前世の知識があるベル君が竜具で頑張る話
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ぎるど
「ファルナ無しでミノタウロスを撃破したですってぇ!?」
ギルド 指導室。
「は、はい…」
「なんでそんな事したの!?」
「えと、エイナさんに貰ったリストのファミリアに全部行っても受け入れて貰えなくて…
それで、ダンジョンで力を見せればどこか入れてくれると思って…」
「リヴェリア様、本当なんですか?」
「うむ。私とここにいるアイズ、あとベートが見ている。
ベルがミノタウロスを倒した所をな」
「ベル君!」
「はい」
「いい、私が出す課題を全部終わらせるまでダンジョンに潜っちゃダメよ」
「私も協力しよう」
「ベル……頑張って」
「?」
僕はアイズさんの言った『頑張って』の意味を理解して、文字通り『頑張って』いた。
エイナさんとリヴェリアさんの基礎学力テストをクリアした僕は、ダンジョンに関するテキストを読んでいた。
僕の基礎学力はそこそこ高いみたいだ。
とくに自然学では。
自然学、つまり、この世界の法則など、『オレ』の言葉で言うところの科学だ。
ただ、あの世界の知識との齟齬は無くしておいた方がいいかもしれない。
それと、ダンジョンに関してもある程度知識の応用が出来た。
オレの世界では創作とされていた存在が、僕の世界では現実に存在する。
オーク、ゴブリン、マーメイド、ミノタウロス…
バハムート、レヴィアタン…
そして、ジルニトラ。
「それではテストを行うぞ」
「はい」
「ではまず…」
テストは口頭で行われる。
モンスターの生態や弱点。
マップの見方。
ダンジョン内部の特殊な法則。
オラリオでの常識。
ポーションの使い方。
ETC。
「ふむ、正答率八割か…。
今日の所はこれでいいだろう」
「ふぅ~」
やっとおわったぁ~
窓の外を見ると既に暗くなり始めていた。
「ふむ。頃合いか」
「は、はい。すいません。僕なんかの為に貴重なお時間を」
「いや、構わないよ。新人の指導も我々の仕事だ。
それに君と居ればアイズもおとなしいからな」
「アイズさんがおとなしい?」
するとリヴェリアさんは隅の方で座っていたアイズさんを指差した。
「ああ見えてアイズはバトルジャンキーとい奴でな。
暇さえあればダンジョンに潜っているのだ」
「は、はぁ…」
「あぁ、良いことを思いついた」
リヴェリアさんがニヤリと笑みを浮かべた。
「アイズ」
「なに?リヴェリア?」
「お前、ベルに訓練をつけろ」
「ん。わかった」
「いやいやいやいや!悪いですよ!」
「いや、これはアイズの為でもあるのでな」
そう言われてしまえば、受けざるを得ない。
「は、はい。よろしくお願いいたします。
アイズさん」
「ん」
と短い返事が返ってきた。
「エイナ。指導室を独占してしまってすまなかったな」
「いえいえ、まぁ、リヴェリア様がいらっしゃらなくても、多分私がベル君を指導していたと思います」
「道理だな」
これから帰るのか…
あれ?僕の部屋ってどうなるんだろう?
「ベル…ベル」
「は、はい」
「いくぞ」
「はい。帰るんですよね?」
「いや、まだ帰らない」
「え?」
「この後少し寄る所があるんだ」
「寄る所…ですか?」
買い出しかな?
「豊饒の女主人という酒場だ」
酒場?
「まぁ、来ればわかる」
そうして、僕はリヴェリアさんとアイズさんに連れられて酒場へ向かった。
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