英雄伝説~灰の軌跡~ 閃Ⅲ篇
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第9話
~アインヘル小要塞~
「お疲れ様ですっ、リィン教官!」
リィン達がアインヘル小要塞に到着するとシュミット博士の傍にいたティータがリィン達に迎えの言葉をかけた。
「ああ、お疲れだ。すみません、ちょっと遅れてしまったみたいで。」
「やっほー、シュミット爺ちゃん!久しぶりだねー、元気だった?」
「相変わらずやかましい小娘だ……爺ちゃん呼ばわりは止めるがいい。………黒兎も一緒か。」
ミリアムに声をかけられたシュミット博士は呆れた表情で指摘した後アルティナに視線を向けた。
「はい。……何か問題が?」
「いや、テストに支障はない。……むしろレベルをもう1段階上げてもよかったか。」
アルティナの問いかけに対して答えたシュミット博士は不穏な言葉を口にした。
「早速ですが呼び出した理由を教えてもらえませんか?彼女もいる以上、何となく察してはいますが。」
「あ、あはは……多分想像通りだと思います。」
「わかっているながら話が早い。―――付いて来るがいい。」
そしてリィン達は小要塞の中へと入って行った。
「ほえ~、中はこうなってるんだ。」
「………入学時のテスト以来ですね。」
ミリアムが興味ありげな表情で小要塞内を見回している中アルティナは入学式の時の事を思い出していた。
「へえ、そんな事をやってたんだ?」
アルティナの言葉を聞いたミリアムは目を丸くしてアルティナを見つめた。
「―――要するに、仄めかしていた”続き”をやれという事ですか?」
一方シュミット博士の目的を既に悟っていたリィンはシュミット博士に問いかけた。
「その通り。半月前にお前達が挑んだのは小手調べの”LV0”……今回は実戦向きに構成した”LV1”になっている。前回と同程度と侮っていたら最悪、命にすら関わるだろう。」
「……”魔煌兵”すら使われたあの時よりも……?」
「へえ……なんか面白そう!」
「ま、待ってください!さすがにそこまでのものにいきなり挑戦しろというのは……!」
シュミット博士の説明を聞いて顔色を変えたアルティは僅かに驚きの表情をし、ミリアムは興味ありげな表情をし、リィンは信じられない表情で反論したが
「参加の拒否は自由だ。だが、この実戦テストに”灰色の騎士”が参加すること………それが私が分校へとの就任を引き受けた条件の一つでもある。反故にするというなら―――私が分校に留まる理由は無くなるな。」
「なっ………」
シュミット博士の答えを聞くと絶句した。
「あはは、超ワガママだねー。」
「こ、困りますよ博士~!機甲兵教練だって控えてますし………今、博士がいなくなったら……!」
シュミット博士の答えを聞いたミリアムが呑気な様子でいる中ティータは不安げな様子で声を上げた。
「フン、私の知った事ではない。―――”特別カリキュラム”については既にこちらの耳にも入っている。今の内に、ARCUSⅡの新機能に慣れておくのも無意味ではあるまい?」
「…………それは…………」
「………?」
「えっと………?」
シュミット博士の指摘を聞いて複雑そうな表情で黙り込んでいるリィンの様子を不思議に思ったアルティナとティータは首を傾げた。
「うーん、確かに現地で何があるかわからないし………慣れておいて損はないかもねー。大丈夫だよ、リィンにはボクたちがついてるし!ね、アーちゃん!」
「………よくわかりませんが同行しない理由はありません。そもそも教官のサポートは私の役目ですから。」
「ミリアム、アルティナ………わかりました。テストに参加させていただきます。二人とも、どうか力を貸してくれ。」
ミリアムとアルティナの意志を知ったリィンは少しの間考え込んだ後やがて決意の表情になって参加を申し出た。
「もっちろん!」
「了解しました。」
「フン、無駄話が過ぎたな。さっそくテストを開始するぞ。―――奥にエレベーターが用意してある。それを使って開始地点に向かうがいい。」
「ARCUSⅡの調整が必要なら今の内に言ってくださいね……!」
その後リィン達はエレベーターを使って、開始地点に到着した。
~LV1~
「ほえ~、これが要塞の中なんだ。」
「………”昇って”きましたね。」
開始地点に到着したミリアムが興味ありげな表情で周囲を見回している中アルティナはリィンに確認し
「ああ、前回は地下から開始していたはずだ。」
アルティナの言葉に頷いたリィンは周囲の地形を確認した。
「……どうやら内部構造が完全に変わっているみたいだな。自在に構成を変えられる仕組みとは聞いていたが、ここまでとは………」
「へえ、シュミット爺ちゃんもなかなかやるね!フフン、腕が鳴ってきたかも!」
リィンがアインヘル小要塞の設備に改めて驚いている中ミリアムは口元に笑みを浮かべた。
「―――前回のテストと同じく、最奥地点を目指してもらう。なお騎神の使用並びに異種族達の協力は引き続き禁止とする。せいぜい気を抜かずに進むことだ。」
「今度もわたしが精一杯ナビゲートします!皆さん、どうか頑張ってくださいっ!」
「ああ………!ミリアム、アルティナ、準備を!」
要塞内に聞こえてきたティータの声に頷いたリィンは二人に指示を出した。
「ガーちゃん!」
「クラウ=ソラス。」
「「―――――」」
リィンの指示に対して二人はそれぞれが操る傀儡を召喚し、リィンは普段使っている太刀を鞘から抜いた。
「アガートラム、久しぶりだな。クラウ=ソラスもよろしく頼む。行くぞ――――アインヘル小要塞・LV1の攻略を開始する!」
「OK、一気に行くよー!」
「可及的速やかに完了しましょう。」
そしてリィンの号令を合図にリィン達は小要塞の攻略を開始した。その後攻略を開始したリィン達は徘徊する魔獣達を撃破しながら進み続けていた。
「ふう、手強いな……大丈夫か、二人とも?」
「ええ、特に問題はありません。」
「うん、ボクもヘーキ!リィンもアーちゃんもいるしむしろちょー楽しいっていうか。」
「………楽しい………」
ミリアムの言葉の意味がわからないアルティナは困惑の表情でミリアムを見つめた。
「ニシシ、あるイミシュミット爺ちゃんのおかげかな?」
「はは、おかげっていうのはさすがにどうかと思うが………まあ、二人がいてくれて助かっているのは確かだ。正直、戦闘でもあそこまで息ピッタリだとは思わなかったよ。」
「えへへ、これでも姉妹みたいなものだしね~。」
「……まあ、仕様的には同期しやすいのは当然かと。”形式番号”も一つ違いですし。」
アルティナが呟いた言葉を聞いたリィンはかつての出来事を思い出した。
形式番号Oz74、”黒兎”アルティナ―――リィン様と”英雄王”との司法取引によってメンフィル帝国の捕虜の身であった私の身柄は貴方達―――シュバルツァー家に引き取られる事になり、今後は貴方達”シュバルツァー家”の”使用人”として貴方達をサポートさせて頂く事になりましたので、これからよろしくお願いします、リィン様―――いえ、マスター。
え、えっと……それよりもアルティナさんはミリアムちゃんと同じファミリーネームである”オライオン”を名乗っていましたが……
まさかアンタも”人造人間”なのかしら?
はい。私の形式番号はOz74です
あ、ボクの方が1コ上だから、ボクは君のお姉さんだね~♪
「……ミリアム、アルティナ。君達との付き合いも長いし、ある程度はわかっているつもりだ。」
「へ………」
「リィン教官……?」
リィンの突然の言葉にミリアムは呆け、アルティナは不思議そうな表情をした。
「二人の出身が”黒の工房”という正体不明な所であるのも知っている。そこで過ごした時の記憶は消され、ミリアムは情報局に、アルティナはルーファス・アルバレアに引き渡されたことも……”戦術殻”という不可思議な武装と同期する能力を持っている事も。」
「あはは………ボク達が”厳密には人間じゃない”って事も1年半前”黒の工房”が所有している工房の一つを潰して情報を手に入れたメンフィルから、ボク達の情報も知らされていたもんね。」
「………ああ。」
苦笑しているミリアムの言葉にリィンは重々しい様子を纏って頷いた。
「1年半前私がメンフィル帝国の捕虜であった時ペテレーネ神官長が調合した自白剤によって、わたし達が”人造人間”――――”人工的に生み出された存在”であるという情報も自白させられ、リィン教官の耳にも届いていましたね。」
「といっても遺伝子は人間と殆ど変わらないみたいなんだけど。むー、そのわりには背がゼンゼン伸びないのは納得できないけどさー。……っていうか何気にアーちゃんって、背が伸びているよね?それに胸も少し大きくなっているよね?」
「……不埒な事は止めてください。胸のサイズについてはわたしにとっての秘匿情報になるため答えられませんが、身長については1年半前と比べると3リジュ伸びている事を認めます。わたしが成長した理由は以前わたしの事を知ったリィン教官が”匠王”ウィルフレド・ディオンの娘であるセティさん達―――ディオン三姉妹に相談し、その時に”零の至宝”とは別の方法で造られた”人造人間”であるわたしの成長等についても相談して頂いたお陰でディオン三姉妹は父親である”匠王”にも相談し、その結果”匠王”達は協力して”人造人間”であるわたしでも普通の人間と同様人間の成人へと成長できる”成長促進剤”を完成させ、その”成長促進剤”を一定の間隔で投与し続けているお陰で、今でも成長し続けています。ちなみにわたしはその”成長促進剤”の完成の過程で”成長剤促進”の被験者になったという”対価”の代わりに今後も成人するまで”成長促進剤”を無料で頂ける事になっていますので、”成長促進剤”の消費に困る事はありません。」
学生服を着ていても僅かに膨らんでいる事がわかる自分の胸を揉もうとしたミリアムの行動をすぐに察知したアルティナはミリアムから距離を取ってジト目で答えた後、”人造人間”である自分が成長した理由を僅かに得意げな表情になって説明した。
「な、何ソレー!そんなの反則じゃないか~!というか薬物の人体実験について、リィン達は反対とかしなかったの~?」
「勿論お互いに話し合ったし、最初は反対もしたさ。だけど、新薬の作成者にはアルティナも言っていたようにセティ達に加えてウィルフレド卿も関わっていた上、セティ達は万が一の状況に対しても備えていたから、最終的にアルティナの意志を確認した上で”成長促進剤”―――つまり新薬の人体実験の許可を出したんだ。」
「へ~、”グノーシス”の解毒薬を開発したディオン三姉妹どころか”匠王”まで関わっているなんて、滅茶苦茶豪華なメンツだね~。ねーねー、アーちゃん。ボクにもその”成長促進剤”って言う薬を頂戴♪」
リィンの説明を聞いたミリアムは興味ありげな表情をした後アルティナに要求し
「お断りします。わたしが持っている”成長促進剤”は正当な対価です………”成長促進剤”が欲しいのでしたら、クロスベル帝国にいるディオン三姉妹から直接購入してください。」
「ぶーぶー、アーちゃんのケチ~!」
アルティナはジト目でミリアムの要求を断り、要求を断られたミリアムは頬を膨らませて不満を口にした。
「ハハ……(”黒の工房”―――”結社”を裏切って内戦の最中にオズボーン宰相に取り込まれた組織。メンフィル帝国軍が”七日戦役”の際に制圧した工房は氷山の一角で、他の工房等の場所については今でも手掛かりを掴んでいないとの事だったな………記憶を消された彼女達は勿論、レクター少佐ですら何も知らないらしいしな。レン教官の話では工房の居場所がわかったのも、レン教官がアルティナの記憶を読み取った事によって、”黒の工房”が消したと思っていた記憶がアルティナの脳に残っていたお陰との事だからな……一体どういう……何の目的でミリアムやアルティナを?)」
「おーい、リィンってば!」
リィンが考え込んでいるとミリアムが声をかけた。
「もー、何をぼーっとしてんのさー?」
「……体調が優れませんか?なら、いったん小休止を―――」
「はは、大丈夫だ。気にしないでくれ。…………ミリアムはミリアムだし、アルティナがアルティナであるのはそもそも何も変わらないんだしな。」
「???」
「あはは、リィンってばなに当たり前のこと言ってるのさー。えへへ……うん、でもありがとね!」
リィンの言葉の意味を理解できていないアルティナが不思議そうな表情で首を傾げている一方リィンの言葉の意味を理解していたミリアムは嬉しそうな表情を浮かべた。
「はは……それこそ礼を言われる事じゃないだろう。」
「………テスト評価に影響します。問題なければ探索を続行しましょう。」
ミリアムと共に笑い合っている様子のリィンを見て”何か”を感じ、その”何か”に首を傾げたアルティナはリィンに声をかけ
「ああ、行こう。」
「改めてレッツ・ゴーだね!」
(アイドス様、アルティナさんはもしかして……)
(多分、ミリアムに”嫉妬”してリィンに自分にも目を向けてもらう為に無意識で声をかけたのでしょうね……まあ、アルティナ自身はミリアムに対して感じた”感情”には気づいていない様子だけど………)
アルティナの様子に気づいていないリィンはミリアムと共にアルティナの言葉に頷いている一方、アルティナの様子に気づき、アルティナが感じた”何か”を悟っていたメサイアと念話をしていたアイドスは微笑ましそうにアルティナを見つめていた。その後リィン達は探索を続けていると終点に到着した。
~最奥~
「行き止まり……?」
「どうやらここが最終地点みたいだな。」
「あはは、とうちゃーく!んー、面白かったけどシュミット爺ちゃんにしてはちょっと拍子抜けかな?」
「!!いや―――下がれ二人とも!」
終点に到着したミリアムが若干不満げな感想を口にしたその時、何かの気配を感じ取ったリィンは太刀を構えて二人に警告し、警告を聞いた二人がそれぞれ傀儡を召喚すると同時にリィン達の目の前に大型の魔獣―――”ズオウ”が現れた!
「わわっ、何アレ……!」
「やっぱりか……!」
「は、博士っ!?その魔獣はLV1用じゃないですよ~!?」
「フン、お望みどおり”面白く”してやったまでだ。仔兎どもがいるなら何とか対処できるだろう。
魔獣の登場にミリアムが驚き、リィンが表情を引き締めている中混乱している様子のティータの声と、ティータに対していつもの調子で答えたシュミット博士の声が聞こえてきた。
「くっ、勝手なことを……!」
「この前の”魔煌兵”に迫りそうですが………(セティさん達から送って頂いた追加武装を試すには絶好の相手ですね……)」
「トーゼン正面突破しかないでしょ!ねっ、リィン!」
「……ああ、そうだな!全力で行くぞ、ミリアム、アルティナ!」
そしてリィンの号令を合図にリィン達はズオウとの戦闘を開始した!
「いっくよー!ホワイトデコレーション!!」
「―――――」
戦闘開始時ミリアムはオーダーを発動し、ミリアムがオーダーを発動した直後に敵は巨体を利用した巨腕でリィン達を攻撃したが、リィン達はミリアムのオーダーによって巨体である敵による攻撃のダメージも最小限に抑えられた。
「二の型・改―――裏紅蓮剣!斬!!」
敵の攻撃が終わるとリィンは反撃に電光石火の速さで炎を宿した太刀を叩き込んだ後続けて炎の斬撃波を放って敵にダメージを与え
「―――クラウ=ソラス、シンクロ開始。――――追加武装、自動浮遊射撃機”クルージーン”発動。」
リィンが攻撃している間にアルティナはクラウ=ソラスと一体化し、更に自身の周囲に4つの自動浮遊射撃機”クルージーン”を召喚した。
「――――」
そして敵はリィン達にアーツを放つ為に霊力を溜め始めたが
「”クルージーン”、照射。」
「!?」
アルティナの指示によって”クルージーン”が一斉に特殊レーザーを放ち、レーザーに命中した敵は霊力の溜め込みを中断させられと共にアーツを一定時間使えなくなる状態異常”封魔”状態に陥った。
「あはは、ボクも負けないぞ~!ガーちゃん、ハンマー!!」
アルティナの攻撃を見て無邪気にはしゃいだミリアムはアガートラムをハンマーに変形させ、地面を叩きつけて広範囲の敵を攻撃するクラフト―――スレッジインパクトで追撃し
「!?」
「崩したよ!」
「そこだっ!」
ミリアムのクラフトによって敵の態勢が崩れるとミリアムと戦術リンクを結んでいたリィンが更なる追撃を叩き込んだ。
「”ベガルタ”起動―――斬!!」
そこにアルティナが両腕と一体化しているクラウ=ソラスの腕を導力エネルギーの刃と化し、敵に突撃して導力エネルギーの刃と化した両腕で攻撃した後そのまま突進の勢いを利用して敵から距離を取った。
「――――――」
アルティナの攻撃が終わると敵は反撃に毒のブレス―――ポイズンブレスをアルティナに放ったが
「”クルージーン”、シールド展開。」
アルティナは”クルージーン”を操って”クルージーン”によるエネルギー障壁を展開するクラフト――――イージスバリアで襲い掛かる毒のブレスを防いだ。
「ぶっ放せ~、ガーちゃん!」
「――――」
そこにミリアムの指示によってアガートラムが極太のレーザーを放つクラフト―――ヴァリアントカノンを放って敵の背後を攻撃し、背後からの奇襲攻撃を受けた態勢を崩した。
「崩したよ!」
「ああ!蒼き龍よ――――吼えろ!!」
「ブリューナク、照射。」
アガートラムの攻撃が終わるとミリアムと戦術リンクを結んでいたリィンが追撃代わりに太刀に宿した蒼き炎の竜を解き放つクラフト―――蒼龍炎波で、アルティナは正面から両肩の砲口から集束したエネルギーを解き放って追撃をした。
「――――――!」
立て続けにダメージを受けた敵は咆哮を上げて”高揚”状態になり
「―――――」
「!秘技―――裏疾風!斬!!」
「わわっ!?ガーちゃん、お願い!」
「―――――」
すぐに振り向いてリィンとアルティナに攻撃し、敵の攻撃に即座に反応したリィンは敵の懐に飛び込む電光石火の攻撃で回避すると共に反撃を叩き込み、ミリアムは慌ててアガートラムに絶対障壁―――アルティウムバリアを展開させて敵の攻撃を防いだ。
「――――」
二人に攻撃した敵は続けて背後にいるアルティナとリィンを纏めて攻撃する為に振り向くと同時に口から毒のブレスを放とうとしたが
「炸裂せよ、烈輝の陣―――イオ=ルーン!!」
「――――!?」
詠唱を終えたアルティナの魔術によって発生した魔力の爆発が顔面で発生した事により、ダメージを受けると共に怯み
「集いし炎よ、貫け―――轟焔爆炎閃!!」
「―――――!!??」
そこにアルティナに続くように魔術の詠唱を終えたリィンが集束した炎を閃光として解き放って再び敵の顔面を攻撃して敵に悲鳴を上げさせると共に怯ませた。
「ガーちゃん、分身!―――チェーンジッ!!ト―――スッ!」
するとその時ミリアムはアガートラムを分身させ、分身したアガートラムは巨大なハンマーと球体に変身した後球体は天井へと向かい
「やあああああああっ!テラ――――ブレイカー――――――ッ!!」
ミリアムはハンマーを持って跳躍し、球体をハンマーを振るって地面へと叩き落した。すると地面に叩き付けられた球体は戦場全体に凄まじい衝撃と大爆発を起こした!
「―――――――!!??」
ミリアムが放ったSクラフト―――テラブレイカーによる大ダメージに耐えきれなくなった敵は悲鳴を上げながら消滅した!
「……目標の沈黙を確認。シンクロを解除します。」
敵の消滅を確認したアルティナはクラウ=ソラスとの一体化状態を解除して元の姿に戻り
「イエーイ、完全勝利っ!!―――というかアーちゃんたち凄いじゃん!?」
ミリアムは無邪気に喜んだ後驚きの表情でリィンとアルティナに視線を向けた。
「ああ、1年半前使っていた戦技とは違うようだな?それに1年半前と比べると見た事のない武装も使っていたようだし。」
ミリアムの言葉に頷いたリィンは自分にとって見覚えがない戦技を使っていた事が気になっていた為ミリアム同様アルティナに視線を向けた。
「……リィン教官もご存知のようにリィン教官に引き取られてからのクラウ=ソラスの整備はセティさん達にしてもらっていますが、その際にセティさん達からクラウ=ソラスの強化や追加武装の提案がされ、その提案を受けた結果としてちょうど入学式の日に宿舎にセティさん達からクラウ=ソラスの追加武装が届き、それを搭載しました。……追加武装はクラウ=ソラスとシンクロしてからの物が主だった為、実戦レベルにするまで今日までかかってしまいましたが。」
「い、いつの間にそんな事を………」
「いーなー、いーなー!ボクもその内クロスベルにいるディオン三姉妹にガーちゃんを強くしてもらうように頼もうかな~。」
アルティナの説明を聞いたリィンは冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、ミリアムはアルティナを羨ましがった。
「はは………まあ、何とはともあれよく頑張ったな。ミリアムも、アガートラムもクラウ=ソラスもありがとうな。」
「ニシシ、どーいたしまして♪」
「「――――」」
リィンの感謝の言葉に対してミリアム達はそれぞれ答えた。
「はあ、よかったぁ……皆さん大丈夫みたいですね?」
「フン、まあまあのデータがとれたか。―――これで本日のテストを終了とする。エントランスで待っているからとっとと戻ってくるがいい。」
「は、博士っ?―――あのあの、帰りもお気をつけて!」
「ふう……まったくあの人は。」
「………少々疲れました。指示通り戻るとしましょう。」
「ああ、そうだな。」
「あはは、やっぱりお姉ちゃんがおんぶしたげよっか?」
「結構です。」
その後リィン達はエントランスに戻ってシュミット博士とティータと少しの間話をした後レクター少佐からミリアムと合流したいという通信が来た為、待ち合わせ場所である駅前に向かった―――――
後書き
今回の話を読んでお気づきと思いますがアルティナとクラウ=ソラスはウィルやセティ達によって、強化されていますwwしかもアルティナに関しては身体的成長までウィル達にww………え?さすがのウィル達でも人造人間は作っていないから、無理じゃねだって?ハッハッハッ、『工匠に不可能はない!』……それが”工匠”なのだから可能なのです(理由になっていない)まあ、そもそもウィルにはたくさんの種族が協力していますから人造人間についての知識を持っている種族も当然いるでしょうから例え作っていなくても成長促進剤の作成くらい余裕かとww
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