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真田十勇士

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巻ノ百十六 明かされる陰謀その十一

「もう源三郎には文を送った」
「それでは」
「そちらのことも大丈夫じゃ」
 上田の方もというのだ。
「安心せよ」
「わかり申した」
「あとわしが死んだと聞けばじゃ」
「幕府はですな」
「その分ほっとするわ」 
 昌幸は笑ってだ、幸村にこうしたことも話した。
「厄介な奴が死んだとな」
「やはりそうなりますか」
「うむ、しかしな」
「それでもですな」
「お主がおる」
 幸村、彼がというのだ。
「お主も警戒されておるがな」
「父上程怖くはない」
「そう思っておるわ、確かにわしがおらねば負けるが」
 それでもというのだ。
「お主ならばな」
「右大臣様をお救い出来る」
「確実にな」 
 幸村、そして彼の家臣達への絶対の信頼も見せた。
「そうしてくれる、特にお主が備えたあの術じゃ」
「あの術を使えば」
「必ず出来る」
「あの術は確かに」
 幸村もその術について述べた。
「使い様によっては恐ろしいまでの力を発揮します」
「だからな」
「いざとなれば」
「右大臣様をお救い出来る、だからせよ」
「その時が来れば」
「何があろうともな、ただお主がいて十勇士がおる」
 昌幸は幸村にこうしたことも言った。
「そして伊賀者達じゃが」
「戦になれば」
「必ずあの者達も出て来るが」
「しかしですな」
「うむ、あの者達に勝つにはな」
 それにはというのだ。
「あと二人必要じゃ」
「十二神将には」
「服部殿にはお主が対することが出来る」
 忍同士の対決となれば、というのだ。昌幸はその場合についても極めて冷静に考えていた。
「しかしな」
「十勇士達では」
「あと二人必要じゃ」
「十二神将ですから」
「そうじゃ」
 まさにというのだ。
「あと二人じゃ」
「一人は大助がいますが」
「大助はそこまで育っておるか」
「はい、それがしと十勇士の手によって」
 幸村にとって嫡子である彼はというのだ。
「見事です」
「優れた武士、そして忍に育っておるか」
「若き日のそれがしにも匹敵する」
「お主は甘いが人は公平に見られる」
 昌幸は幸村のこの資質もわかっていた、彼はそのうえで人を使っていく者なのだ。これは十勇士以外の家臣達に対しても同じだ。
「そのお主が言うのならな」
「大助は」
「それだけの者に育っておるな」
 昌幸は死の床で微笑み幸村に述べた。
「間違いなくな」
「あと一年か二年で十勇士に引けを取らぬ者となります」
「それだけの武を備えるな」
「はい」
 その通りだというのだ。
「間違いなく、そしてさらに」
「智もか」
「育てていきます」
 大助のそれをというのだ。 
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