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ドリトル先生と奈良の三山

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第三幕その八

「焼けてしまったんだ」
「またなんだ」
「焼けてしまったの」
「源平の戦乱の時と同じで」
「戦国時代に」
「この奈良県、大和に松永久秀という武将さんがいてね」
 そしてというのです。
「三好家という近畿や四国に勢力を持っていた家に仕えていたけれど」「
「三好家の武将として戦った?」
「東大寺の僧兵さん達と」
「そうしたの」
「いや、三好家の中で勢力争いをしていてね」
 その三好家の中でというのです。
「それでなんだ」
「ああ、そこでなの」
「三好家の中の政敵の人達と争って」
「そのうえで」
「そうだよ、三好三人衆という人達と争って」 
 そのうえでというのです。
「その中で東大寺でも戦になって」
「それでなんだ」
「また東大寺が焼けてしまって」
「大仏さんも焼けた」
「そうなったんだ」
「そうだよ、それでね」 
 まさにというのです。
「二代目も焼けてしまったんだ」
「何ていうかね」
「酷いお話だね」
「そうだよね」
「戦の常でも」
「日本を護ってくれる大仏さんが焼けてしまうなんて」
「それからはね」
 三代目が出来てからというのです。
「流石にそうしたことはないけれど」
「戦国時代が終わって」
「江戸時代になって明治、大正、昭和ってなって」
「それでよね」
「今の平成になっても」
「このままだよ、願わくばもうね」
 先生は心から思うのでした。
「今の大仏さんにはずっとね」
「うん、いて欲しいね」
「このままね」
「日本を護って欲しいわね」
「ずっとね」
「そう思うよ、この大仏さんが燃える度に造られているのも」
 それは何故かといいますと。
「やっぱりね」
「日本を護ってくれるから」
「皆それがわかっているから」
「だからなのね」
「そうだと思うよ」
「それじゃあ先生の今回の論文は」
 ここでポリネシアが先生に言ってきました。
「大仏さんが何故何度も再建されてるか」
「そのことを書くのかな」
「やっぱりそうじゃないの?」
 オシツオサレツは二つの頭でポリネシアに続きました。
「今のお話だとね」
「そうかもね」
「日本人の信仰心かな」
 ジップも言いました。
「それになるのかな」
「そうだね、大仏さんに対する」 
 今度はトートーが言いました。
「日本人のね」
「信仰心がこんな凄いのを造るって」
 ホワイティはもうお空を見上げる感じになっています、そうして大仏さんを見上げながら思うのでした。
「何ていうかね」
「人間の凄さっていうのかな」 
 チーチーは首を少し傾げさせて述べました。
「これは」
「そして日本人の信仰かな」
「それがどれだけ強いか」
 チープサイドの家族も勿論大仏さんを観ています、そのうえでのやり取りです。 
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