二人の引退

「非常に真面目に野球に向かっている奴だ」
「だからですか」
「そうしたことはしていないですか」
「マスコミが色々書いてますけれど」
「それでもですか」
「あいつ等に何がわかるんだ」
　マスコミについてはだ、彼は清原に対するよりも明らかに明確な否定で語った。それはまさに全否定だった。
「何もわからず知ろうともせず好き勝手書く連中だ」
「だからですね」
「桑田のこともですか」
「好き勝手書いてるだけで」
「桑田のことは何も知らない」
「清原のこともですか」
「そうだ、何も知らないしわかっていないんだ」
　マスコミはというのだ。
「そんな馬鹿共の書いていること、言っていることは気にしなくていい」
「桑田のこともですか」
「それで清原のことも」
「どちらもな」
　こう言うのだった。
「そうしていい、それで桑田はまだまだだ」
「これからですか」
「伸びますか」
「そうなっていきますか」
「さらに」
「しかし清原は今が最高でだ」
　それでというのだ。
「後はな。どうも勉強も練習以外の努力もしてないみたいだしな」
「何かその連中も」
「どうも打つことはともかく」
「守備とか走塁は」
「あまり、って感じですね」
「それで野球の色々な勉強も」　
　そうしたことはというのだ。
「全然してないですね」
「フェラーリ乗り回して遊んでばかりだそうですよ」
「桑田はコツコツ勉強しているみたいですが」
「食事にも気をつけて」
「桑田が伸びる」
　こう言い切った。
「絶対にな」
「これからもですか」
「どんどんよくなっていきますか」
「そうなっていくんですね」
「野球人としてな」
　選手としてでなくだ、野球をする人間自体としてというのだ。
「よくなっていくな」
「桑田の場合は」
「悪評もあったけれどですね」
「徐々にですね」
「それも払底されていっていますし」
「緒戦馬鹿な連中が好き勝手書いていただけだ」
　桑田の悪評はというのだ。
「何の裏付けもなくな」
「日本のマスコミって酷いですからね」
「テレビも新聞も」
「週刊誌も何もかもが」
「スポーツ新聞も」
「あの連中に何がわかるんだ」　
　野球のこともそこに関わっている人間達のこともというのだ。その彼は腕を組み全否定の声で言った。
「何もわかっていないに決まっている」
「だからですね」
「桑田はダーティーで清原はアイドル」
「そんな風に書いていたんですね」
「それが変わる」
　絶対にというのだ。
「清原はあの調子じゃな」
「やがて評判が落ちて」
「桑田の評判が上がって」
「評価は逆転しますか」
「そうなりますか」
「絶対にな、清原は駄目だ」
　彼は忌まわし気に言い捨てた。
「あいつは本当に馬鹿な奴みたいだからな」
「果たしてどうなるか」
「これから」
「何かフリーエージェントでな」　
　この制度のことも話した。