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真田十勇士

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巻ノ百二十四 大坂入城その十二

「攻め落とせぬからな」
「この城がそれだけの堅城であるからこそ」
「一万五千、二万なら尚更じゃ」
「では」
「残りの兵で戦っていく」
 外に出てというのだ。
「後は采配次第でじゃ」
「勝てますか」
「そうじゃ、勝てる」
「そうなのですか」
「しかしそれはあくまでな」
「茶々様次第ですか」
「そうじゃ、右大臣様は我等にお任せしてくれるが」
 このことはわかった、秀頼は自分が戦に疎いのをわかっていてそれで幸村達に戦を任せようとしているのだ。それが戦に勝てる道だとわかっているからだ。
「しかしじゃ」
「それでもですな」
「うむ、茶々様は違う」
「どうしてもですな」
「あの方は口出しせずにいられぬ方じゃ」
 そうした気質だというのだ、茶々は。
「だからな」
「父上のお考えにもですか」
「必ず口を出されるわ」
「そしてそのお言葉次第で」
「外に出て戦うこともな」
「出来ませぬか」
「勝とうと思えば外に出るしかない」
 大坂の軍勢がというのだ。
「城からな、しかしな」
「それでもですか」
「まさに茶々様次第じゃ」
 大坂の実質的な主である彼女のというのだ。
「それをご自身がわかっておられるか」
「噂を聞きますると」
「そのことすらですな」
「茶々様はわかっておられませぬな」
「どうにも」 
 十勇士達が困った顔で話した。
「だから多くの御仁が負けると思われていますな」
「どうにも」
「この戦は大坂が敗れると」
「その様に」
「主がしっかりしておるのとそうでないのとは違う」
 幸村も言い切った、このことについて。
「まさに天と地程な」
「幕府は大御所様ですし」
「あの方程しっかりしている方はおられませぬ」
「まさに天下人」
「そうした方ですが」
「茶々様はな、しかし拙者はあえて言う」
 戦をどう進めるか話す時もというのだ。
「我が考えをな、しかしその前にな」
「その前に?」
「その前にといいますと」
「後藤殿と久し振りにお会いし」
 そしてというのだ。
「長曾我部殿や毛利殿、大坂の御仁では木村殿ともな」
「お話をされたい」
「そうなのですか」
「そういえば宮本殿もおられたわ」 
 宮本武蔵、彼もというのだ。
「そうした御仁達ともな」
「お話をされてですか」
「再会を楽しまれ」
「そして互いにどう戦うか」
「そうしていきたいのですか」
「酒も飲んでじゃ」
 笑ってこちらの話もした。
「そうしてな」
「そのうえで、ですな」
「親睦も深められ」
「そうしてそのうえで」
「力を一つにしてですな」
「戦われますな」
「力を一つにするのも大事じゃ」
 戦にはというのだ。
「だからじゃ」
「そちらも行い」
「そのうえで幕府と戦いますか」
「そうじゃ、あと城の南東のことはお許しが出た」
 このことも笑って話す幸村だった。
「あちらに出城を築くことが出来るぞ」
「おお、あそこにですか」
「ではですな」
「あちらに出城を築かれ」
「そしてそこにですか」
「我等が入りますか」
「守る時はな、攻める時は大助が入るのじゃ」 
 我が子を見て彼に告げた。 
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