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ドリトル先生と奈良の三山

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第四幕その二

「そして左右に街があるね」
「右京と左京」
「平安京もそうよね」
「基本同じ造りだし」
「そうなっていたわね」
「そう、そして大通りに先に御所があるね」
 帝がおられ朝廷もあるそこがです。
「大通りも一直線でね」
「じゃあ御所や朝廷から一直線なんだ」
「唐招提寺までは」
「そうして行けたんだ」
「そうだったんだ」
「そうだよ、一直線でね」
 そしてというのです。
「唐招提寺に行けたんだ」
「そうだったんだ」
「御所から唐招提寺まで」
「今の僕達みたいに」
「そう、そして今は歩いて行っているね」
 奈良の街をです、奈良の人達が時折笑顔で歩いているのを見たりそうした人達とすれ違ったりしています。
「そうだね」
「うん、てくてくとね」
「歩いてるよね」
「何かこうして歩いていると」
「結構時間かかるわ」
「どうにもね」
「そう、歩いたらね」
 先生はここで老馬を見て言うのでした。
「けれど馬に乗ったらどうかな」
「あっ、そうだね」 
 その老馬が先生に応えました。
「御所や朝廷からすぐに行けるね」
「歩いてなら少しハードだけれど」
 ジップも言います。
「馬なら人だったら楽だね」
「楽にすぐに行き来出来るね」
 ガブガブも言うのでした。
「御所から唐招提寺まで」
「歩いても行けない距離じゃないみたいだけれど」 
 チーチーはもうすぐ目的地だと感じて言いました。
「馬だと本当にすぐだよ」
「じゃあ宗教とか政治のお話をしようと思ったら」
「すぐに馬で行けば」
 チープサイドの家族も言います、彼等は皆老馬の背中にいます。
「楽に行って」
「それでお話も聞けるね」
「ううん、そう思うと」
 ダブダブの声は考えるものでした。
「唐招提寺の場所ってかなり重要ね」
「宗教的、政治的な理由で場所を決めたんだね」
 ホワイティはオシツオサレツの背中から言いました。
「つまりは」
「そうだね、鑑真さんが来られて」 
 トートーも考えるお顔になっています。
「すぐにそう決めたみたいだね」
「鑑真さんが来日されたことってそんなに大きかったのね」
 ポリネシアの口調はしみじみとしたものでした。
「宗教だけでなく政治でも」
「そう考えると」
「先生が僕達を案内してくれる意味もわかるよ」
 最後に言ったのはオシツオサレツでした。
「唐招提寺まで歩いてね」
「わざわざね」
「これもまたフィールドワークなんだ」
 歩いて現場に学んでいるそれだというのです。
「実際にそうしたことを肌や足でわかることも」
「成程ね」
「学問は読んで書くだけじゃない」
「こうして歩いて実感することも」
「それもまた」
「そうなんだ、もう少ししたらその唐招提寺だけれど」
 目的地だというのです。
「わかるね」
「うん、じゃあね」
「今からね」
「その唐招提寺に行こう」
「曲がり角を右に曲がったらそこね」
「歩いてだと結構な距離だったけれどね」
 それでも馬に乗っていたらとです、皆は先生がお話したそのことを実感してそのうえでなのでした。 
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