転生とらぶる
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ペルソナ3
2013話
「おい、チドリ、しっかりしろよ……チドリ!」
「はぁ、はぁ、はぁ。大丈夫……順平、それよりスケッチブックは……」
「持って来てる! ほら、ここにあるから! だから……」
男に案内されたのは、ポロニアンモールの外れにあるアパートの一室。
俺の住んでいるアパートに比べれば大分新しいが、それでも築10年以上は経っているだろうアパートだ。
この辺りが桐条グループによって開発されたのは最近の筈だというのを考えると、恐らくこのアパートはこの辺りが開発されるより前に建てられたものなのだろう。
どうやら、このアパートがマサ達の拠点……いや、溜まり場って表現の方が相応しいのか? ともかく、そんな感じなのだろう。
不良の溜まり場としては、そう悪くない場所だ。
そんな溜まり場の部屋の中で、1人の女が布団に寝かされており、気温とは関係のない冷や汗と思われる汗が額に浮かんでいる。
さて、一体これはどういう事なんだろうな。
いやまぁ、マサから順平を見つけたというメールが送られてきて、そのメールの内容が正しかった事は、ここに順平がいるのを見れば明らかだ。
だが……明らかに順平と親しいと思われる、あの女は誰だ?
ともあれ、その辺りの話を聞くにしても、この状況を何とかしてからだろう。
「ゆかり、美鶴に連絡してくれ。順平を確認したから、車を回して欲しいってな。辰巳記念病院に運ぶ必要がある……と、思う」
正確にはどんな症状なのかは分からない。
それこそ、ペルソナとかとは全く関係のない持病という可能性もある。
だが……それでも、辰巳記念病院であれば、その辺りもしっかりと調べる事が出来るだろう。
「分かったわ。すぐに電話する」
そう言い、ゆかりは部屋から出て廊下に向かう。
まぁ、ここで電話するにしても、順平の声がうるさくて聞き取りにくいというのがあるんだろうけど。
そんなゆかりの背中を見送り、俺は女……チドリだったか? その女に声を掛けている順平の肩を掴む。
「順平」
「……アクセル? お前、どうして……いや、それよりチドリが! チドリを助けてくれ!」
俺が部屋に入ってきた事に気が付いてなかったのか、順平は俺の顔を見て数秒驚く。
だが、すぐにチドリという女の方に意識を向けていた。
「安心しろ、今ゆかりが美鶴に電話して辰巳記念病院の方で準備をして貰っている。今は取りあえず大人しくさせておけ。ここでお前が騒いでも、その女の体力を無駄に消耗させるだけだぞ」
「ぐ……」
俺の言葉に、順平はそれ以上言葉を発する事は出来ずに黙り込む。
「桐条先輩に連絡したわ! すぐにこっちに車を回すって」
そうして順平が黙り込んだところで、ゆかりが戻ってくる。
「ゆかりッチ……」
ゆかりに感動した視線を向ける順平。
だが、そんな視線を向けられたゆかりの方は、順平の視線に対して特に気にした様子もなく口を開く。
「全く、いきなり消えて迷惑掛けないでよね。言っておくけど、私よりも桐条先輩の方が怒ってるんだから、覚悟しておきなさいよ」
そう言われた途端、順平の表情は絶望的なものになるのが分かった。
いやまぁ、基本的に美鶴は真面目だからな。当然その説教も厳しいものになる。
ましてや、順平は誰にも何も言わないで行方を眩ませたのだから、その辺は当然だろう。
もし襲われたりしたのであれば、それこそ部屋が綺麗なままの筈はない。
いや、綺麗と言っても、それはあくまでも部屋の中で暴れた痕跡がなかったという意味での綺麗であって、順平の部屋は俺も見せて貰ったが、かなり散らかっていたのだが。
つまり、順平が自分から寮を抜け出したのは明らかだった。
「えっと、それでアルマーさん。俺達は……」
取りあえずこっちのやり取りが一段落したと判断したのか、マサがそう聞いてくる。
以前会った時に比べると、大分偉そうな感じがなくなったな。
まぁ、俺は勿論、ゆかりや順平にすら恐らくマサは勝てないんだろうから、その辺は当然……いや、マサに相手の力量を読むなんて真似が出来る筈もない以上、純粋に俺だけを怖がってるのか?
「ああ、悪いな。助かった。取りあえずこれは礼だ。皆で美味い物でも食ってくれ」
そう言い、5万程渡す。
普通の学生にしてはかなりの金額だが、カツアゲとかをしているような連中にしてみれば、それ程の金額でもないだろう。
だが、取りあえず1食分として考えれば、豪華な食事は食べられるだろう。
「ちょっ、おいアクセル。いいのかよ?」
俺があっさりと5万円も渡す姿を見て順平が驚いたように言うが……
「ああ、問題ない。この件は必要経費として、後で美鶴に請求するからな。……美鶴が順平に請求するかどうかは、俺にも分からないが」
そう言うと、順平の顔が引き攣る。
もっとも、実際には美鶴が順平にその金額を要求するような事はないと思うが。
何だかんだと、美鶴は仲間思いな一面があるし。
それに、これまで順平が影時間解決の為にしてきた貢献は、それこそこの5万円を含めても、順平が数十万……場合によっては百万単位の報酬を貰ってもおかしくはない。
そもそも、順平を含めて美鶴のパーティにいる連中は、いわば桐条グループに雇われている傭兵のような立場だ。
本人達がそれを理解しているのかは分からないが、俺から見ればそんな認識に近い。
それでいながら報酬を貰おうとしないのは……その辺りは、順平達にとって思うところがあるのだろうし、俺からは何も言うつもりはない。
「ありがとうございます、アルマーさん」
「気にするな。その代わり、今回の件は誰にも話すなよ」
「はいっ! じゃあ、俺達はその……食事にでも行ってきますので。この部屋は自由に使って下さい。ああ、鍵はかけなくてもいいんで」
そう言い、マサは仲間達に焼肉を食いに行くぞぉっ! と叫んで去っていく。
5万……まぁ、普通の焼肉店ならあの人数が腹一杯に食べたりする事も出来るだろ。
勿論普通じゃなくて高級焼肉店とかに行けば話は別だが。
……寿司屋なんか、1人前3万円近いコースとか普通にあるからな。
いや、どのみちマサ達の年齢を考えれば、寿司より肉だろうけど。
ともあれ、自分達に聞かれたくない話が出来るようにと部屋から出ていったマサは、相応に目端が利くのだろう。
「まぁ、事情を聞くにしても詳しい事情はどのみち後で全員の前で話す事になるだろうから、今は聞かないが……一応これだけは聞いておくか。お前は今まで幾月やタカヤの所にいたのか?」
「……ああ」
どうやら俺の予想は正解だったらしいな。
まぁ、予想といっても幾月が姿を消した日に順平も姿を消したのだ。
であれば、当然のようにそこに関係性があると疑うのは、当然の事だろう。
本人もそれを理解はしていたのか、すぐに頷いたし。
「理事長は……あのタカヤって奴と一緒に行動してたよ」
「だろうな。そもそも、桐条グループで確保していたタカヤを逃がしたのは幾月だし」
「……やっぱりそうなのか?」
少しだけ信じられないといった様子で聞いてくる順平だったが、寧ろそんな順平に対して、俺は疑問を抱く。
「お前がいた場所に幾月がいて、タカヤがいたんだろ? なら、その辺りの事情は知らなかったのか?」
「……俺は閉じ込められていたんだよ。召喚器も取り上げられていて、ペルソナの召喚も出来なかったし」
その言葉に、納得する。
勿論ペルソナは召喚器がなくても召喚出来る。
それは、最初にゆかりがペルソナを召喚した時もそうだったし、コロマルがペルソナを召喚した時もそうだった。
だが、それはあくまでも危機に……命の危機に陥っていたからこそ可能な事であり、閉じ込められているだけではそこまで命の危機を覚えないだろう。
ましてや、召喚器なしで召喚されたペルソナは、すぐに消えてしまっていた。
そう考えれば、順平がペルソナを召喚するような行為が出来なかったというのも理解出来る。
ましてや、以前ちょっと聞いた話によれば、順平は最初から召喚器を使ってペルソナを召喚しており、召喚器を使わないでペルソナを召喚したことはなかったのだから。
なるほど、幾月達に捕らえられて逃げ出せなかったのは、それが原因か。
「でも、今はここにいるわよね? それは、この子のおかげ?」
「ああ。チドリはストレガの仲間だった。……俺も最初は信じられなかったよ。まさか、前にポートアイランド駅の側で会ったチドリが……」
「待て」
そこまで聞いていた話に割り込む。
何故俺がそのような真似をしたのかが分からない順平は、不思議そうな視線を俺に向けている。
「お前がこのチドリとかいう女と出会ったのは、いなくなってからじゃなくて、それよりも前の話だったのか?」
「ん? あ、ああ。そうなる」
「……もしかして、少し前に噂になってた、お前が入れあげている女ってのは、このチドリだった訳か?」
「噂!? ちょっ、何だよ噂って! そんなの俺は聞いた事もねえぞ!?」
どうやら、順平は自分がそんな風に噂されているとは、全く知らなかったらしい。
まぁ、噂を本人の耳に入れるかと言えば……それはまた微妙なとこだろうし、それも当然か。
それに噂は噂でも、別に月光館学園全てに広まっているとか、そういう訳じゃない。
寧ろ、俺の知り合いくらいにしか広がっていない噂だ。
もし順平が月光館学園でも有名人……それこそ、美鶴や真田、有里、ゆかりといった面々と同じくらい名前や顔が知られていれば、話は別だったかもしれない。
だが、生憎と……いや、生憎って表現が相応しいのかどうかは分からないが、とにかく順平はムードーメーカー的な存在だったり、有里やゆかりと親しかったり、美鶴や真田と同じ寮に住んでいたり……うん? そこまで考えると、何気に結構有名人になる要素があってもおかしくないぞ?
ともあれ、そんな感じな訳で、順平がどこの女に入れ込んでいても、それが噂として広がるような事は殆どなかった。
「噂を知らないのは本人だけってな。少し前から、それなりに噂は流れていたぞ? ともあれ、その噂の相手がこの女で間違いないんだな?」
「……ああ」
隠し通せるとは思わなかったのか、順平は素直に頷く。
だが、そうなると……
「順平、お前はこのチドリという女に、ペルソナ使い、影時間、シャドウ……これらの事を喋ったのか?」
以前の、それこそ俺に突っかかっていた頃の順平であったら、英雄願望というか、ヒーロー願望というか、そんなのがあっただけに、そんな真似をしてもおかしくはなかった。
だが、何だかんだと今の順平はそれなりに落ち着いている。
そうである以上、そう簡単に自分の素性を口にしたりはしないと思う。思うが……順平が女に弱いというのも、また間違いのない事実なのだ。
「い、言ってねえよ! 言う訳でねえだろ!?」
「なら、順平がこの女に会ったのは、偶然だったと? 偶然ペルソナ能力を持っている順平が、偶然ストレガと関係している女と出会ったのか? ……ちょっと無理があるようにも思えるけどな」
そう言いつつ、この世界の原作ではもしかしたらそんな風に偶然出会っていた……そんな可能性があるかもしれないとは、思う。
もっとも、それを言える訳もないが。
「そ、そうだよ! 偶然だって。実際、俺がチドリに初めて会った時は、チドリは全く俺に興味がなさそうだったんだぜ? それで時間を掛けて話すようになっていって……」
そこまで言った順平は、当時の事を思い出しているのか、何故か惚気のように色々と説明してくる。
曰く、チドリは絵を描くのが好きだ。
曰く、人の事を嫌っているように見えて、実は気にしている。
曰く、猫のような性格をしている。
曰く、綺麗好きで毎日どころか、1日に何度も風呂に入りたがる。
曰く、その奇抜なセンスで人目を引く事もあるが、本人はそれを全く気にした様子がない。
曰く、曰く、曰く、曰く……
何て言えばいいのか……うん、ちょっと前の夏祭りでも感じたが、砂糖を吐くってのはこういう事だな。
普通ならブラックコーヒーでも欲しがるところだが、俺の場合は紅茶派なのでストレートティーが欲しいというのが正確か?
ともあれ、俺が聞きたいのは順平の惚気ではないので、一度止める事にする。
「落ち着け。それで結局、このチドリとかいう女は何でこうして気を失ってるんだ? タカヤ辺りとやり合ったのか?」
「いや、それが……」
順平が何かを言おうとした時、不意に今まで眠っていた筈のチドリが大きく目を見開いた。
「ああああ……あああ……あああああああああああああああああああっ!」
そして上がる悲鳴。
ちょっと待て。これって見覚えがあるぞ? これって……
そう考える俺の前で、不意にペルソナと思われる存在が姿を現す。
「チドリ! 落ち着け、チドリ! メーディアを戻せ!」
メーディアと呼ばれたペルソナを見て、切迫した順平の声が部屋の中に響き渡るのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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