麗しのヴァンパイア
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第二十一話
第二十一話 一張羅
その日が来た、すると梨花と美樹はそれぞれ一時半に八条グループの創始者であり明治期に活躍した偉大な経営者の像の前に来た。
すすとそこにはだった、黄色や赤や青や橙色でかなり派手な色彩でミニスカートにタイツにセーターに帽子にと服装も目立つ外見の亜美がいた。
その亜美を見てだ、美樹は思わずこう言った。
「何かね」
「派手やろ」
「ええ、かなりね」
亜美にどうかという顔で言った言葉だ。
「そう思ったわ」
「これうちの一張羅やねん」
「つまり一番いい服なの」
「いい服っていうか外出の時にお洒落したい時はな」
亜美は美樹に笑って話した。
「寒い時にはこれって決めてるねん」
「そうなの」
「うちなりのお洒落やで」
「お洒落っていうか」
「目立ちたいだけのやね」
「そういう風に見えるけれど」
「目立ってなんぼってな」
亜美は明るく笑ってこうも言った。
「そう思ってな」
「何かね、私が思うにはね」
どうかとだ、今度は梨花が亜美に言った。
「お洒落イコール目立つじゃないし」
「そうなん」
「ええ、何か今の亜美ちゃんのファッションは」
梨花はここはあえてダイレクトに言うべきと思いその方向で話した。
「アバンギャルド?」
「それやねんな」
「そう思ったわ」
「そうね、亜美ちゃんの今のファッションってね」
実際にとだ、美樹も再び亜美に話した。
「アバンギャルドね」
「突拍子もないっていうか」
「そんな風よね」
「アバンギャルドな、それもええわ」
亜美はそう言われても平気な顔で二人に返した。
「似合ってなかったら着んけどわ」
「似合ってるわよ」
「亜美ちゃんにね」
「そやったらええわ、ほな行こな」
「ええ、今からね」
「商店街に入りましょう」
二人は亜美に笑顔で言った、そしてだった。
三人で商店街の方に向かう、そこで亜美はまた梨花と美樹に言った。
「商店街に入ったら何をするか」
「それはね」
「入ってから考えるのもいいわね」
これが梨花と美樹の返事だった、三人共今はそうしたことを考えることも楽しむことにしていたのだ。
第二十一話 完
2018・2・8
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