ドリトル先生と奈良の三山
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第十二幕その五
「合格だよ」
「じゃあこれは全部日笠さん」
「トミー、王子、サラさんの分もよし」
「他の皆の分もね」
「これでいいね。ホテルもチェックアウトしたし」
こちらも終えた先生でした。
「それじゃあね」
「うん、お土産も持って」
「神戸に帰りましょう」
「今からね」
こうしてです、先生と動物の皆は神戸への帰路につきました、そうして八条鉄道の奈良駅に入ったのですが。
そこで、です。電車を待っているとホームに白鹿が来て言ってきました。
「またいらして下さい」
「それじゃあね」
「はい、またお会い出来る時を楽しみにしています」
先生に笑顔で言うのでした。
「ですから」
「うん、またね」
「奈良に来られますね」
「そうするよ」
白鹿に笑顔で約束しました。
「絶対にね」
「それでは」
「奈良はいいところだしね」
「そう言って頂くと余計に嬉しいです」
見れば白鹿は笑顔になっています、そのうえでの返事でした。
「奈良は確かにいい場所です」
「歴史も文学も不思議もあってね」
「気候もいいですし」
「そう、何度も思って言ったけれど」
「日本のはじまりの場所になるだけはですね」
「あるね」
白鹿にもこう言うのでした。
「本当に」
「そうですね」
「うん、これだけいい条件が揃っている場所だからね」
「まさに国のまほろばです」
「そうした場所だね」
「奈良があればこそです」
まさにというのです。
「今の日本があると言っても過言ではないです」
「はじまりの場所だからだね」
「そうです」
まさにというのです。
「この国、今は県ですが」
「奈良あればこそ」
「日本があります」
「そう思うと余計にだよ」
「またですね」
「奈良に来たくなったよ」
是非にと言うのでした。
「だからまたね」
「はい、お待ちしています」
「それじゃあね」
先生は白鹿と笑顔でお別れしてです、そしてです。
動物の皆と一緒に電車に乗りました、最後に車窓から白鹿に手を振りましたが。
ここで、です。先生は白鹿が右の前足を振って先生の手を振るのに応えるのを見てです。こんなことを言いました。
「前足を器用に使っているね」
「そうだよね」
「僕達もああしたこと出来るけれど」
「白鹿さんもっと器用だね」
「器用にそうしてるね」
「そうだね、本当にね」
またお話した先生でした。
「器用だね、ああして見送ってもらったし」
「いい旅だったわね」
「今回の奈良の旅も」
「学会もフィールドワークも」
「そうだったよ、奈良の色々な場所を巡ることが出来てね」
本当に色々な場所を巡れたことを思い出して笑顔になっている先生でした。
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