、僕の方がいいで、しょ!!」

「む!?あー、うむ」

「じゃ、そういうことで」

「変身!!」

「よっと」

《rod form》

ライダーベルトを巻き、変身する良太郎に、飛び込むように憑依するウラタロス。
カメを模した青い装甲と、手にはデンガッシャーロッドモード。

「君、僕に釣られてみる?」

そんな言葉と共に、仮面ライダー電王ロッドフォームが武器を振りその先端を投げる様にレイカへと向けた。

釣り竿のように先端部が飛び、彼女の身体にぐるぐると巻き付いていく。
が、彼女はその場に低く伏せてその巻き付きを回避。

横に転がって、その腰にベルトを巻きつけた。
だが、そのベルトは例のクイーンバックルではなく



『黒いライダーベルト!?』

「悪いけど、僕女の子逃がしたことないんだよね!!」

ベルトに驚く良太郎に、逃がさないよとさらにロッドを振るう電王。
だが、如何せん相手の変身動作のほうが早い。


《lance form》

ライダーベルトにパスをセタッチさせ、変身音が響く。
装甲が展開されるが、そのころには電王の釣り糸が腕へと巻き付いていた。


「一本釣りだ!!」

「うぉっと!?」

グンッ!!と引き上げる電王。
それにつられて、放物線を描いて投げられる敵ライダー。

電王は自らの頭上を飛ぶ敵を見やりながら、自分を挟んで反対側へと投げたのだ。

すでにデンライナーはそこにはいない。
そして、反対側に飛ばされた敵ライダーだが、工場の屋根はそこまで広くはない。

となれば、地面まで落下するのは自然なこと。
電王は落ちていった敵を視界から逃すも、落下し地面にぶつかる感触を糸越しに感じるだろう。

そして、その後を追って捕縛すればいい。

そう思っていた。
しかし

落下していった敵ライダーと、それを追っていった装甲。
落ちている途中で間に合ったのだろう。

雨の音に混じって、それが装着された音がした。


瞬間


ズゴッ!!

「はっ!?」

グンッ!!と、糸が逆に電王を引っ張った。
余裕ぶってロッドを片手持ちしていた彼も、両手でつかみ、さらには踏ん張って耐えるほどに力を込めていた。


「良太郎・・・これ、かなり強いよ!!」

『が、がんばって!!』

とはいう物の、工場の屋根はそう頑丈ではない。
しかも土砂降りの雨ということもあって、踏ん張りは最悪だ。

引き摺られながら、屋上のフェンスに足を掛けて耐える電王。
だが、それもグニャリと曲がり、何にもならない。


そこで、彼は落下したはずの敵の姿を見た。



まるで、悪魔のような装甲だった。

大きく捩じれた角が二本。
野生生物のそれではなく、まるで荒削りの鉱石のような印象を受ける。
しかも、それは渦を巻いた角だった。

くわえて、その手には槍が握られていた。
デンガッシャーロッドモードに酷似しているが、先端の刃が肥大化している。

なるほど、変身時のランスフォームというコール音はこういうことか。



「あんたはロッドか」

「そういう君は・・・あれ?女の子じゃないね?」

「・・・目ざといね。まあそうだ。俺はれっきとした男だ」

「そりゃ・・・残念・・!!!」

ぶら下がる敵。
踏ん張る電王。

だが、電王の声は徐々に余裕がなくなっていく。


「まさかもう邪魔に来るとは思わなかったがな・・・俺の出番はもっと後かと」

「へぇ、君は一連のライダーの事件に詳しいみたいだね」

彼の一言から、裏を読み取る電王(ウラタロス)

千の偽り、万の嘘。言葉の裏には針千本。
それが座右の銘だともいう彼は、言葉すら武器に変える。


その彼が敵の言葉から読み取った情報だ。
そしてそれは案の定、的確な内容であったらしく。


「へぇ・・・まあこれは俺の口が災いしたわけだが・・・知られたからには倒しとかないとな!!」

敵がそう叫ぶと、ぐワッ!!と一気に糸を引っ張り込んだ。
すると電王が、というよりも、踏ん張っていたフェンスや地面が耐えきれずにその身体が落下する。


「こいつでぶち抜いてやるぜ!!」

《full charge》

「良太郎、こっちも!!」

《full charge》


バン!!と壁を蹴って上昇する敵。
一回転し、体勢を整えながら落下する電王。


お互いに必殺の一撃に賭け、フルチャージした一撃を見舞う。


敵は、そのランスを構えて突き出してきた。
その先端はエネルギーを纏い、回転して突っ込んでくる。

たいして、電王はデンライダーキック。
エネルギー迸る右足を突き出し、加えて重力に従って敵へと突っ込む。


そして、お互いが衝突する数秒前。
互いにその衝撃に身を固めた。

その瞬間



「あぶねぇッ!!!」



電王の横っ腹に、誰かが飛び込んできた。

まっすぐ落ちていた電王は直角にその身体をさらわれ、上昇していた敵ライダーは勢いのまま上がり切り、屋上に着地した。
そして


「へぇ・・・なるほど、そういうことか」

おそらく、飛び出して来た誰かが呼びだしたのだろう。
敵ライダーの上空を、デンライナーが旋回していた。

そして、その「誰か」が車内にだろうか、叫んでいる声が聞こえた。


「早く行け!!」


そう叫ぶと、デンライナーは時の砂漠へと姿を消した。
それを見て、敵ライダーは踵を返してその場を立ち去る。


「なるほど、こういういきさつってわけね」


------------------------------------------------------------


「早く行け!!」

デンライナーの乗車口で叫んでいたのは、飛び出して来た誰か。
そして、その誰かとは彼らのよく知る男だった。


そう、ここに彼らが来る前に相談していた「EARTH」局長・蒔風舜その人である。


「舜!!どうして!?」

「いやなに、いやな予感がしたんでな。間一髪だったぁー・・・」


そう言って、時の砂漠に一時停車した列車から降りる蒔風。
それを追って、良太郎も列車を降りる。

ちょうどよく休憩所の様で、設置されているベンチに座ってどちらともなく話し始めた。


「お前らが出ていったあと、イマジンの反応が計器に現れてな」

そう言って、蒔風はマスターパスを出す。
電王世界出身ではない彼だが、過去に訪れた際にこのパスを手にしている。

世界放浪していた際の報酬みたいなもん、とは言うが、こんなところでこれが役立つとは。


「しかも、現れた反応はかなり強力でさ。これ以上デミライダーの脅威は捨て置けんと、それでな」

それで、あんなギリギリのタイミングで飛び出してきた、ということか。


だが



「あのままあいつを倒せれば」

「あー、だけどあそこで変に歴史を捻じ曲げてもよろしくないでしょ?」

蒔風曰く、あれは「仮面ライダーブレイドの世界」での一つの区切りとなる重要な戦いらしい。
最終決戦前の前哨戦、とでもいうのだろうか。

そんな重要な場面で、電王達とのブッキングは避けたかった。

だから、あの場での戦闘は避けてほしかった、というのだ。


「・・・なるほど」

「ねえ蒔風。でも邪魔しに来るほどなんだから、相手のこと少しはわかるよね?」

「・・・少しな。名前とかくらい」

「へぇ?」

「アイツの名前は仮面ライダーファウスト。だが、どこの時間出身かも、その目的もまるで不明だ」

「・・・そう」

さて、もどりますか、と立ち上がる蒔風。
パンパンと砂を払って列車へと向かおうとする。

だが、良太郎は座ったままだ。

彼の中では、今さっき見てきたことが繰り返されていた。


雨の中に立つ久遠レイカ。
変身し向かってきたライダー。
変貌する声。
本人ではなかった。


置き換えられたレイカの記憶。
その記憶とは異なる実際の場面。
それを眺めていた現代のものとしか思えない久遠レイカ。



それらを考え、そして一つの疑問が新たに浮上した。

良太郎が立ち上がり、蒔風の背中へと声をかけた。



「ねえ、舜」

「なんだい良太郎」

振り返らずに応える蒔風。
その背に、良太郎が静かに聞いた。


「君は―――――」




to be continued 
 

 
後書き
おっと!
不穏な終わり方ですね!!

ショウ
「おー、まーた」

はいストップ。
というか色々呼んできた人はわかると思うけど一応次話のネタバレ禁止ねー


前回の12月26日ってのは、ブレイドの天王路が倒される話、46話の放送日でした。
いやぁ、小ネタ的に調べてみたら合致しててびっくりした!!!

アリス
「偶然だったんですか?」

そうなんです!!
ホントに偶然で・・・めぐ銀ってすげぇな。

ショウ
「いや、それは何か違うだろ」



蒔風
「次回。え?そんなこと聞くの?」

ではまた次回
 
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