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ドリトル先生と奈良の三山

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第二幕その一

               第二幕  日本の古都
 先生達が奈良に出発する日にです、王子は朝に先生のお家にお邪魔して見送りに来てくれました。
 そこで、です。王子は先生に笑顔で言いました。
「今度は奈良だね」
「そうだよ」
 その通りとです、先生も答えます。
「北の方にね」
「奈良盆地だったね」
「あそこにかつての日本の首都があったんだよ」
「平城京や飛鳥だね」
「そうした場所にあったんだ」
「そうだったね」
「もう線百年以上昔のことだけれどね」
「その千三百年ってのが凄いね」
 王子は感嘆と共に言いました。
「僕の国なんか影も形もなかったよ」
「イングランドもまだまだね」
「できたてかな」
「そんな頃でね」
 それでというのです。
「アーサー王は五世紀でね」
「それから二百年かそれ位経ってなんだ」
「日本の飛鳥に都が出来ていたんだよ」
「アーサー王の頃に日本の皇室はあったよね」
「そうだよ、ただね」
「飛鳥に都があっても」
「まだまだ小さかったみたいだよ」
 その頃の日本の都はというのです。
「遣隋使が七世紀はじめだね」
「その頃だったね」
「その頃より前にはもう皇室を中心とした国があったんだ」
 そうだったというのです。
「日本ではね」
「そうだったんだね」
「そう、それとね」
「それと?」
「平城京は城塞都市だったんだ」
「日本では珍しいね」
「平城京や平安京は中国の長安をモデルにしていて」
 そうしてというのです。
「城塞都市だったんだ」
「日本は城下町だよね」
「そうだよ」
 実際にというのです。
「大抵はね」
「それが平城京や平安京は」
「街を壁で囲んでいるね」
「欧州や中国の街だったんだ」
「そうだったんだよ」
「それは珍しいね」
 日本ではとです、王子は考えるお顔で先生に応えました。
「日本ってことを考えると」
「そうだね、僕もね」
「そう思うんだね」
「最初はそうした街並みも取り入れていたんだ」
「中国からだね」
「当時の官吏の服も完全に隋や唐のものだったしね」
 そちらもというのです。
「奈良時代の日本の文化は唐の影響がとても強いんだ」
「街といい服といい」
「他のものもね」
「そこから日本文化が出て来るんだ」
「そうだよ」 
 先生は王子にこのこともお話しました。
「平安時代の頃からね」
「飛鳥時代や奈良時代はまだなんだ」
「古墳や土偶、そして装飾品や和歌には出ていてもね」
「まだなんだね」
「強くはね」
 どうしてもというのです。
「出ていなかったんだ」
「そうだったんだ」
「それで京都に都が移って」
「そこからね」
「次第になんだ」
「日本独自の色が出て来たんだ」
「文字もだね」
 王子はここで文字をお話に出しました。 
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