相談役毒蛙の日常
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
二十六日目
「キリト!SAOクリアおめでとう!」
と茶髪の女子…リズベットの姉御(なんとなくそう呼びたくなる人である)が乾杯の音頭を取り、周りがそれに続く。
「おめでとー」
「おめでとう?」
「でとー」
「おめでとーなの」
「おめでとうなの」
上から俺、慧奈、葵、林檎、蜜柑である。
カオスブレイブズからはこの五人しか参加していない。
他の奴らは本日実装の謎(笑)のダンジョン攻略へ向けて準備中だ。
え?俺達はいいのかって?
カオスブレイブズでこういう準備は各隊単位でやる。
第一遊撃小隊は特に準備も無いし、ヒーラー隊は既に準備が終わっているらしい。
テルキス達も来ないかと誘ったがキリトとはあまり面識が無いからと断っていた。
とは言え2、3回程は一緒にクエストをやったと思うんだがなぁ…
「兄様、兄様」
「どうした蜜柑?」
「お腹すいたの」
「おう、そうか。そこら辺にある料理食ってもいいぞ。
林檎もな」
「ん、わかったの」
「隊長達も食べるの!」
「そうだな。じゃぁドリンクとって来る」
四人から少し離れ、ジュースが置いてある所へ。
「えーと、林檎と蜜柑はメッツアップル、葵はコーラ、慧奈は…コーラでいいか」
それと…
「ビールだな」
四人のコップにそれぞれのドリンクを容れた後、自分のコップにビールを注ごうとした時…
ガシッ!
「何してるのかなぁ?トード君?」
「うげ…お姫様」
ビールを注ごうとした俺の腕を、細い腕で握っていたのはお姫様だった。
「君、未成年だよね?」
「え?あー、まぁ、そうっすね」
「ダメだよ。お酒は二十歳になってから!」
「へーへー、解りましたよ桐ヶ谷婦人」
「ふぇ!?」
お、赤くなった。
このスキに…
とぽとぽっとビールを注ぐ。
「じゃーねー」
四人の元へ戻ると、葵に呆れた顔をされた。
「お前…またビールかよ?
蜜柑と林檎の教育に悪いんじゃないのか?」
いやー、父さんとか綾雨さんの晩酌に付き合ってたらねー…
「ふっふっふ…蜜柑、林檎」
「「お姉ちゃん、ばれなきゃ犯罪じゃないの!」」
と二人が声を合わせて言った。
「おい、幼女に何仕込んでんだ?」
「灯俊君?」
葵はゲスを見る目で、慧奈は無表情で俺を睨む。
「それに隊長のお酒私達も飲むのー」
「兄様の選ぶお酒って美味しいの」
あー、コイツらオニキス・ミードとか好きだったよな…
あとルベライト・ワインとか…兎に角甘い酒が好きだった。
「残念ながらこれは苦いぞ。お前らにゃまだ早い。
これシトリン・ビアーみたいな味だぞ」
「ならいいや」
「じゃぁ止めとくの」
すると葵に後ろ襟を掴まれてダイシー・カフェの端っこに連れてかれた。
「おい、お前バカか?」
「いや、何がだよ?」
「あんな小さい子どもに酒を飲ますとはどういう了見だ?」
ん? もしかして…
「おい葵。お前勘違いしてねーか?」
「何をだ?オレはオレの友人がゲスだったら一発ぶん殴るだけだ」
「だからそれが勘違いだっつーの。
流石の俺もあの二人に酒なんて飲ませねーよ。
少なくとも、現実ではな」
「現実では…?」
「ALOのステータスアップアイテムの大半は酒だ
トパーズ・ウィスキー、シトリン・ビアー、オニキス・ミード、ルべライト・ワイン、サファイア・リキュール、エメラルド・アブサン、ハンベルジャイト・ジン、ダイアモンド・スピリタス…
それぞれ特定のステータスを上げる酒だ」
「嘘…ではないらしいな」
「そも俺がそんな事をしていたらこういう時に林檎と蜜柑を二人の親から任される訳が無いだろう。
それに、イクシーズが黙ってない」
葵はチラリと慧奈を見て、その言葉が本当だと判断したようだ。
「なら…いい」
「さーてと、呑むか…」
「待てやコラ。未成年者飲酒禁止法」
ハッハー、そんなの本職の刑事が未成年に呑ませてんだから問題ナッシング!
「葵さん……ばれなきゃ犯罪じゃないんですよ」
「ふん!」
「レバー!?」
某這いよる邪神の物真似をしたらレバーに一発貰ってしまった。
おーい、クライン!
ん?どうしたカトラスちゃん?
あのバカが呑もうとしてたビール処理してくれ
おいおい…相談役は何してるんだよ…
どうやら葵は例のビールをクラインに持っていったようだ。
テーブルに戻る途中、さりげなーく瓶ビールをくすねておく。
「うーし、呑むぞお前ら」
「呑むのー!」
「宴会なのー!」
「「はぁ…」」
ページ上へ戻る