コバピーハザード!
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第五章「ちゃんと終わるのか?」
そんなこんなで、何とか町へと辿り着いたはいいけどさ…。
「なんじゃこりゃ!!」
まさにその通り、なんじゃこりゃな光景だった。
町一面が意味不明な色彩でベットリと塗りたくられ、スピーカーからはガンガンとクラシックが響いていた。その上、店という店が菓子店になっているのだ…。
「なぁ、コバピー?お前の頭ん中って、こんなんなってんのか?」
「い、いやぁ…。さすがにここまで酷くないと思うぞ…?」
八百屋、肉屋、魚屋にコンビニまでもが完全な菓子店にされている光景は、どう見たって気持ち悪い…。そこで売られてる菓子を、誰も食べる気にはならんだろうなぁ。中に何が入ってるか想像するだけで…。
「ウェ…。」
満場一致。これは早く手を打たねば世界の危機だ!
この異様な風景を目撃した皆の衆は互いに顔を見合せ、一目散に研究室へと急いだそうな。ってのはいいんだけど…。
「………。」
「………。」
「………。」
「……。桃の毛立ち~竹ぇ~♪」
あ、なんか懐かしいや…じゃなくて、そんなメラにツッコミを入れる気力さえありませんよ…。ダディの研究室が…研究室が…。
「菓子店だよな?これ、どう見ても菓子店だよな?」
暫く見ぬうちに、研究室は立派な菓子店になっていましたとさ。
「“たとさ。”じゃねぇ!こりゃどうなってんだよっ!」
「ま、この町の状況からすれば有り得た話だな。とにかく中へ入ってみよう。」
そう言うや、最初にメラが中へと入った。外で問答してても仕方ないので、僕達も取り敢えずゾロゾロと中に入ると、そこは紛れもなく菓子店になっていた…。
「いらっしゃ…あっ!オリジナルだ!!」
店員に扮した擬きが叫ぶと、あちこちからこれまた店員に扮した擬き達が湧き出してきやがった!
「何しに来たんだ!さては…レシピを盗みに来たな!」
「僕達の店にケチつけようったって、そうはいかないぞ!」
「ウォンカのチョコレート使ってお菓子作れたら美味しそうだね!」
最後の意見には賛成ですね。それで作ったチョコレートケーキなんてさぞかし…
「って、ねぇよんなもん!」
僕がそう叫ぶと、擬き達が「オリジナルのご乱心だ!」と言って騒ぎ出した。
すると、外からもゾロゾロと擬き達が湧き出してきて、店内(?)は騒然となった。って言うか、もう見渡す限りコバピーの大海原ですって!
「ウェ~!気色悪っ!」
「けぃに言われたかないねっ!」
みほ殿は、これ以上擬きを中へ入れないために七転八倒。メラはメラで水鉄砲でにこやか応戦してる。それを見たけぃも、皆に負けじと張り切った。
「俺も俺も!」
そう言うや、中で暴れてる擬き達を窓から次々に外へと投げ出した。しかしその中で、親玉らしき擬きがオリジナルの僕へと近付いて来た!
「ギャフンッ!」
慌てて外へと逃げようとしたけど、回りは擬き達が囲んでいて出口までは到底行けない。
「コバピーッ!」
みんなが僕へと視線を向けた。しかし、湧き出す擬きに応戦する分で間に合ってます的に身動きが取れないご様子!
「フフ…。オリジナルさえ始末しちゃえば…。」
目が据わってますよ!?僕のコピーとはいえ、これってかなりやぶぁい!
「ま、まて!話せば解る、話せば…」
だが、そのコピーは問答無用で僕へと襲い掛かってきたのですよ!
「フンガ~ッ!」
「だから違うってば!」
その一撃をかわすべく、僕は空いている方へと身を跳ばした!
「フギャッ!?」
跳ばしたはよかったけど…そこは紛れもなく壁でした…。いやはや、何ともお恥ずかしい限りで…。
僕はその壁へと強かに顔をぶつけ、掛けていた眼鏡を美しいくらい綺麗に壊してしまいました。
すると…
「ウヒョ!」
「ヌオ!」
「メロン!」
いつもながら、三つ目って変よ?「メロン」て叫び声ちゃうでしょ?ってか、そう意味不明な叫び声を上げながら、次々と擬き達が消えてゆくではありませぬか!
「なんで?」
そう、なんでなのかさっぱりです。しかし、消え行くコピー達よりも、戦っていた愉快痛快な三人が僕を見て唖然としてますが?
「………?」
「………?」
「………?ニョ~ぽニョ~ぽニョぽあひるの毛♪」
メラ…最新作だね!ってかそうでなく、異質な目で僕を見てるのはなぜだ!?
「コ、コバピー…?お前…父親似だったのか…!?」
「なぜだ…なぜここまで変化するんだ…?」
「君は…本当に人間なのか…?それとも…」
三人してアワアワしておりますが、僕は眼鏡がないと殆んど見えないんだよね。
そんな時、背後から聞き慣れた声がしたのでした。
「はふぅ、キャンセルされたな?ああ、良かったぁ!」
それは紛れもなく父の声!
「ダディッ!」
「あっ!我が息子が普通になってる!」
普通ってなに?僕、今まで普通じゃなかったのか?ってか、やっと戻っての一声がこれかい!
僕がそこはかとなくムカついていると、メラが何処からともなく姿見を運んできて言った。
「君、自分の姿を見てみろ!」
よく見ると、そこには背の高い…ん?こいつは誰なんだ?いや待てよ…こりは僕じゃあないですか!
「ダディ?なんで…」
「お父さん、息子がモテモテなんて何だかムカつくから、それとなく眼鏡に細工しちゃってたんだ」
ダディ…一度死んでみた方が宜しくなくって?まったく…だからって眼鏡にどんな細工したらこうなるんだっつぅの!
そんな僕の心を知ってかしらずか、どんぴしゃな感じでみほ殿が父に跳び蹴りをかましたのでした。
「グフォ!」
はいはい、そのまま地の果てまで飛んでっておしまい…。
「わぁ~!コバピーさん、やっと元に戻ったんですねぇ~!」
父が飛んでった直後、ゆるい声が聞こえてきた。
「リツさん!」
「リツさん!」
「リツさん?」
「メラは知らねぇって…。」
そこにいたのは、今まで行方不明だったリツさんだった。ほんと、どこへ行ってたのやら…。
「えっと~、隣町でぇ~何だかぁ~一人で缶蹴りを~していたみたいでぇ~」
「いや、もういいです…。充分解りましたから…。」
何だかなぁ…もぅ!
「ま、これで一件落着ってことだな!」
けぃがそう言うと、何を考えてるんだか、いきなりリツさんがこう言ったのだ。
「私ぃ~、コバピーさんの~この姿がぁ~好きなんですよぅ~♪」
「なにぃ!」
「なにぃ!」
「……隣はトッロロ トッロ・ロ♪」
「メラ!お前はどこぞのパクりしか出来んのか!」
ってか、僕はけぃとみほ殿に狙われてる?なんか目が怖いんですけど…!
「コバピーくん?覚悟はいいかにゃ?」
「コバピーよぅ?歯ぁ食いしばれや…。」
えっと…あの…何か逃げた方が良いのではないのでせうか?
「リ…リツさん…」
「やっぱりぃ~最後は~こう言うオチがぁ~一番かなぁ~って。エヘッ」
「エヘッじゃありませんよ!!」
僕は走った。凶悪な凶器と化した二人から逃げるため、自らの命を守るためにっ!
走って…走って…!
「ってか、僕主役じゃなかったのか!?」
「んなわけねぇだろ!」
けぃとみほ殿は仲良くハモっております。ほんま仲良しさんでんなぁ。
ま、結局は僕の眼鏡が元凶だったみたいですね…。それも割れて無くなったことですし、ここはこれにてお開きに…
「しねぇぞっ!」
「させっかよっ!」
「もう、勘弁してちょ!!」
The end ?
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