とある3年4組の卑怯者
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71 連携(チームプレー)
前書き
球技大会の最中の昼休み、リリィは5組の橿田と顔を合わせた。そして彼女とたまえの関係を知るのだった!
ここまでの試合結果
男子サッカー
4組 3-2 3組
4組の勝利
1組との試合で負傷した前田は暫く保健室にいたが、給食の時間に教室に帰った。昼休みになり、リリィから「前田さんに本当のチームプレーとは何か次の試合で見ててね」と言われた。リリィは外の空気を吸いたいと言って外に出た後、前田はリリィの言葉で今までは独りよがりのプレーだったことを改めて思い知らされた。4組は2組との試合を控え、練習を始めていた。皆にすまないという表情で、練習の様子を見ていた。
昼休み後のバレーボールの試合、5組は3連敗を免れたい3組の必死のプレーに押され、1勝2敗で敗れてしまった。
(次はいよいよ4組か・・・)
橿田はたまえの事を思い浮かべていた。
男子サッカー、2組対1組の試合、2組は1組に6-1と完璧に打ちのめされていた。堀内はディフェンダーを担っていた竹村や西尾を殴って蹴っていた。
「テメエら、ふざけんじゃねえぞ!!ヘボ野郎!!」
堀内を横須らが必死で止めようとする。1組もその内輪揉めが見過ごせず、止めに入った。
「堀内君、やめなよ!!」
本郷が堀内に叫んだ。
「あ!?うるせえ!!」
「負けたからって人をそうやって責めるのは良くないよ!君は自分のことしか考えないプレーをしているじゃないか!!それじゃあ、勝てないのは当たり前だよ!!」
「うるせえ!!」
「じゃあ、やめろよ、そうやって怒鳴り散らしたり殴ったりするのは!!」
「うるせえ!!」
藤木もその様子を見ていたが、我慢できなくなった。
(堀内、どこまで最低な奴なんだ・・・。それにしても本郷君達1組もプレーだけじゃなく、接し方も凄い上手い・・・。僕も本郷君達のようになりたいな・・・)
藤木はその後、ケン太に呼ばれ、クラスの練習に取りかかった。
女子バレーボール、4組対2組の試合が始まった。
4組
FL:高宮 FC:牧村 FR:小長谷
BL:城ヶ崎 BC:野口 BL:笹山
2組
FL:曽川 FC:蟹井 FR:岩倉
BL:萩原 BC:羽島 BL:飯田
サーブ権は2組だった。コート権を持った4組はコートは変えないことに決めた。こうして始まった。最初の羽島のサーブを笹山がレシーブし、小長谷がトス、そして牧村がアタックした。牧村のアタックはブロックされたが、野口がレシーブで何とか掬い上げ、ボールは2組のコートに入った。蟹井がトスし、岩倉がスパイクした。城ヶ崎がレシーブし、それを高宮がスパイクした。飯田がレシーブするも間に合わずに4組が1点を先制した。
その後も試合は互角と言っていいかもしれない運びだった。たとえ点を取られたり失敗したりしても誰も怒らない。励まし合った。そして誰も一人だけが目立とうとはしていない。自分の可能な範囲でボールを処理している。前田はこれがチームワークであり、それはただ怒ってダメなところを糾弾することではないと知らされた。13-12と4組のリードだったが、2組も譲らない。蟹井や萩原のアタックが来て、14-13と2組が逆転した。さらにしかし、次は野口のアタックが決まって同点。次は岩倉のアタックがボール・アウトになって4組に点が入り、4組がマッチポイントとなった。そして城ヶ崎がサーブする。そして羽島がそれをレシーブする。ボールはコート外の方へ向かい、飯田が落とさまいとそれを追いつきトスし、岩倉がスパイクした。小長谷と牧村のブロックを抜け、城ヶ崎がレシーブするも、後ろへ逸らしてしまい、2組もマッチポイントのジュースとなった。そして次は2組の羽島がサーブした。それを笹山がレシーブした所で、牧村が高々と上がったボールをスパイクした。トスを経ないので2組側は意表を突かれたのか、ボールはバックセンターとバックライトの間に落ち、羽島も飯田もレシーブできずに点を許した。4組が16-15の僅差で辛勝した。
前田もその接戦に思わず興奮した。
(す。すごい・・・!!)
こうして2セット目が始まった。
4組
FL:たまえ FC:小島 FR:リリィ
BL:沢井 BC:まる子 BL:みぎわ
2組
FL:森上 FC:加納 FR:佐屋島
BL:南江 BC:那珂井 BL:竹山
今度は4組のサーブとなった。まる子がサーブをする。それを那珂井がレシーブし、加納がトス、森上がスパイクしたが、それを小島とリリィがブロック、しかし、加納が必死でバックしてレシーブで4組の方へボールを返した。そしてまる子がトスで受け止め、たまえに繋げた。たまえがスパイクする。ボールは2組のコートに落ちた。
「ナイスアタック、穂波さん!」
みぎわがたまえを褒めた。前田はその様子を見て味方のプレーを褒めることでチームの士気を上げる事も必要だったと思い知らされた。
次はみぎわのサーブを佐屋島がレシーブしきれずに2点目、次は南江のスパイクで得点を許すも、その次はまる子、そしてリリィとアタックを決めて4-1、その次は4組のミスが相次いで1点差に詰め寄られたが、その次は南江のスパイクがコート外に出たため、サーブ権を取り返した。
試合に出ている6人は楽しみながらプレーし、コートの外から応援する他の女子も声援を送る。皆が主役のように前田は考えた。
とどめはリリィのスパイクで決めた。16-13、4組のストレート勝ちとなった。皆は手でタッチし合いながら勝利を喜んだ。
「前田さん」
リリィが前田を呼んだ。
「え?」
「どう?これが連携行為よ。怒る事が全てじゃないのよ」
「うん、そうだったね・・・!私も分かったよ・・・!失敗したり、上手くいかなければ怒ればいいってわけじゃないって・・・!!」
「じゃあ、最後の5組との試合も応援してくれるかしら!」
「うん!今度こそ怒らないで応援するよ!!」
前田は固く誓った。
藤木はケン太や大野、杉山のシュートを受け止める練習を必死でやっていた。
「はあ、はあ、はあ・・・」
「藤木、お前少し休んだほうがいいぜ!んな状態じゃ持たねえぞ!」
大野が心配して言った。
「そ、そうだね・・・。でも、やっぱり気を抜くと勝てないんじゃ・・・」
「そんなことないよ!無理しないことも必要だよ!だから試合まで気持ちを落ち着かせろよ!」
ケン太も藤木に休憩を促した。
「うん、ありがとう」
藤木は休憩した。そしてこれまでの試合で必要だと感じた事を思い出した。
まず2組との試合では、堀内のような自分の事しか考えないプレーではチームの輪を乱す事になるため勝てない事、5組との試合は、お互いに息を合わせたチームプレーいわゆる全員で戦うことが必要である事、そして3組との試合ではキーパーや試合に出ない選手も見ているだけではなく、指示や注意するべき所を教える事・・・。
藤木はそれらの事を記憶に留めて1組との試合に臨む事を決めた。
後書き
次回:「強敵」
男子サッカー、遂に1組との試合が始まった。強力な連携と各々の高い実力に圧倒される4組。藤木はゴールを守り切ることができるのか・・・。
一度消えた恋が蘇る時、物語は始まる・・・!!
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