魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話
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第七十八話
「一夏、昨日の帰りに何かあったのか?」
「ん?」
通学路で合流した箒に質問された。
「特に何も無かったぞ」
「嘘だな。お前は嘘を吐く時決まってサイオンが乱れる」
「うっそぉ!?」
「無論嘘だ。で、何があった?」
「箒!謀ったな!箒!」
まさか箒がこんな駆け引きを…、等と思ったが、箒のゲームの強さは運だけでなくこういったブラフやハッタリも含まれる。
「それで?命の危険があったのだろう?」
「いや、待て。俺の質問に答えろ。
何故解った?」
「お前が道場を出て少しして、お前からの視線が減ったからな」
視線…? 視線だと?
「メティス・サイトのか?」
「うむ」
「え?わかるの?」
「一夏。他者を見るという事は他者に見られるという事だ。
ニーチェの言葉にもあるだろう。
『お前が深淵を覗くとき、深淵もまたお前を見つめ返すのだ』とな」
えー…マジかよ…
「成る程…ん? 姉さん達も気付いてるのかな?」
俺は常時自分以外の三人のエイドスを追っている。
箒、姉さん、そして束さん。
初めの頃はきつかったが、今では三人のエイドスを追いつつ、他の魔法を複数使用する事も可能だ。
「感じてはいるだろうな。
お前が私達のエイドスを見ている時は、離れていてもお前を感じるのだ」
「ふーん…」
「そしてお前の気配が弱まった…つまりメティス・サイトのリソースを私から別の物に割り振ったのは、お前自身への危機を回避するため。
相違ないか?」
全て正解だ。
すごいな…たったあれだけの情報でそこまで導き出すとは…
「ああ、相違無い。
昨日の帰りに怪異に襲われた。
無事撃退したから心配はいらん」
「撃退…か」
「そう。だから心配は「祓った訳ではないのだな?」
ぇあ?
「一度退けはしたものの、根本的な解決はしていないのだろう?」
あれ…なんか、さっきからずっと言い当てられてるんだけども…
「理由は…そうだな、お前や私が知る人物の関係者が怪異と化した…といった所か」
なんで判るんだよ…?
「十年近く共に居れば自ずとわかる。
お前とてそうだろう?」
「うーん…そうかな?」
俺は箒の考えてる事とかあんまりわかんないけど…
『食事中に名前呼ぶだけで何を取って欲しいのか判るのは、普通は長年連れ添った夫婦だけだし、それが出来る二人は十分互いを解ってると思うけど?」
「うむ。全く以てその通りなのだがな」
「待てや、橙がいきなり会話に入ってきたのは無視か?」
途中で橙が実体化し、隣に並んだ。
『いいじゃないですか一夏様」
稲荷まで…
「お前ら…見られたらどうするんだ?
耳と尻尾も隠してねーじゃねーか」
「束の造った薬って事にすればいいよ」
「コスプレの方がいいですよ一夏様」
どっちでもいいが、どっちも面倒だ。
「はぁ…」
取り敢えず認識阻害を使っておく。
四人で話ながら歩いていると、弾と鈴が合流した。
「ふーん…成る程…その二人がアンタ達の使い魔なのね?」
「使い魔?あぁ、この間のパーティーの時憑依させてたってヤツか?」
「おう。コイツは橙。俺の使い魔。
こっちは稲荷。箒の使い魔だ」
弾と鈴に橙と稲荷を紹介すると、弾が使い魔二人を撫で始めた。
「「ふぁ…」」
と気持ち良さそうな声を出して大人しく撫でられていた。
弾のお兄ちゃんスキル発動だ。
ちくしょー…俺も撫でポが欲しいぜ…
「やっぱり弾って撫でるの上手いのね…」
「ん?まぁ、蘭をあやす時とかで鍛えられたしな」
「時折弾が一夏を撫でているのを見ていたが…
一夏も気持ち良さそうにしていたしな」
「待てやコラ」
俺は断じて気持ち良さそうに等していない。
そもそも男に撫でられて気持ち良くなんて…
「おー、そうかそうか。じゃぁこれをしても平気なんだな?」
「ふぇ?」
弾は二人を撫でるのを止め、俺の頭に手をのばした。
「………」
き、気持ち良くなんて…
「………ぅ…」
気持ち良く……なんて…
「うぅ………………」
気持ち良く………
「ふぁ…ぁ……やー………っ!?」
五人がニマニマしながらこちらを見ていた。
「いや!き、気持ち良くなんかないからな!」
「お前がそう思うのならばそうなのだろうな。
お前のなかではな」
と箒。
「カメラ持って来てたらよかったわ…」
と鈴。
「実は御主人視点のスクショが…」
と稲荷。
「束に送るからデータ頂戴」
と橙。
「大丈夫!もう送った!」
「待てやお前らァァァァァ!
何勝手にスクショ撮ってんだ!
しかも送るなバカ野郎!」
しかし稲荷と橙は臆する事なく言った。
「「何時もの事だし?」」
は?何時もの事?
「どういう意味だ?」
その問いには箒が答えた。
「うむ。姉さんから頼まれててな。
お前の写真を1日数枚以上送っているのだ」
「聞いてないよ俺!?」
「言ってないからな」
「そんな事でISの機能使ってんじゃねぇよ!」
「実を言うとウカノミタマは写真撮影特化型だ」
「はぁ!?」
「姉さんが担当したエリアにその手のソフトとハードがギチギチだ」
「何してんのあの人!?」
「あと量子格納庫にステルスドローンが…」
「まだ持ってやがったのかよ!?」
「あとサダルスードという物を参考にしたとか…」
「マジで何してんのあの人!?」
衝撃の事実が発覚し、式神二人が姿を消し、もう少しで学校だという所で、俺は猛烈に帰りたくなった。
何故なら、一番会いたくない人が、学校の校門前に陣取っていたからだ。
「神原駿河…?」
何故ここに?
「一夏、知り合いか?」
「知り合い…と言っていいのか微妙だな…」
互いに、知っている。
彼女は俺を殺そうとし、俺は彼女に殺されかけた。
「箒、俺ちょっと忘れ物したんだけど…」
「ほう?量子格納庫に全部突っ込んでいたのではないか?」
うげ…
「あー、いや、その、スティック糊を買い忘れてな。今から買って来ようかと…」
「購買で買えばいい。それに糊くらいなら貸してやるが?」
あー、ちくしょー…
「で、お前のその態度はあそこで待ち構えている高校生が原因か?
見た所、暦さんやひたぎさんと同じ高校に思われるが…」
「ああ、そうだよ。彼女は神原駿河。
ヴァルハラコンビ位聞いたことあるだろ?
彼女はその片割れだ。
で、もう一人がひたぎさん」
「ふむ……なるほど…。
昨夜の下手人はあの女か…」
「!?」
何故わかった…!?
「ふむ……よし私が行こう。
案ずるな。いざとなれば宵闇を抜くまでだ」
と言ってスタスタと歩いていった。
「待て待て待て!案ずるよ!めっちゃ案ずるよ!
こんな所で真剣を抜くなー!」
side out
「何だかんだで箒ってIS持ってるのね…」
「そりゃあの束博士の妹だしな。
それよりも問題は…」
「あの口振りからして一夏も使えるっぽいわね」
「まぁ、ありゃ胸とナニ以外女みたいな物だろ」
「デリカシーが無いわよ弾。
でもそれに関しては賛成ね…。
一夏ってそこらの女よりも美人よねぇ…。
女として負けてる気がするわ…」
「ああ、俺の中の美少女ランキングでもお前は三位タイだ」
「一位と二位は?」
「一位は蘭、二位が一夏、同率三位がお前と箒ちゃん。
ついでに言えば五位が撫子ちゃん。六位が育さん」
「ファイヤーシスターズとか千冬さんとかは?」
「恐ろしいからランク外」
「あ、なんか箒が高校生に殺気出してるわよ」
「おー、本当だ…。
つか殺気を感知できるとか…俺等も大概だな…」
「千冬さん仕込みよ」
「あの人怒ったら怖いからなー…
ん?どうやら話は終わったようだぞ」
「そうね、じゃぁ、行きましょうか」
後書き
宵闇
箒が持つ刀で柄にCADが仕込まれている逆刃刀。
材質はナイト・オブ・トレイターのフレームと同じもの。
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