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真田十勇士

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巻ノ百二十一 天下人の器その二

「茶々殿はな」
「ああしてですな」
「意地を張られ何もわかっておられず」
「兵も集められて」
「天下の浪人達も」
「長曾我部や後藤殿も手強いが」
 しかしというのだ。
「やはりな」
「真田殿ですな」
「あの御仁ですな」
「知勇兼備であられる」
「まことの武士であるあの方ですな」
「強いというものではない」
 幸村のそれはだ。
「知略もあり忍術まで使える方じゃ」
「しかもその下の十勇士達は一騎当千」
「そうした猛者揃いです」
「若し戦うとなると」
「恐ろしいことになりますな」
「幕府としても」
「だからじゃ」
 それ故にというのだ。
「何とかな」
「真田殿の大坂入りは」
「それだけはですな」
「防ぐ」
「そうしますな」
「若し九度山を出ればな」
 幸村主従にそれを許せばだ。
「幕府はさらに厄介な敵を抱えることになる」
「それも特にですな」
「厄介な敵ですな」
「幕府にとっては」
「智勇共に」
「そうじゃ」
 だからこそというのだ。
「真田殿とその家臣、それにご子息は」
「何としても大坂に入れぬ」
「我等が手を尽くし」
「そのうえで」
「実は後藤殿や長曾我部殿にもそうしたいが」
 苦い顔でだ、服部は彼等のことも話した。
「しかしな」
「伊賀もですな」
「何かと人手が足りませぬ」
「真田殿だけでも厄介ですが」
「他の御仁ともなりますと」
「そうじゃ、後藤殿や長曾我部殿になると」
 彼等程の人物を止めるには、というのだ。
「やはりな」
「半蔵様か我等でないと」
「到底ですな」
「止められませぬな」
「どうしても」
「そうじゃ」 
 その通りだというのだ。
「真田殿は御主達全員を向かわせてな」
「十勇士にですな」
「そしてご子息の大助殿に真田殿ご自身となりますと」
「どうしても」
「手が一杯ですな」
「都におられる後藤殿、長曾我部殿は板倉殿が受け持たれるが」
 京都所司代である彼がというのだ。
「しかしな」
「それでもですな」
「確かな御仁でないと止められぬ」
「到底」
「後藤殿もまた一騎当千の天下の豪傑」
 服部は彼のそのこともよくわかっていて言うのだった。
「だからこそな」
「我等のうちの誰かでないと」
「それは難しいですな」
「どうにも」
「拙者が行きたいが」
 九度山のことは十二神将達に任せてというのだ。 
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