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アルカディアストーリー 異界の精霊使い

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#1

「それでミスト、俺は何処に連れて行かれようとしてるのですかね」

エントの森…そうミストが教えてくれた森の中を拓斗は彼女に手を引かれながらずんずんと進んでいく

「私の仲間の所!みんな優しいから大丈夫だよ!」

「いや大丈夫って…」

本当に大丈夫なのだろうか、というか不思議な子だなと思いながら、拓斗はふと気になったことを聞く

「そういや、なんで急に現れた見知らぬ人間にここまでしてくれるのさ」

「ん?だって、タクトは悪い人じゃないから」

「初対面なんだけど」

「でもわかるよ。だって、精霊が教えてくれたから」

「精霊ぃ?」

「うん。精霊がね、その人がどんな人かーって、教えてくれるの。そしたら、キミは悪くない人だよって」

「へー…」

「精霊は私に力を貸してくれるんだ。…キミにも精霊が付いてるけど、分かる?」

「えっ!?俺に!?」

「うん。しかも珍しい、2人も。キミ凄いねぇ」

「……」

驚いた顔をしながら拓斗は自分の周囲を見渡す。しかしそんなものが見えるはずもなく

「そんなもの見えないけど」

「すぐ見えるようになるよー、素質あるもん。多分」

「なんだその根拠の無い理由」

「えへへー…」

照れたように少しはにかむミスト、それに少しドキッとする拓斗だった。



それから少し、森を歩くと

「あ、見えた!おーい!」

手を振りながらそう叫ぶミスト
その先には木のない、少し切り開かれたエリアがあった。そこにはテントが幾つか置かれていて、焚き火の煙が上がっていた

「あれがそうです!レーンー!『迷い人』見つけましたー!」

その声が聞こえたのか、テントから1人の黒髪の少年が出てくる。

「ミースートー…?危ないからあんまり一人で出歩かないようにって言ったでしょー…?それで、『迷い人』?そこのお兄さんかい?」

「うん!タクトさんって人!」

「どうも…初めまして荒木拓斗って言います」

「アラキ…タクト…ってことは、『二ホン』って場所の人かな?」

「…!知ってるんですか!?」

「最近増えててね…『迷い人』で「自分はニホンジンだ」って言っている人が」

「……!」

訳も分からず知らない「異世界」に迷い込み、多少なりとも困惑と帰れないのではないか、という不安を感じていた拓斗であったが、希望が今見えた。

「同じような人がいる…!?じゃあ…俺は元の世界には…」

しかし、その希望はレンの申し訳なさそうな顔と発言によっていともたやすく砕かれてしまう。

「…残念だけど…今現在の時点で任意に世界を移動するといった魔法、技術、古代装置は一切存在しないんだ…」

「えっ……。じゃあ…俺はもう…」

帰れないのか。拓斗の頭の中で今までの日常がフラッシュバックする。絶望しかけたが、レンの「だけど」という声で我に返る。

「これだけ頻発している世界移動だ。…、もしかしたら方法があるのかもしれない。もしくは原因が。もし、それを見つける、あるいは解明すれば」

「…帰れるかもしれない…?」

「かも、もしかしたら、そんなレベルの話だけどね。…どうする?そんな可能性に賭けるか、賭けないか」

「…俺は……」

少しでも可能性があるなら帰りたい。しかし帰ってとして、その時は本当に自分の知る地球なのだろうか?知り合いは?家族は?…居場所は?そんな状態になるならこの世界で過ごし、骨を埋めたほうがいいのではないか…?
しばらく葛藤していたが、覚悟を決めて答えを口にする

「…賭けるよ。その結果この世界に骨を埋めることになっても、最初からあきらめるよりはマシだ」

その答えを聞いたレンはにこりと微笑みながら

「うん、わかった。じゃあこの世界のこと、生き方を教えてあげる…あと」

「あと?」

レンはチラリ、とミストの方を見てから続ける

「…良かったらだけど、一緒に行動しないかい?うちのお姫様が君の事を気に入ったようだし」

「れ…レン!な、何を言ってるのかな!?」

少し顔を赤らめながらそう言い返すミスト。一瞬ぽかん、としていた拓斗だが、言われていることを理解し、こちらも少し顔を赤くする

初対面の人間だが、ここまで色々教えてくれるというわけだし、何より少し彼女と過ごしてみたい。拓斗はそう考え

「あー…えっと…じゃあ…お願いしてもいいですか?」

「ありがとう。…それじゃあ今いる仲間を紹介してから早速レクチャーを始めようか」

そう言い、テントの方へ誘導するレン。拓斗はそれに答えテントへと向かった 
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