魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話
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第四十六話
スタジアムへ戻るミニバスの中。
「更識刀奈、ムーバルスーツを脱いでこい」
「?」
「何言ってんのって顔してんじゃねぇよ。
着て帰る気か?」
「ダメ?」
「わざわざ情報渡す訳ねぇだろ…それとも無理矢理脱がそうか?」
しかも更識が着てるのは箒の予備を調整したもの…つまりCAD装備タイプだ。
魔法は…現代魔法は今のこの世界には早すぎる。
「はいはい、脱ぎますよー脱げばいいんでショー」
と更衣室に入っていった。
「ねぇ…」
「どうした更識簪?」
彼女はミニバスの内装を見て…
「貴方達…何者?」
お前もか…
「そうだな…シルヴミーティオと名乗っておこうか」
「シルヴミーティオ?」
「なに、ただの警備会社さ」
うわ…ジト目だ…姉そっくり…
「ただの警備会社があの人数を制圧するのは不可能。それに…」
と開いたガンクローゼットを指差す。
「まぁ、そこは裏技って事で」
裏技-魔法と裏技-ラボだ。
「ねぇ…あなたは私を助けたのはついでって言った」
「ああ」
「じゃぁ、もしも貴方のお姉さんのデータが流出してなかったら私を助けなかったの?」
うーん…どうだろうか?
結局の所、今回の件は俺の勝手だ。
それにデータが盗まれたと知ったのは更識簪を助けると決めた後。
「いや、姉さんのデータに関わらず助けただろうな」
「どうして?」
どうして…か…
「見過ごせなかったから…かなぁ…」
「どうして?」
「アンタが…俺の手が届く範囲に居たから…かな」
「手が届く範囲?」
「うん…いつの間にか俺達についてた更識家の人が居なくなってて、おかしいと思って、アンタらの部屋に行ったら、アンタが拐われたって知って…」
だから繕わず言えば…
「偽善…自己満足…」
俺は彼女を助け、矮小な心を満たしたに過ぎない。
こんなの自慰と一緒だ。
「結局は、アンタを助けて、自分の心を満足させてるだけ…」
だから…
「俺はヒーローじゃないし、ヒーローにはなれない…」
おれは、原作の一夏みたいな善人じゃない。
皆を救う、そんな心意気も無い。
だけど、手が届くならばなんとかしたい…
そんな我儘な人間だ。
「そう…でも貴方が私を救ってくれた事に…変わりはないの」
そう言って彼女は俺の腕に抱き付いた。
「怖かったの…いきなり襲われて…」
それから彼女は泣き出してしまった。
やがて更識刀奈が戻って来て…
「あら…」
「shiii」
と口に指を当てる。
更識簪は俺の頭に頭を乗せ、眠っている。
「随分なつかれたわね」
そうだな…
「心細かったんだろうな…」
「それもあるけど…簪ちゃんにとって貴方ヒーローそのものなのよ」
「いや、それは…」
「貴方がどれだけ否定しても、簪ちゃんには貴方はヒーローに見えたのよ」
ヒーローねぇ…
「随分ちっさいヒーローだこって」
更識簪が俺の頭に頭を乗せている、イコール彼女の身長は俺以上な訳だ。
そこは普通肩にのせるだろとか、痛くないのかとか言いたい事はあるけど…うん…背ぇ伸びないかなぁ…
「そんなのは些細な事よ。大切なのは貴方が簪ちゃんを助けたということ」
そんな物かねぇ…
そして更識刀奈は座った…俺の隣に…
「どうした更識?」
「刀奈でいいわ。名字で呼ばないで」
………………………………
「刀奈?」
「よろしい」
それで…
「おい、フィグネリア。さっきから何ニヤついてやがる?」
フィグネリアは俺等の正面に座ってニヤニヤしている。
「いやぁ…べつにぃ」
はぁ…
「何を勘違いしてるかは予想がつくが…
更識簪は単にヒーローに憧れてただけだ」
「そうかい」
そも俺はヒーローになれるような人間じゃない。
ヒーローらしい思いも、葛藤も、正義感もないのだから。
十数分後、俺達は元のスタジアムに戻ってきた。
俺とフィグネリアはムーバルスーツの上から普段着を着る。
フィグネリアが更識簪をおぶってミニバスをおりる。
ミニバスはヴィッサリオンの部下どこかへ止めに行くらしい。
「一夏君」
「いつから名前で呼び合う仲にになったのか聞きたい物だな」
名前で呼ばれたのでそう返した。
「いいじゃないの別に。それで…さっき簪ちゃんに言ってた事だけど…」
そこで刀奈はいい淀んだ。
「なんだ?はっきり言え」
刀奈は言いにくそうに口を拓いた。
「貴方が簪ちゃんを助けたのは、自分に重ねたから?」
…………………………
「気を悪くしたなら謝るわ、でも…」
あぁ…そう…だな…まぁ…でも…
「確かに、両親の事は確かにあった。でも…」
そう、確かに父さんと母さんが居なくなって…その時の事を思い出しもした。
だが…
「重なったのは俺と更識簪じゃないんだ…重なったのは姉さんとアンタだ」
「え?」
「あの時、両親が居なくなって…一番泣いてたのは姉さんだ。
俺と束さんと箒で、姉さんを慰めたのを覚えてる」
「貴方は…悲しまなかったの?」
今の言葉には少しムッと来た。
でも、今の言い方ならそう思われても仕方ないかもしれない…
「あぁ…俺はまだ小さくて、姉さんが泣いてた理由がわからなかったのさ」
そう咄嗟に嘘をついた。
「わかったわ…」
だから
「だから助けた。姉さんの悲しそうな顔を覚えてるから…
大切な人と離れ離れになった女の子の顔を覚えてるから…
もう父さんにも母さんにも絶対に会えない所に行ったから…」
もうそんな顔を見たくないから…
「貴方の両親は失踪したんじゃなかったの?」
おっと…余計な事言ったなぁ…
「例の呪い…かしら?」
あぁ…やっぱりやるんじゃなかった…
「ああ…でも姉さんはこの事を知らない…黙っててくれよ…」
さっきの嘘と少し辻褄が合わないかも知れないけど…
まぁ…いいや…
取り敢えず…
「楯無の所行こうか」
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