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オズのトト

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第六幕その三

「あの蛇は」
「妖怪?」
「そう、日本のね」
「日本の妖精かな」
「そう言っていいかしら」
 恵梨香は考える顔になってそのうえで言うのでした。
「妖怪っていうと」
「そうなるんだ」
「ええ、そういえばオズの国は妖精もいる国ね」
「オズマ姫やポリクロームもそうだね」
「そうよね、だったら」
「その妖怪もだね」
「いても不思議じゃないわね」
 こう言うのでした。
「ここが日本が反映されている山々なら」
「それじゃあ」
「そう、そしてね」
 それにというのです。
「私達が妖怪に出会うことも有り得るわね」
「そうなるんだね」
「あれは野槌だね」
 ここで教授が言いました。
「日本の山に出る妖怪だね」
「教授は知ってるのね」
「うん、大学には妖怪の本もあってね」
 それでとです、教授はドロシーに応えました。
「それで読んでね」
「知ってるのね」
「うん、一説にはツチノコが正体だったとも言われているけれど」
 それでもというのです。
「あれは野槌という妖怪だよ」
「面白い外見の妖怪だね」
「全くだね」
 こうしたお話をです、ドロシーはその野槌を見つつ教授とお話をしていましたがここで、でした。
 オジョとトトがです、その野槌に声をかけました。
「おい君、いいかな」
「時間あるかな」
「何かな」
 野槌の方も声をかけて応えました。
「一体」
「うん、君に聞きたいことがあるんだ」
 こう言ったのでした。
「この山や君自身についてね」
「僕にだね」
「君は野槌っていう妖怪だね」
「そうだよ」
 その通りという返事でした。
「日本にいる妖怪だよ」
「そう聞いたよ、今ね」
「今はオズの国にいるけれどね」
「本来はだね」
「日本の山にいるんだ」
「そうなんだね」
「うん、あとこの山について聞きたいとも言ってたね」
 野槌は自分から言ってきました。
「今ね」
「そうなんだ、この山には誰が住んでいるのかな」
「妖怪が住んでいるよ」
「妖怪が?」
「つまり僕達がね」
 自分自身も含めてというのです。
「住んでいるんだ」
「ここは妖怪の山なんだ」
「そうなんだ」
 一行の前に来てお話をするのでした。
「ここはね」
「それじゃあ」 
 ドロシーも野槌に言いました。
「お願いがあるけれど」
「お願い?」
「そう、その妖怪の皆だけれど」
 その彼等をというのです。
「呼んでくれるかしら」
「今ここにだね」
「そうしてくれる?」
 こう言うのでした。 
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