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英雄伝説~灰の軌跡~ 閃Ⅲ篇

作者:sorano
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第27話

~ハーメル廃道~



「やったあああっ!」

「機能停止―――奇妙な力の流れも完全になくなったみたいです。」

「……へっ………」

「やりやがったか……!」

「ふふ……見事だ。」

「まずはこれで”1体”、ですね。」

「問題はあんな代物を結社がいくつ持っているかだが……今は、そんな事を気にしていても仕方ないな。」

「ふふっ、そうですわね。」

「ん……連携も良かった。」

「新Ⅶ組……いいクラスみたいだね。」

ヴァリマール達の勝利にユウナ達はそれぞれ喜んだり嬉しそうな様子でヴァリマール達を見つめた。

「な、なんですの、その力は!?」

「ふむ……”実験”は終了か。」

「まあ、最初にしては上出来と言うべきかしら?」

「ふふっ、そうだね。いいタイミングみたいだし。」

一方ヴァリマール達との戦いを見守っていたデュバリィは驚き、冷静な様子で呟いたアイネスとエンネアの言葉にシャーリィが頷いてある方向へと視線を向けたその時

「―――そこまでだぜシャーリィ!」

ランディが操縦するヘクトルがヴァリマール達の背後から現れた!



「あ……ランディ先輩!」

「来てくれたのか……」

ランディの登場にユウナは喜び、リィンは苦笑していた。

「ああ、他の連中もこちらに駆けつけている。”おいた”は終わりだ―――全員、覚悟してもらおうか!?」

「くっ、生意気な……」

「ふふっ……ちょっと喰い足りなかったけどまたのお楽しみかな。今度はちゃんと殺り合ってくれるよね――――”猟兵王”?」

ランディの警告にデュバリィが唇を噛みしめている中苦笑したシャーリィはある方向へと視線を向けて不敵な笑みを浮かべてリィン達にとって驚愕の人物の二つ名を口にした。

「……え………」

「なに……!?」

「へえ?」

シャーリィが叫んだある人物の二つ名を聞いたフィーが呆け、ランディが驚き、レンが興味ありげな表情をしたその時

「―――なんだ、気づいてやがったか。」

なんとシャーリィが視線を向けた方向にいつの間にかゼノとレオニダス、そしてリィン達が昨日の人形兵器の探索・撃破の最中に出会った謎の中年の男がいた!



「………………」

「チッ、いつの間に……!」

「あ、あのオジサン……!」

「やはり貴方も今回の件に何らかの関係があったのですか……」

「あのマークは……」

「……なるほど。そちらの所属でしたか。」

中年の男の登場にフィーが呆けている中アガット達は様々な反応を見せた。

「久しぶりやなぁ。黒兎、それに”闘神の息子”。」

「そちらは6年ぶりくらいか。」

「”西風の旅団”―――なんでここにいやがる!?そ、それにアンタは……」

ゼノとレオニダスに声をかけられたランディは厳しい表情で声を上げた後困惑の表情で中年の男を見つめた。



「ハハ、まさかここに関係者一同が集まるとはな。嬢ちゃんも久しぶりだ。相手できなくて悪かったな?」

「ま、”実験”は終了したから別にいいけどね。それにしても、あはは!”本当に生きてたなんて”……!”空の覇者”に討ち取られたのはこの目でちゃんと見たのにさ………!」

「”空の覇者”――――ファーミシルス大将軍閣下ですか……」

「あの大将軍閣下を相手にして生き延びるとか、どんな化物―――いや、”一度討ち取られた”から、大将軍閣下との戦闘で敗北した後大将軍閣下は死んだと判断して去った後に奇蹟的に生き延びていたのか……?」

「うふふ、ファーミシルスお姉さんに限って止めを刺さずに去るなんて事はしないはずよ。―――ましてや、自らが”強者”と認めた相手は特に、ね。」

「っ………」

「ま、まさか………」

「4年前に亡くなったというフィーの育ての親―――」

「”西風の旅団”の団長か!?」

男とシャーリィの会話を聞いてある事に気づいたステラは考え込み、フォルデの疑問にレンは意味ありげな笑みを浮かべて答え、フィーは辛そうな表情で顔を俯かせ、男の正体を察したエリオットとラウラは信じられない表情をし、リィンは男の正体を口にした。



「フフ………西風の旅団長、ルトガーだ。改めてよろしくな、新旧Ⅶ組と特務部隊。それにフィー、ずいぶんと久しぶりだぜ。」

中年の男――――フィーの育ての親にして”西風の旅団”の団長である”猟兵王”ルトガー・クラウゼルは懐かしそうな表情でフィーに声をかけた。

「ど、どうして……だって団長はあの時に……お墓だって作った……!ゼノ、レオ、どういう事……!?」

「いや~、別にお前を騙しとったんとちゃうで?これには色々と込み入った事情があってなぁ。」

「結果的に、お前を置いて消えた理由の一つでもある。”真の雇い主”の要請で今は亡きカイエン公と貴族連合に協力していたことも含めて。」

「なっ………」

「あの内戦で、西風の旅団が貴族勢力以外に雇われていた……?」

「うふふ、中々興味深い話ね。」

「……………………」

ゼノとレオニダスが語った驚愕の事実にラウラは絶句し、エリオットは困惑の表情をし、レンは小悪魔な笑みを浮かべてルトガー達を見つめ、フィーは呆けていた。

「ま、背はそんなに伸びなかったが大きくなったモンだぜ。遊撃士もヤクザな商売だが猟兵稼業よりは百倍マシだろう。”紫電”のお嬢ちゃんにはいつか礼を言っとかないとな。」

「……団長……………本当に団長なんだ。どうして―――一体、何がどうなってるの!?」

「―――サラへの伝言は俺が預かっておこうじゃねえか。遊撃士協会としても色々と話を聞いてみたいからな?」

フィーのルトガーへの問いかけに続くようにアガットは大剣をルトガー達がいる方向に向けて問いかけた。



「ハハ、こっちはギルドと事を構えるつもりはねぇんだが。ま、今後は色々と動くつもりなんで挨拶だけはしておくぜ。」

自身のリィン達に対して伝えたい事を伝え終えたルトガーはその場から飛び降り

「団長……!?」

「と、飛び降りた……!?」

「いや、この音は―――」

ルトガーの行動にリィン達が驚いたその時何かの機械音がし、ルトガーが飛び降りた先から紫色の騎神らしき機体が現れた!

「な……!?」

「新手……!?」

謎の機体の登場にリィン達が驚いていると謎の機体はアイオーンに激しい攻撃を叩き込み始めた!

「あははははっ……!」

「迅い……!」

謎の機体の強さにシャーリィが無邪気に喜んでいる中デュバリィが驚いていると謎の機体はアイオーンの両足と両腕を斬り落とした!

「クルト、ランドルフ教官、レン教官!」

「はい!」

「おおっ!」

「ええ!」

その様子を見てある事が起こる事を察したリィンがクルト達に呼びかけるとヴァリマール達はユウナ達の前に出てアイオーンの破壊によって起こる爆発に備えた。そして謎の機体はアイオーンに止めを刺してアイオーンから大爆発を起こさせ

「きゃああっ……!」

「クラウ=ソラス……!」

襲い掛かる爆発の余波にユウナは思わず悲鳴を上げ、アルティナはクラウ=ソラスを自分達の前に出して障壁を展開させて爆発の余波を防いだ。



「ぁ……」

「馬鹿な……あれではまるで……」

「紫色の……騎神!?」

「あはは!さすがは”闘神”のライバル”今度はちゃんと相手をしてよね!」

「クク、いいだろう。フィー、灰色の小僧もまたな。」

「ほななー!」

「せいぜい精進するがいい。」

そして謎の機体を操るルトガーを始めとした西風の旅団はその場から去り

「コラ、待ちやがれ!」

それを見たランディは声を上げた。

「まったく……敵同士で何を悠長な。」

「フフ………相手にとって不足なしだ。」

「ええ、次の邂逅が楽しみね。」

デュバリィ達もルトガー達に続くように転移の魔導具を起動した。



「それでは失礼しますわ第Ⅱ分校、それに遊撃士協会。」

「『幻焔計画』の奪還もようやく始まったばかりだ。」

「”我々”と”彼ら”の戦い……指を咥えて眺めていることね。」

そしてデュバリィ達が転移の光に包まれたその時、転移の光は突然消えた!

「あら……?」

「転移の光が消えた………だと……?」

「ちょっとー、一体何があったのー?」

「そ、それは私達もわかりませんわ!?途中まではちゃんと起動していたのに、一体何が――――」

転移の光が消えた事にデュバリィ達が困惑したその時

「だぁっはっはっはっ!援軍に来たぜ!」

「教官達、ご無事ですか!」

「よっしゃ!Ⅶ組も無事みたいだぜ!」

「アッシュ!君も何をやっている!」

「ええい、先行するな!」

「まずは周辺の警戒を……」

ランドロスを始めとしたⅧ組のメンバーやミハイル少佐、トワもその場に駆けつけた!



「――――やれやれ、まさに”千客万来”の状況だな。」

するとその時リィン達にとって聞き覚えのある声が聞こえてきた!

「と、突然声が……?」

「新手か……!?」

「な………」

「あら、この声は確か―――」

「!!どこにいるのですか!?No.Ⅱ―――”剣帝”レオンハルト・ベルガー!」

「くふっ♪死にたくなければせいぜい逃げ回ればぁ!?――――三連制圧射撃!!」

聞こえてきた声にⅧ組のメンバーが戸惑っている中声に聞き覚えがあるアガットは絶句し、エンネアが目を丸くし、血相を変えて周囲を見回したデュバリィが声を上げたその時デュバリィ達の頭上に転移魔術で現れたエヴリーヌがクラフトを発動してデュバリィ達の頭上から無数の矢を降り注がせた!

「なあっ!?」

「上空からだと……!?」

「クッ、まさか私が矢による奇襲を許すなんて……!?」

頭上から襲い掛かる矢の雨に驚いたデュバリィ達がそれぞれ回避や防御行動に専念し始めたその時、ルトガー達がいた場所とは反対の場所の森に潜んでいたレーヴェが人間離れした動きでシャーリィに強襲した!

「おっと!」

レーヴェの強襲攻撃に対してシャーリィは後ろに跳躍して回避した。

「破邪の力よ、我が刃に力を――――エクステンケニヒ!!」

「十六夜――――”斬”!!」

「「きゃあっ!?」」

「ぐっ!?」

一方デュバリィ達が回避や防御に専念している間にレーヴェが現れた場所から人間離れした動きで一瞬でデュバリィ達に近づいたプリネとツーヤはデュバリィ達を挟み撃ちにしてそれぞれ光の魔法剣と抜刀による広範囲の斬撃のクラフトをデュバリィ達に叩き込んでデュバリィ達を怯ませた!



「………………」

自身の強襲を回避したシャーリィと対峙したレーヴェは静かな表情で剣を構え

「ええっ!?あ、貴方達は……!」

「”特務部隊”出身にして元結社の”執行者”No.Ⅱ――――”剣帝”レオンハルト・ベルガー!それに”魔弓将”やプリネ皇女殿下、”蒼黒の薔薇”まで……!」

「い、一体いつの間にここに……」

「というかレン教官……まさかとは思いますが、ツーヤお姉様達の登場も予想をしていらしていたのですか……?」

レーヴェ達の登場にトワは驚き、ミハイル少佐は信じられない表情で声を上げ、リィンは困惑し、ある事を察していたセレーネは疲れた表情でレンに問いかけ

「クスクス、むしろ”ハーメル”が関係しているのに、レーヴェ達が来ない事を推測する方がおかしいわよ♪」

セレーネの問いかけに対してレンは小悪魔な笑みを浮かべて答えた。

「”剣帝”レオンハルト……兄上の話にあったプリネ皇女殿下の親衛隊副長にして元結社の最高峰の剣士……」

「ええっ!?それじゃあ、あの銀髪の剣士の人も元結社の人だったの!?」

「はい。しかも戦闘能力は結社でも分校長や”劫焔”に次ぐトップクラスの使い手だったそうです。」

「………っ!あの野郎はまさか………!?」

一方リィン達同様レーヴェ達の登場に驚いて呆けた様子でレーヴェを見つめて呟いたクルトの言葉を聞いて驚いたユウナの疑問にアルティナは答え、レーヴェの顔を見て何かに気づいたアッシュは左目を抑えてレーヴェを睨みつけた。



「クッ……No.Ⅱどころか”姫君の中の姫君(プリンセスオブプリンセス)”に”蒼黒の薔薇”、それに”魔弓将”まで……!現れたタイミングとわたくし達の転移の魔導具の発動がしなかった事を考えると、まさか貴女方が何かしたのですか!?」

「―――その通りです。”転移封じの結界”。メンフィルがウィル様達――――ユイドラの”工匠”達と協力して開発した魔導具です。」

「”転移封じの結界”とはその名の通り、魔術、魔導具に限らず”転移”に関わる類のものは全て封じる魔導具です。効果範囲が限られている事やある条件がなければ、味方も転移できない等欠点が残されている”試作品”ではありますが……」

「いざとなったら”転移”で逃げるお前達のウザイ行動を封じられるんだから、いつも”転移”に頼っているお前達にとっては嫌な道具でしょう?キャハッ♪」

唇を噛みしめて声を上げたデュバリィの問いかけに対してプリネとツーヤは静かな表情で答え、エヴリーヌは凶悪な笑みを浮かべてデュバリィ達を見つめた。

「なあっ!?」

「”ウィル”……”工匠”……”ユイドラ”……―――なるほど。かの”匠王”が私達が持つ転移の魔導具を封じているこの状況に関わっていたようね……」

「そのよう魔導具を持ち出し、しかも普段はバリアハートや異世界の本国にいる貴女達がわざわざこの場に現れた理由は……この状況を考えれば、愚問か。」

「シャーリィ達を”狩る”つもりなんだ?」

プリネ達の話を聞いたデュバリィは驚き、エンネアとアイネスはプリネ達の動きを警戒しながら厳しい表情で答え、シャーリィは不敵な笑みを浮かべてレーヴェを見つめた。

「大正解♪というか”実験”する場所をよりにもよって”ハーメル村”を選ぶなんて、ポンコツなのは1年半前から変わっていないわね、”神速”は♪」

「だ、誰がポンコツですって!?」

レンの言葉を聞いたデュバリィはレンを睨んだが

「逆に聞かせてもらうけど、大方貴女達の事だから”要請(オーダー)”の件も知っていて、その”要請(オーダー)”をも利用した”実験”を行ったのでしょうけど……”この場所”で”実験”を行えば、パパとシルヴァンお兄様の”要請(オーダー)”を受けたリィンお兄さんを補佐する人員としてレーヴェが来ないと、本気で思っていたのかしら?」

「グッ……!」

「何……!?」

「リ、リィンが受けている”要請(オーダー)”をも利用した”実験”って……」

「恐らく”騎神”が関わっているのでしょうね……」

「まさか”そこまで気づかれていた”なんてね……」

「さすがは”殲滅天使”―――――いや、”小さな参謀(リトルストラテジスト)”といった所か……」

レンの指摘に反論できないデュバリィが唸り声を上げている中アガットは驚きの声を上げ、エリオットは困惑の表情で呟き、ステラは静かな表情で推測し、エンネアは厳しい表情で呟き、アイネスは重々しい様子を纏って呟いた。



「――――そう言う訳だ。多くの死者たちが静かに眠っていた”ハーメル”を騒がせたその愚かさ………かつて”ハーメル”を滅ぼした者達と同じ猟兵であるお前自身の”命”で償ってもらう――――血染め(ブラッディ)―――いや、”紅の戦鬼”シャーリィ・オルランド。」

「あはははは……っ!今回の”実験”は喰い足りない結果で終わると思っていたけど、まさかこんな”御馳走”が転がり込んでくるなんてねぇ!”剣帝”とも一度殺り合いたいと思っていた所なんだよね……!」

魔剣を突き付けたレーヴェに対して好戦的な笑みを浮かべたシャーリィも自身の得物を構えた。

「いや――――先程の”続き”も、再開させてもらうから、あんたの相手はレオンハルト准将だけじゃない――――”紅の戦鬼”シャーリィ・オルランド。」

「リ、リィン……!?」

「そなた、まさかあの”力”を……」

するとその時静かな表情で前に出て集中を始めたリィンの様子を見てある事を察したエリオットとラウラが驚きの声を上げたその時

「神気――――合一!!」

リィンは”鬼”の力を解放し、更に”神剣アイドス”を鞘から抜いた!

「あ、あれ……?あの”太刀”って、教官がいつも使っているのじゃないわよね……?」

「ああ……今まで教官が頑なに抜く事すらなかったもう一本の”太刀”だ。しかし……なんて”力”だ……離れていても、あの”太刀”から凄まじい”力”を感じる。」

「―――”神剣アイドス”。リィン教官の婚約者にして女神であるアイドス様自らが宿る”神剣”です。」

リィンが鞘から抜いた神剣アイドスを見て首を傾げたユウナの疑問に答えたクルトは神剣アイドスを見つめ、アルティナは解説し

「ええっ!?それじゃああの”太刀”にメサイア皇女様みたいに、教官の婚約者の一人が……―――って、今、”女神”って言わなかった!?」

「はい、正真正銘本物の”女神”があの”太刀”に宿っている為、まさに”神剣”と呼ぶべき武装です。”神剣”ですから当然威力も古代遺物(アーティファクト)クラスの武装ですらも比較できない程強力な為、リィン教官は生身で機甲兵や戦車等の”兵器”に挑む時を除けば”よほどの強敵”を相手にする時以外抜く事はありません。そしてあの剣を抜いたという事は恐らくアイドス様も―――――」

「力を貸してくれ―――アイドス!」

自分の解説に驚いているユウナにアルティナが補足の説明を仕掛けたその時、リィンはアイドスを召喚した!



「な、なんだぁ……!?」

「リィン教官の太刀から女性が………」

「綺麗な人………」

「な……あの女は……!おいおい……どうなってやがるんだ!?正義の大女神(サティア)はエステルに宿っているはずだろう……!?」

アイドスの登場に分校の生徒達が驚いている中アイドスの容姿を見たアガットは一瞬絶句した後困惑の表情で声を上げ

「メサイア皇女様じゃない……という事はもしかして、あの人もリィン教官の婚約者の一人で、しかも女神様なの……!?」

「―――はい。”慈悲の大女神”アイドス様。争いを誰よりも嫌う性格をしている方ですが教官が契約している異種族達の中では間違いなく”最強”の使い手です。」

「さ、”最強”って……!」

「あの女性が兄上の話にあった”飛燕剣”の使い手か……」

分校の生徒達同様驚いているユウナの疑問にアルティナは静かな表情で答え、アルティナの答えを聞いたユウナが信じられない表情をしている中クルトは興味ありげな様子でアイドスを見つめた。

「我が祖国メンフィルが今もなお行い続けている”蛇狩り”を成功させる為……そして元”特務支援課”の一員として、”碧の大樹”では付けられなかった決着をロイド達の代わりに今ここで付けさせてもらう、”紅の戦鬼”シャーリィ・オルランド!」

「生者達の争いを愉しむ”狂人”の子よ………これ以上、貴女の”狂気”によって巻き込まれる生きとし生ける者達が出る事を防ぐ為に、そして貴女が今まで犯した”罪”を我が姉正義の大女神(アストライア)に代わって裁く為に私自らが剣を取ります。――星芒より出でよ、”真実の十字架(スティルヴァーレ)”!!」

「あははははっ!それが灰色の騎士のお兄さんの”本気”なんだ……!灰色の騎士のお兄さんが呼んだお姉さんといい、面白くなってきたじゃない……!で、その様子だとランディ兄もシャーリィを”狩る”つもりなの?」

リィンの宣言と自らの神剣を異空間から呼び寄せたアイドスの宣言に好戦的な笑みを浮かべたシャーリィはヘクトルから降りてリィン達に近づいてきたランディに視線を向けた。

「まあな……リィン同様俺も元”特務支援課”の一員としてロイド達の代わりに決着を付ける義務があるし、それに……俺は古巣(おまえら)と決別した事を他の連中に知らしめる必要もあるしな。ハァァァァァァ……ウォォォォォ――――!」

シャーリィの問いかけに対して静かな表情で答えたランディは紅き闘気を全身に纏うクラフト――――クリムゾンクライを発動して全身に紅き闘気を纏って普段使っている得物(スタンハルバード)ではなくリィンが普段使っている太刀と同じ”匠王”ウィルフレド・ディオンの娘達が開発したランディ専用のブレードライフル――――メルカルトを構えた。

「――ま、そう言う訳だから身内に引導を渡す意味も込めて、俺も加勢させてもらうぜ、リィン、”剣帝”。」

「ランディ……ああ、よろしく頼む。」

「―――好きにしろ。」

ランディの言葉に対してリィンは頷き、レーヴェは静かな表情で答えた。



「教官、私達も加勢を――――」

「―――止めときな。」

一方その様子を見守っていたゼシカはⅧ組のクラスメイト達と共にランディ達の加勢をしようとしたが、ランドロスがゼシカ達の先を遮るかのように片手を真横に広げた。

「どういうつもりだい、ランドロス教官?」

「ここからは”強者”と”強者”が殺し合う”戦場”の中でも”特上の戦場”だ。雛鳥達のお前達があの場に加わるのはまだ早い。―――勿論主任教官殿や戦闘ではなく主に頭脳を担当していた”紅い翼”を率いた才媛、そして”旧Ⅶ組”の連中でも、あの中に加わってあのメンツの足を引っ張らずに生き残る事が厳しい事は理解しているだろう?」

「そ、それは………」

「フン………そちらこそ、シュバルツァー教官達に加勢しなくていいのか?ランドロス教官にとっても”紅の戦鬼”は因縁がある相手ではないのか?」

レオノーラの問いかけに対して不敵な笑みを浮かべて答えたランドロスの指摘にトワは複雑そうな表情をし、ミハイル少佐は鼻を鳴らした後真剣な表情でランドロスに問いかけ

「クク、それについてはランディが俺達の分も纏めて引導を渡してくれるから、わざわざオレサマが出るまでもねぇさ。」

ミハイル少佐の問いかけに対してランドロスは口元に笑みを浮かべて答えた。



「うふふ、”紅の戦鬼”はリィンお兄さん達に任せてレン達は”鉄機隊”の相手をするわよ、ステラお姉さん、フォルデお兄さん、セレーネ。」

「はい。」

「了解。」

「はい……!」

そしてレンはステラ達に呼びかけた後転移魔術を発動してステラ達と共に転移し

「クッ……―――撤退に専念しなさい、No.ⅩⅦ!幾ら貴女でも、その4人を同時に相手するなんて貴女に勝ち目はほとんどありません―――いえ、全くありません!わたくし達も協力しますから、撤退に専念しなさい!エンネア、アイネス!No,ⅩⅦが撤退できるように――――」

リィン達の加勢の様子を見ていたデュバリィはシャーリィに忠告をした後エンネアやアイネスに指示をしかけたが

「うふふ、リィンお兄さん達の邪魔はさせないわよ?」

転移魔術を発動したレンがステラ達と共にデュバリィ達の前に現れた。



「なあっ!?」

「先程そちらが使った転移封じの結界の魔導具は味方の転移も封じると説明したにも関わらず、転移の手段を取ってくるとは……!」

「大方、説明の中にあった”ある条件”とやらを”殲滅天使”は満たしているのでしょうね。」

結界によって転移が封じられている中でレンが転移魔術を使った事にデュバリィとアイネスは驚き、エンネアは厳しい表情で推測を口にした。

「―――その通りです。貴女達の相手は私達がします―――”鉄機隊”。」

「そんじゃ、俺達もさっきの”続き”を再開しようぜ、”神速”。」

「”紅の戦鬼”の心配よりもまずは自分達の心配をする事ですね。」

「くっ、”星洸陣”を使おうにも、こうも分断されていては………!」

プリネとフォルデ、ステラが対峙したデュバリィはそれぞれの相手と対峙しているアイネスとエンネアの様子を見て唇を噛みしめ

「プリネ皇女殿下親衛隊長にして専属侍女長ツーヤ・A・ルクセンベール、参ります。」

「アルフヘイム子爵家当主にしてトールズ第Ⅱ分校”Ⅶ組”副担任、セレーネ・L・アルフヘイム、我が姉ツーヤと共に貴女のお相手をさせて頂きます……!」

「フフ、本来ならばかの双子の竜姫姉妹が相手とは腕が鳴るな……と言いたい所だが、今のこの状況だと正直喜べないな。”鉄機隊”が隊士、”剛毅”のアイネス。この窮地、我が斧槍にて切り抜けさせてもらう……!」

ツーヤとセレーネが対峙したアイネスは口元に笑みを浮かべて斧槍(ハルバード)を構え

「ん~?ねえ、レン。あの弓使いの女騎士ってな~んか見覚えがあるんだけど、レンは知っている?」

「あら、エヴリーヌお姉様ったらもう忘れちゃったのかしら?”影の国”のパパとエクリアお姉さんの”試練”の途中で出てきてエヴリーヌお姉様自らが討ち取ったエヴリーヌお姉様の二つ名に似た二つ名を持つ”魔弓”のエンネアよ♪」

「キャハッ、道理で見覚えがある訳だ♪あの時同様、すぐに潰れないように手を抜いてたっぷり遊んであげるよ♪」

「あらあら……まさか”影の国”で私の”偽物”まで出て来ていたなんてね。”偽物”を倒したからと言って本物である私をそこまで侮ったその傲慢、すぐに後悔させてあげるわ。」

エンネアは自身と対峙した相手―――エヴリーヌとレンの会話を聞くと微笑みを浮かべながらも目は笑っていない表情で弓矢を構えた。



「ハァァァァァ…………!」

「な、何これ………闘気で空気が……震えている……?」

「っ……!何という剣気……!この剣気……兄上―――いや、父上や叔父上以上……!?それにリィン教官達から感じられる剣気も尋常じゃない……!ハハ……ランドルフ教官もそうだがリィン教官の実力を僕は完全に読み違えていたようだな……」

レーヴェが練り始めた空気を震わせる程の莫大な闘気の余波を受けたユウナと共に驚いたクルトは苦笑し

「あははははっ!面白くなってきたねぇ!!」

シャーリィは一流の猟兵達のクラフト―――”戦場の叫び(ウォークライ)”の上位技であるオーガクライを発動して全身に莫大な紅き闘気を纏って武器を構え

「トールズ第Ⅱ分校”特務科Ⅶ組”担当教官、リィン・シュバルツァー以下4名。これより結社”身喰らう蛇”の”執行者”――――No.ⅩⅦ”紅の戦鬼”シャーリィ・オルランドの”討伐”を開始する。みんな、行くぞ!」

「おおっ!」

「ああ!」

「ええ!」

そしてリィンの号令を合図にリィン達はそれぞれ戦術リンクを起動させてシャーリィ達との戦闘を開始し、プリネ達も戦術リンクを起動させて”鉄機隊”との戦闘を開始した――――!


 
 

 
後書き
という訳でここから光と闇の軌跡シリーズ恒例の原作をぶっ潰す久々のメンフィル無双の時間ですwwというか書いていて気づきましたけど、何気に今回の話で原作ではありえなかったアッシュとレーヴェの邂逅が実現してしまいました(汗)果たして大丈夫だろうか……アッシュがwwそして今回の話でも何気にウィル達ユイドラ勢が関わっていましたwwウィル達にかかれば、転移封じの結界くらい楽勝かと。理由?それは当然”工匠に不可能はない!”だからです(オイッ!)なお、レーヴェ達の登場のBGMは空FCかFCEVOの”銀の意志”で次回の戦闘BGMは空3rdか3rdEVOのカシウスや黒騎士戦のBGMである”銀の意志”だと思ってください♪ 
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