転生とらぶる
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ペルソナ3
1958話
ゆかりと海に遊びに行く約束をした3日後の7月11日の夜。俺とゆかり、荒垣、コロマルの3人と1匹は巌戸台分寮にいた。
まだ影時間になるまでには随分と時間がある、午後7時。
丁度夕食の時間というだけあって、目の前には色々と料理が並んでいる。
勿論今日の本題は、あくまでも夕食会……という訳ではなく、影時間について色々と相談があるという事だった。
その為に呼び出されたのだが……取りあえずこの時間帯ということで、食事になった訳だ。
もっとも、用意されたのは手料理ってわけじゃなくて寿司だったが。
以前も寿司に釣られて呼ばれた事があったが、その辺に売っているスーパーの寿司とかと違って、かなり美味い寿司なんだよな。
寿司ロボットの類も性能は上がっているが、やっぱり本物の職人には及ばない……といったところか。
後は、ネタの問題もある。
スーパーで売っている寿司は、どうしても本物の寿司屋が仕入れる寿司ネタに比べると、一段、二段……もしくはそれ以上に質で劣る。
同時に、そのネタを切り分けるのにも本職とそうでない者の差というのは大きい。
他にもネタが噛み切りやすいように隠し包丁を入れたりとか、細かな仕事をするというのはやっぱり本職ならではだろう。
そのような細かい仕事により、最終的に寿司の味は大きく違ってくる。
「まぁ、色々と話はあるけど……まずは、食べてほしい」
幾月がこの場にいるのは、正直面白くないのだが……ただ、今日は影時間について何か話したい事があるらしいので、それはしょうがないんだろう。
何だかんだと、幾月は影時間の研究者としてはかなりのものらしいし。……技術班がいればな。
そうすれば、わざわざどこか怪しい幾月に頼ったりといった真似をしなくてもすんだんだが。
まぁ、何故かホワイトスターと連絡が出来ない今の状況を考えれば、どうしよもないんだろうが。
恐らくだが、影時間ってのが影響しているのは間違いない。
つまりホワイトスターと連絡を取る事が出来るようにする為には、この一件をどうにか解決する必要がある訳だ。
……正直なところ、影時間によってホワイトスターに連絡が出来ないのであれば、俺はどうやってこのペルソナ世界にやってきたのかという疑問はあるのだが……
「おお、このアジ美味いっ!」
順平がアジの寿司を食いながら感嘆の声を上げる。
アジといっても、ただ切り身が酢飯の上に乗っているだけではなく、何筋も切れ目を入れてそれを結ばれている。
このような真似をするには、高い技術が必要になるというのは容易に想像出来る。
「イクラって、こんなに違うんですね。正直、イクラはスーパーで売ってるお寿司とそう変わらないと思ってたんですが」
イクラの軍艦巻きを食べながら、山岸が呟く声が聞こえてきた。
その言葉にイクラの軍艦巻きに視線を向けるが、外から見た感じではスーパーに売ってる寿司とそう違いはないように思える。
ちなみに人工イクラというのもあるらしいが、そういうのはスーパーでもそう見る事はない。
いや、もしかしたら場所によってはあるのかもしれないが、少なくても俺はそういうのを見た事がなかった。
「美味い……」
一言だけを呟くのは、荒垣。
料理が得意な荒垣だけに、こうして本職の料理人が握った寿司というのは、俺達よりも余程思うところがあるのだろう。
……ちなみに、真田が自分の寿司にプロテインの粉を掛けようとしているのを見て、半ば殺気の籠もった視線でそれを止めた辺り、荒垣らしい。
「わん! わんわん!」
コロマルも、自分用に用意された料理に嬉しそうに鳴き声を上げている。
ちなみにコロマル用に用意された料理は、寿司ではない。
生魚や酢飯といったものは、犬にはあまりよくないらしい。
なので、焼いたり煮込んだりした魚料理が何種類かを白米と一緒に出されている。
白米も酢飯でない。
犬に酢飯って、どうなんだろうと思ったが……その辺りの事情は寿司店の方でもしっかりと把握していてくれたらしい。
ともあれそんな風に楽しい食事を終えると、お茶を出されて改めて話し合いとなる。
ちなみに出されたお茶は、寿司の後という事もあって俺や美鶴の好む紅茶ではなく、少し渋めに淹れられた緑茶だ。
……この緑茶にプロテインを入れていた真田については、荒垣も特に口を出したりはしなかった。
寿司とは違って、そこまで重要な出来事ではないと思ったのだろう。
緑茶は……多分こういう場で淹れられているのを思えば高級品なんだろうが、正直なところ、普通の緑茶との違いはあまり分からない。
ただ、飲みやすいようになのか熱湯ではなくある程度温くなっているお湯を使って淹れているのを考えると、恐らくそういう淹れ方なんだろうなとは思うが。
ともあれ、全員がその緑茶を飲んで一段落したところで、幾月が口を開く。
「さて、実は今日アルマー君達に来て貰ったのは……影時間について、改めてきちんと説明をしようと思ったからなんだ。アルマー君達を始めとした皆のおかげで、影時間やシャドウについて随分と研究が進んだからね。それに……」
幾月が視線を美鶴に向ける。
その視線を受けた美鶴は、少し緊張した様子で口を開く。
「アクセル達を含めて、この影時間という異常事態に巻き込まれた者達には、何故影時間というものが産まれたのか……その辺りの説明を一度しっかりとしておく必要があると思ったので、この場を用意して貰った。勿論、有里達にもその辺りを話す必要があると思っていたがな」
そう言い、大人しく自分の方を見ているコロマルに気が付いた美鶴は、笑みを浮かべて口を開く。
「当然、コロマルにも、だ」
「わん!」
自分の名前を呼ばれた事に、嬉しそうに鳴くコロマル。
そんな様子に、どこか穏やかな雰囲気に包まれる。
美鶴にとっては、その雰囲気は安堵するべき要素だったのだろう。
やがて意を決したかのように口を開く。
「元々シャドウや影時間といったものが出来た、最大の原因は私の祖父……桐条鴻悦が、シャドウや黄昏の羽根といった存在を知った事からこの一件は始まった。私が言うのも何だが、南条家の分家でしかなかった桐条家を、その南条家に並ぶだけにまで育て上げただけに、能力はあったと思う。だが……その好奇心から接触したシャドウや黄昏の羽根に触れた結果として、祖父は『時を支配する力』に心酔していく事になる」
「待って下さい、桐条先輩。時を支配する力って……シャドウってそんなのに関係あるんすか!?」
順平の口から出たのは、半ば悲鳴に近い驚愕。
まぁ、その疑問は俺も同じように感じていたのだが。
そもそもの話、何がどうなれば、シャドウや黄昏の羽根から時間を支配するといった事になるのか。
「私にも詳しくは分からないが、その欠片として与えられているものがあるだろう?」
「あ、影時間」
「正解だ、岳羽。本来なら有り得ない、12時と12時1分の間に存在する、影時間。その辺りを考えれば、シャドウや黄昏の羽根を研究することで時に関係してくる……というのも、理解出来るのではないか?」
「それは……」
美鶴の言葉に、ゆかりは黙り込む。
実際、影時間というのは酷く異常な存在なのは間違いない。
それが、シャドウや黄昏の羽根に対する研究で出来た代物だとすれば、シャドウ=時間というのは成り立たない訳でもない、のか?
「ともあれ、祖父は最初に自分でも自由に時を操るための道具……時を操る神器とでも呼ぶべきものを作ろうとしていた」
「……お前の爺さんは、過去の改変でもしようとしたのか?」
「そうだな。近いものがあるだろう」
俺の言葉に、美鶴が若干苦い表情を浮かべながらそう告げてくる。
他の者も大抵が俺の言葉を理解していたが、順平は意味が分からないといった様子で口を開く。
「つまり……どういう事っすか?」
順平はゲームとか漫画に結構手を出してる筈だったが、それでもこの辺りの話を聞いて分からないのか?
「例えばだ。敵対している企業の社長なり会長なりを、まだ若い……それこそ子供の頃に殺したりすれば、どうなる? もしくはもっと単純に、第2次世界大戦で日本を勝利国にするといった事でもいい」
「それって……何とか話は分かったけど、正直スケールが大きすぎて、納得出来ないっつーか、何つーか……」
「だろうな。とにかく、時を自由に操るという事は、そういう風な行為が可能になる訳だ。……けど、実際にはその時を操る神器とやらは完成しなかったんだろ?」
改めて美鶴に視線を向けて尋ねると、美鶴は苦い表情を浮かべつつ頷く。
「そうだ。祖父も最初は時を操る神器を研究していた筈だ。だが……いつの頃からか、滅びを求めるようになった」
『は?』
話を聞いていた何人かが、何故そのような事になるのかといった具合に声を上げる。
実際、それは普通の感覚なのだろう。
「お前の爺さんは、破滅願望でも持ってたのか?」
「恐らくはな。アクセルの言う破滅願望を、最初から持っていたのか……それともシャドウや黄昏の羽根の研究で持つようになったのか。その辺の詳しい事情は分からない。だが、それでも……全ての滅びを求めるようになったのは、間違いのない事実だ。それが10年前に起きた事故の真実となる」
元々そういう願望を持っていたのかどうかは分からないが、厄介な相手なのは間違いないな。
それこそ、時を操る神器とやらがあるのなら、過去に戻って美鶴の祖父を殺してやりたい程には。
「そして、祖父が行った実験が失敗した結果……影時間というものが生まれたのだ」
「……実験が成功するよりはよかったけど、厄介な失敗だったな」
「そうね」
俺の呟きに、短く呟くゆかり。
ゆかりの過去を思えば、そう思うのも無理はないだろう。
美鶴の祖父が行った実験により受けてきた被害を思えば、とてもではないが笑ってすませることは出来ないのだろう。
そうして何かを考えていたゆかりだったが、やがて美鶴に向けて口を開く。
「つまり、私達が今やっていることは……桐条先輩のお爺さんの後始末って事になるんですか?」
「……言い方は悪いが、そうなる」
苦虫を噛み潰したかのような、美鶴の表情。
過去の件から桐条グループを嫌っていたゆかりだったが、美鶴とは良好な関係を気づいていた。
それこそ、メールをやり取りするくらいには。
そんなゆかりに恨まれるかもしれない。
それは美鶴にとって、出来るだけ避けたかったことなのだろう。
ゆかりからの言葉を待つ美鶴は、どこか審判を待ってるような犯罪者のような感じすらする。
周囲の者達も、そんな2人から発せられる雰囲気を感じ取ったのか、全員が黙り込む。
そのまま数秒……いや、十数秒か。
ともあれ、それくらいの沈黙の後に、ゆかりが口を開く。
「そっか。……分かりました。私は今まで通りでいいです」
「……いい、のか?」
予想外に軽く出たゆかりの言葉に、美鶴が信じられないといった様子で呟く。
実際、俺もそんなゆかりの言葉に驚いていた1人だ。
ゆかりが過去にどのような経験をしてきたか……そして桐条グループについてどれだけ恨めしく思っているのかを知っているからこそ、そんな風に思ったのだ。
「はい。……だって、10年前って事は、それこそ桐条先輩はまだ子供だったんでしょう? なら、ここで桐条先輩を責めても、何も始まらないじゃないですか」
そんなゆかりの言葉に、俺は驚く。
ゆかりの父親は桐条グループにスケープゴート……いわゆる、生贄の羊とされた。
そうである以上、ゆかりが桐条グループを恨んでいない筈はない。
実際、今までの態度からも、まだゆかりが桐条グループを許していないというのは明らかなのだ。
そのスケープゴートにされた原因そのものが、美鶴の祖父が原因であり……つまり、現在のゆかりの立場は、父親を犠牲にした人物の後始末をしている……そう認識しても、おかしくはないのだ。
にも関わらずこの状況なのだから、驚くなという方が無理だろう。
もっとも、少し考えればこうなった理由は大体分かる。
多分……本当に多分だが、もしゆかりが俺と遭遇しないで、順平や有里、山岸、真田といった面々と同じ扱いになっていたのであれば、こうもあっさりと美鶴を許すような真似は出来なかっただろう。
美鶴とある程度の距離を取り……俺と一緒にいた事により、精神的に成長した。
その結果だと思いたい。
「ありがとう。僕からもお礼を言わせて貰うよ」
ゆかりにそう言ったのは、幾月。
そのまま、ゆかりが何かを言うよりも前に口を開く。
「さて、次の話題だ。といっても、今の話題にも関わってくるんだけど……影時間を終わらせる方法について、検討がついた。恐らく……いや、ほぼ間違いなく、満月の度に出てくるイレギュラーシャドウを全て倒せば、この件は片付く筈だ。こちらの調査によれば、残るイレギュラーシャドウは6匹。つまり君達は、もう半分影時間を解決しているという事になるんだ」
そう告げる幾月の言葉に、俺を含めて聞いていた者は驚きの表情を浮かべる。
いきなりの情報だし、それも当然だろう。
それに……何となくだが、幾月の言葉を本当に信用してもいいものかどうかと、そんな風にも思ってしまうのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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