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レーヴァティン

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第四十七話 海はなけれどその八

「バイキングを仲間にするにもな」
「湖に出てまでとかね」
「あそこにいると思ってたらな」
「それが違ってたね」
「クラーケン倒しに行くとかな」
 一人でとだ、神妙な顔になって言う久志だった。
「とんでもねえ奴だな」
「普通あんなもの一人で倒しには行かないよ」
 剛の言葉は半ば呆れたものだった、七人全員楽にしているが船は魔法で動かしていて漕がなくても大丈夫だ。
「普通はね」
「だよな、とてもな」
「それをしようっていうから」
「かなり無鉄砲な奴だな」
「それは間違いないよ」
 こう言い切った。
「僕もそう思うよ」
「幾ら外から来た奴でもな」
「相手は水の中だと下手をしたら巨人よりも強いから」
「ドラゴン並か?」
「そこまでいくね」
「やっぱりそうか」
 久志も剛のその言葉に納得している顔で頷いた。
「百メートルとかになるよな」
「大きいのだとね」
「そんなのだとな」
「ドラゴンにも匹敵するよ」
「そうだよな、そんなのに一人で向かうか」
「そりゃ僕達だと戦えるけれど」
「一人だと若しもって考えると」
「普通は出来ないよ」
「ああ、俺もな」
 久志自身もだった。
「ドラゴンとかそれクラスとやり合うとなるとな」
「一人ではだね」
「出来る限りしないな」
「それが普通です」
 順一も言ってきた、言いつつ波の具合を見守っている。
「クラーケンは個体によりますが巨大です」
「その巨大さが武器だからな」
「そのクラーケンと彼の棲み処で戦うなぞ」
「一人ではな」
「挑むものではありません」
「やっぱいそうだよな」
「それをしようというのですから」
 それこそというのだ。
「無鉄砲もいいところです」
「今頃クラーケンに食べられててもね」
 こう言ったのは源三だった。
「不思議じゃないよ」
「だよな、そうなってないといいな」
「本当にね、まあ僕達と同じ実力なら」
「食われることもか」
 懸念されるこの事態もというのだ。
「まあないか」
「そう思うけれどね、僕も」
「けれどそれでもだよな」
「普通の巨人より強いから」
 クラーケンというモンスターはというのだ。
「だからね」
「何があっても不思議じゃないな」
「本当にね」
「ったくよ、食われててたらどうするかだな」
 その心配は殆どないにしてもだった、久志はこのことを考えずにはいられなかった。それで今も言うのだった。
「その時は」
「骨から復活させてやるか?」
 正は久志にその具体的な方法を話した。
「そうするか?」
「骨がか」
「ああ、欠片でも残ってたらな」
「復活の術を使ってか」
「そうするか?魂だけでもな」
 それが漂っていればとも言う正だった。
「いればそこから蘇らせてやるか」
「そうするか?百メートルの相手だと丸飲みもあるからな」
 クラーケンの巨大な身体にというのだ。 
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