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前世の知識があるベル君が竜具で頑張る話

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かいこう

「レフィーヤ、彼女を頼んだ」

「は、はい!」

ギルドホームに戻ったレフィーヤは、リヴェリア達が拾ってきた少女の世話を言い付けられた。

ギルドの妹ポジションだったレフィーヤに対する、リヴェリアなりの気遣いなのだった。

ホームの一室のベッドに横になっている、儚げな少女を前にしたレフィーヤは、どうすべきか迷った。

「えーっと…とりあえず着替えさせないと…」

彼女の服は血にまみれていた。

レフィーヤはすぐさま自分の昔の服を持ってきて、彼女に着せる事にした。

レフィーヤが彼女の上着を脱がせると…

「うわわ………あれ?」

目の前に横たわる少女は、引き締まった筋肉でゴツゴツしていた。

「この子…女…? 男…?」

中性的な顔立ちに長い髪で、女に見える。

しかし、この筋肉のつき方は男の物だ。

「…………………」

レフィーヤは恐る恐る、目の前に横たわる人物のズボンとパンツに手をかけた。

そして…

レフィーヤの顔は真っ赤になった。

「うわ…うわぁ…男の人のアレって…うわぁぁ…」

と、ここで間の悪い事に彼が起きてしまった。

まぁ、自分の下半身をごそごそされていたら起きて当然ではあった。

「ん…んぅ…」

「!?」

彼が、その身を起こそうとして…

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「ふべっ!?…………がふっ」

レフィーヤは思わず彼に一撃入れてしまった。

「あ…」

魔法型ビルドと言えど、そのレベルは3…

「どどどどどうしよう!?」

と、そこへ先程の悲鳴を聞き付けたリヴェリアが来た。

「どうしたレフィーヤ!」

「あ…えっと…その…」

レフィーヤがリヴェリアに状況を説明すると、リヴェリアが拳骨を落とした。

「まぁ…その子が男だと気付かなかった私も悪いが、起き抜けに一撃はマズイだろう…」

「あい…」

「はぁ…後は私がやっておく。部屋に戻れ」

「あい…」







side in

夢だ。

はっきりとわかった。

僕…じゃなくて、『オレ』とカミサマが向かい合っていた。

『オレ』は死んじゃったみたいだ。

それもカミサマのミスで。

その償いに、カミサマは『オレ』を異世界で甦らせる事にしたらしい。

カミサマが、『オレ』の願いを聞いていた。

『オレ』が望んだのは、英雄譚に出てくる九つの武器だった。

大剣、長剣、長槍、戦斧、錫杖、大鎌、短剣、鞭、弓。

さっき僕が使ったのは長槍と長槍だ。

カミサマは快諾して、『オレ』を飛ばす準備を始めた。

そこで、『オレ』がカミサマに一つ御願いをした。

「『オレ』の記憶を経験ではなく知識としてほしい」

「それだと君のクオリアは死んじゃうよ?」

「いいんだ。それでも『オレ』の生きた知識は死なない」

「まぁ…いいよ」

準備が終わって、黒い穴に『オレ』が飛び込んだ。

僕に向かって『オレ』が落ちてくる。

そうして、『オレ』はその主体性を失って、僕の中に溶けた。










「知らない天井だ」

目を開けたら、窓から光が差し込んでいた。

「起きたか?」

声のした方を向くと、エメラルドのような髪の綺麗な人が座ってた。

「貴女は?ここはどこです?」

「私はロキファミリア副長リヴェリア・リヨス・アールヴ。
ここはギルドホーム黄昏の館だ」

「そうですか…ってロキファミリア!?」

オラリオ最大派閥の一角じゃないか!

「君がミノタウロスを倒した時、見ていた。
あのミノタウロスは私達が取り逃がした個体でね」

「そうですか…なんか…すいません。
僕が未熟なばかりに…」

「いやいや。君はまだレベル1だろう?
レベル1でミノタウロスに単機で勝ったんだ。
誇っていい」

あー…レベル…かぁ…

「零です」

「なに?」

「僕のレベルは零…どこのファミリアにも属していません…」

すると、リヴェリアさんの雰囲気がスッと暗くなり…

「そ!こ!に!せ!い!ざ!し!ろ!」

「ふぁい!」

お説教を食らうハメになりました。


 
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