オズのトト
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第九幕その十一
「本当に」
「ドロシーさんはそうした人が多いですね」
「多過ぎて数えきれない位よ」
ドロシーは笑って恵梨香に答えました。
「もうね」
「やっぱりそうですか」
「もうどれ位か」
それこそというのです。
「わからないわ」
「そうですよね」
「オズマに」
何といっても最初は彼女でした。
「かかしさん、樵さん、臆病ライオン」
「魔法使いさんもですね」
「おじさんとおばさん、ベッツイにトロットに」
「今いる私達もですね」
「勿論よ、トトだってそうだし」
彼を忘れず筈がなく今も見ています。
「腹ペコタイガー、ビリーナ」
「皆もですね」
「いつも一緒にいたいわ」
「ずっとですね」
「オズの国では誰も死なないからずっとだけれど」
それでもというのです。
「やっぱりね」
「ずっといつも一緒に」
「沢山の人達とですね」
「いたいわ」
「そうですよね」
「人はそうだわ」
こう恵梨香にお話しました。
「いつもね」
「一緒にいて」
「楽しく過ごしたいわ」
「そうですか、そう言われますと」
「恵梨香達もでしょ」
「はい」
そうだとです、恵梨香も答えました。
「そうですね」
「人が一人でいるとね」
「寂しいですよね」
「そう、私は特にね」
「一人でいることはですか」
「苦手な方だから」
実はドロシーは寂しがりなのです、一人でいることが苦手です。
「それでね」
「冒険もですね」
「誰かがいてくれてね」
「楽しんですね」
「私だけで冒険をしたことは」
これまで数多い冒険をしてきましたが。
「なかったんじゃないかしら」
「そういえばそうですね」
「半分以上絶対にトトがいて」
「トトがいなくても誰かが一緒で」
「お一人だったことないですね」
「私達が知ってる限りでも」
五人もこのことについて言います。
「ドロシーさんの冒険は」
「いつもどなたかと一緒ですね」
「それで楽しく冒険されて」
「ピンチも皆で切り抜けて」
「そうされてますね」
「ええ、若し私が一人だったら」
ドロシーはそうした場合はどうなのか、自分で言いました。
「どうしようもない時もあったわ」
「そうなの?」
ボタンがそのドロシーに尋ねました。
「ドロシーだったらどんなトラブルも平気なんじゃ」
「そうでもないのよ」
「どうしようもない時もあったの」
「そうよ」
それが実際だというのです。
「本当にね」
「そうは見えないけれどね」
「ボタンにはそう見えても」
「ドロシーとしてはだね」
「そんな時も多かったわ」
「そうだったんだ」
「人は一人じゃいられないよ」
カエルマンがボタンに穏やかな声で言いました。
「誰でもでね」
「学校も一人ではどうしようもないしね」
教授もボタンに言いました。
「冒険も他のこともだよ」
「僕もドロシーがいなかったら」
トトはそのいつも一緒にいる彼にとって一番のお友達を見ました。
「どうなっていたかなって時も多しね」
「私もよ。トトがいて他の皆もいてくれて」
「それでだよね」
「やっていけてるのよ」
「それでそうしたこともあって」
「そう、お互いに助け合ってもいきたいし」
だからというのです。
「いつも一緒にいたいわ」
「そういうことだね」
「ええ、そうよ」
笑顔で応えたドロシーでした、そして皆で次の山に向かうのでした。
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