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ロボスの娘で行ってみよう!

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第16話 こんな事も有ろうかと


ご都合主義かな。
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第16話 こんな事も有ろうかと

宇宙暦788年6月1日 午前6時

■自由惑星同盟 エル・ファシル 同盟軍駐屯基地

「リンチ司令官!!」
ラップの叫び声にリンチ司令官が辛そうな顔で頷く。
「リンチ司令官が撃たれた!軍医を早く!」

ラップが近くにいる兵に指示を出し、ヤンに連絡を取ろうとするとヤンの方から連絡が有った。
「ラップ、シャトルが発進したが司令官はどうしたんだ?」
「リンチ司令官が撃たれた」
「なんだって」

2人が話している中、リンチ司令官が苦しそうに話し出す。
「参謀長達が、裏切った。300万人を売り渡して亡命する気だ」
「「何ですって」」
「奴ら脱出計画を漏らすつもりだ、貴官達が指揮を取り民間人を守ってくれ」

リンチ司令官はそう言いながら気を失う、軍医が急行してきて倒れている2人を診察する。
「司令官は重傷ですが今なら助かります、しかし大尉は最早・・・・」
「判った、直ぐに司令官を病院船にお願いする」
「はっ」

リンチ司令官はストレッチャーで病院船へと送られていく。
「ヤン、どうする」
「やるしかないだろうな」

空港では避難民がシャトルを見ていたがメンテナンスを行う為に数回同じ事があった為、落ち着いて居たのが幸いで有った。ヤンは近くにいた少尉に司令官室へ行くと言いそこを暫く任せる頼んだ。

そして、ヤンは司令室へ走り出していた。
「ラップ、司令室へ移ってくれ」
「判った」

モノの5分もせずに司令室へ向かう。
「ヤン、どうする」
「任せてくれ、リーファプランにとんでも無いモノが有ったんだ」
「何だ?」

ヤンの出したファイルには、白い封筒に確りと【ヤン先輩かラップ先輩のみ開封可】
【二進も三進も行かない場合のみ】とあった。
ヤンは少し前に興味があって開けてしまっていた封筒から手紙を出し、ラップへと渡す。

読み始めるラップ。
【ヤッホー、ヤン先輩、ラップ先輩、この手紙を読んでいると言う事は、ジェシカさんに浮気がばれたか、やばい病気にかかったぐらいか、或いは指揮官辺りが戦艦奪って自分たちだけで逃げたときでしょう。そこでこのリーファとイブリン合作の渾身特製艦隊運用ソフトD−8Sを入れておきました。渡しておいた艦艇制御ソフトの隠しコマンドに入っていますから、司令部から通常通信とか指向性レーザー通信で艦隊組んでる船のどれかに当たれば自動操縦で敵艦を避けて逃げ回ります。コマンドの起動パスは{Jessica.Love21}です間違えないでね】【PS、逃げる奴らに遠慮は無用です】

ヤンとラップは何じゃこりゃとお互いに驚き合うのである。
早速ヤンとラップがこっ恥ずかしながらJessica.Love21を入れると、モニターに画像が現れた。

特別説明書。リーファ&イブリン謹製。
D−8S起動後は艦船の一切のコントロールが出来なく成ります、白旗は揚げられますけど、上げながら走りまくります。

D−8Sを起動しますか? Yes  No

ヤンとラップは直ぐさま逃げることに決めて輸送船に市民を乗せることにした。
ラップが司令所に残ってヤンの待つ最後の船に乗る事に決めた。

ヤンが空港へ着いて、市民に宣言した。
「皆さん、脱出しますよ」
「直ぐさま脱出計画の順番にそって、船に乗って下さい」
「ヤン中尉の指示に従おう」

ヤンの指示避難民が次々に船に乗り込んでいく、病院船には密かにリンチ少将が運び込まれている。
後は最後まで残るヤンとラップ達だ。
ラップ達司令室組は、レーダーでグメイヤにシャトルがドッキングした直ぐ後にD−8S回路を起動させた。エル・ファシル全域から、軌道上のグメイヤや無人にしてある各艦に信号が送られた。




■戦艦グメイヤ

グメイヤに到着した、ジョイス准将達は早速艦橋へ向かい、エンジン起動させ発光信号で降伏しようとしたが、全くコントロールが効かなく成っていた。

「どうしたんだ。動かんぞ!」
「自動操縦にスイッチが入っています」
「直ぐに解除しろ」

操縦オペレーターが解除しようとするが、コマンドを受け付けない。
「駄目です。コマンドを受け付けません!」
「発光信号と無電はどうだ?」

「ロックがかかったままです!」
「なんだと、リンチの仕業か!」
「不味いぞ、シャトルで他の艦へ向かおう」

そんな話をしている間に、グメイヤ以下の艦船が発進し始めた。
「閣下、艦が動いています!」
「なんだと!」
「それも全速力です、シャトルでの脱出可能速度を超えています!」

「なんだと!」
「してやられた、奴ら此を考えていたのか!」
ジョイス准将の頭にはヤンやラップが笑っている姿が浮かんでいて、怒りを覚えるが完全な逆恨みである。

グメイヤ以下200隻の艦艇が包囲下の敵艦隊の隙間を縫うように逃げまくる、グメイヤでは何とか連絡を付けようと頑張っているが全く手が付けられない。一隻又一隻と無人艦が撃沈されていく、その爆炎を見てジョイス准将達は震えまくる。

「助けてくれ!!」
「准将があんな事をするからだ!」
「なんだと貴様も賛成しただろう!」
「ふざけんな!!」

艦内口論の後で殴り合いが始まった。




■エル・ファシル

ヤンとラップが敵艦隊がグメイヤ以下を追撃して一時的に包囲を解いた瞬間を狙って、ヤン達はエル・ファシルを出発した。ヤンとラップは最後の船でエル・ファシルを脱出し指揮を取る。

敵偵察艦が広域レーダーでエル・ファシルを監視していた。
「少佐、レーダーに多数の影が映っています」
「どんな状態だ?」
「12時の方向から6時の方向へ流れていきます」

「あーそれは恐らく、隕石帯だな」
「しかし、敵船ではありませんか?」
「いや、戦場を逃げる船というモノはレーダー透視装置を発動させるモノだよ、従って此は隕石だな」
「はっ」

「しかし、この期に及んで軍艦だけで逃げるとは、呆れた奴らだな」
「はっ命が惜しいのでしょうな」
「全くだな」




■エル・ファシル星系近郊 

ヤンとラップ達を乗せた輸送船群はエル・ファシルを見事に脱出し星系外へ逃げていく。
「ヤン、旨く行きそうだな」
「ラップ、何とか行きそうだけどね」
「リンチ司令官か」

「意識不明の重傷だからな」
「しかし、司令官の意志を継がなければ成らないからな」
「私がもう少し早くソフトを見つけていれば、司令官があんな目に遭わないで済んだのに」

「ヤン、そんな事気にするんじゃない」
「そうだね、司令官の為に頑張るしかない」

ヤンも勤勉さを見せて居る。
「しかし、リーファは何で此処まで出来るんだ?」
「判らんな、予知能力でもあるのかな」

「ハハハ、まさかね」
「偶然だよな」
2人で顔を見合わせる。

「時たま魔女みたいな格好でタロットしてるけどそれかな?」
「あれは、結構当たるからな」

「しかし指揮官の脱出って言うのは外れてるな」
「確かにそうだな」

ヤンもラップも当たらずといえども遠からずであった。
しかしヤン達の安堵はまだまだであった。
グメイヤが遂に捕獲されたのである。




■エル・ファシル近郊 

自動操縦で逃げ回っていた、グメイヤ旗下の艦隊は遂にグメイヤ一艦だけになりグメイヤも遂にエンジンに被弾して機能が止まった、その瞬間D−8Sは自動で削除され更に上書きされて消滅した、その辺りもリーファ&イブリンのコンビは卒がない。

艦内は全員が仲間割れで既にボコボコになっている、中には既に動かない者も居るぐらいである。急に艦が止まり気がついた連中が騒ぎ出した。
「艦が止まる!」
「助かるのか!」
「うううー」
「助けて・・・・」

白旗は既に揚げられていた為に帝国軍駆逐艦が接舷してきた。
艦内に入ってくる帝国兵達が艦橋へと雪崩れ込んできた。
「全員手を挙げろ。降伏しろ!」

そう言って入ってきた帝国兵は目を疑った、そこには100名ほどの血だらけの人間が倒れていたのである、辛うじて立っている人間も怪我だらけである。
帝国兵は気を持ち直して誰何を始める。

「この艦の指揮官は誰か?」
すると、ボロ布のように殴られている人間が手を挙げた。
「私だ・・」

そのボロ布に帝国兵が銃を突きつけるのも忘れて誰何する。
「この状態は何だ?」
「帝国に亡命しようとして仲間割れしたのです」

はっあと思う、臨検士官。
「ほう、帝国に亡命かいったい何でだね?」
「司令官が自ら逃げる為に其方の艦隊へ特攻せよと命令をしてきたので逃げたのです、逃げようとしたのですが艦は自動操縦でどうしようもなかったのです。それに民間人の脱出計画を知っています」

ジョイス准将は涙ながらに嘘八百を並べる。
「脱出だと」
臨検士官は怪しいと思うが取りあえず、参謀長へと話を上げている。
「はっ、敵の脱出計画と・・・・・で、亡命したいと・・・ええ・・・はい・・・・判りました」

向き返って、ジョイス准将に問いかける。
「卿の話だが、どう言う事か?」
「この艦を囮にして、包囲艦隊を牽き回している間に反対方向から逃げるそうです」

臨検士官が旗艦に話を入れていく。
返答が来て、一言。

「嘘を言うな、星から出た艦船なんぞ一隻も関知されなかったぞ!」
「隕石に紛れて逃げたのです」
最早准将の威厳なんかない状態である。

連絡があり、確かに3時間前に隕石群が6時方向へ流れていったことが確認された。
慌てる艦隊司令部が直ぐさまエル・ファシル星へ急行をし始めた。
2時間かけエル・ファシルへ到着し降下し始めたが、いきなり迎撃ミサイルが発射されてきた。

直撃を受けて落ちる戦艦。
その他の戦艦が艦砲でミサイル発射基地を攻撃して瓦礫の山に変える。
降下した兵達が見たのは蛻の殻で放置された建物群であった。
しかも彼方此方にブービーとラップの自動火器が火を噴き多数の兵が死傷するおまけが付いたのである。

そこ頃、増援の農奴輸送艦隊がエル・ファシルに到着したが農奴に逃げられたと聞いて艦隊司令官が怒りだしていた。

「巫山戯るな、卿等は何処を見ていたのだ!」
「申し訳ございません」
「で、情報提供者はどうした?」

「当艦で尋問中です」
「早く、情報を聞け」
「御意」

結果的にジョイス准将達に厳しい取り調べが行われた。
「准将、奴らは何処へ行ったのか!」
「恐らくは、エルゴンかシャンプールです」
「確かだろうな」

「間違い有りません」
そこへ艦隊司令官がやって来た。
「司令官閣下」

「そいつ等か」
「御意」
そう聞くといきなり腹を軍靴で蹴りつけた。

「グファー」
「貴様のせいで俺は叱責されたんだ!」
「ギア−」

「フン、亡命だと、皇帝陛下に対する忠誠を尽くすんだな」
「帝国万歳、皇帝陛下万歳」
ジョイス准将は媚びるように必死になって叫ぶ。

「ふん。後方の病院船にでも送ってイゼルローンで尋問させろ」
「ぼ、亡命は?」
「向こうで言うんだな」

艦橋へ戻ると、連絡を行う。
「中将閣下、敵船団はエルゴンかシャンプールです」
「少将、どちらだと思うか?」
「恐らくは、より近いシャンプールかと思います」

「よし其方に賭けよう、念のために偵察艦をエルゴンへ送れ」
「御意、今なら未だ間に合います」
「進路。シャンプール」



■エル・ファシル星系近郊

 ヤン達の船団がワープを行い通常航行に一旦戻った時、後方3時間の位置にワープアウトが起こった。
「大変です、大規模ワープアウトです」
「どの態度の規模だ?」
「凡そ10000隻程かと思えます」

蒼くなるオペレーター達。
「敵の追撃だ」
「敵の距離は時間で示してくれ」
「約3時間で追いつかれます」

「よし全力で逃げるぞ」
「ああ」
「あと2時間半でワープを行う」
「準備せよ」


敵の近づくがその前にワープを成功させて逃げたが、その後を追うように敵もワープアウトしてきた。
「敵追撃してきます!」
オペレータが悲鳴を上げる。
「もう駄目だ!」
誰かが叫ぶ。

ヤンやラップは落ち着かせる為に気休めを言うがみんながパニックに成りつつある。
「未だ大丈夫だ」
「そうだ、逃げ切れるさ」

オペレーターが更に叫ぶ。
「前方に多数の艦艇、囲まれました!もう駄目ダー!!」
「回り込まれたか」
ヤンとラップが唇を噛む。

2人して思うことは同じで、ジェシカだったそうだ。
 
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