大忙し日本軍
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第一章
大忙し日本軍
とある国の主張する日本軍は恐ろしい。とにかく怖い。
まずそのとある国の文化を手当たり次第に奪ったのである。
「わ、我々の偉大な文字が燃やされていった!」
「栄光の歴史を書いた歴史書が!」
「最高の陶芸品も壊された!」
文化は徹底的に破壊された、とにかく何もかもが破壊され後に残ったものは何もなかった、しかもだった。
日本軍そのその国の人達、無理矢理併合して植民地を奪ったその国からそれこそ片っ端に人という人を捕らえて日本で奴隷として酷使した。その酷使の有様は生き地獄、いやそう言ってもまだ飽き足らない程だったと言われている。
「六百万人が強制連行された!」
「いや、八百四十万人だ!」
「二千万だ!」
数はどんどん増えていく。
「飲まず食わずで重労働をさせられ同胞達は死んでいったんだ!」
「全て日本軍のせいだ!」
「どれだけの同胞が死んだのかわからない!」
「皆日本軍に殺されたんだ!」
こう主張するが何故か当時その国、併合されていたので地域と呼ぶべきだがそこの人口は日本の統治時代に約二倍になっている。つまり日本軍は人口を二倍に増やしておきながらそのうえで八百四十万人なり千万単位なりでその人口を日本本土に送っていたことになる。恐ろしいことである。
しかもそこまで虐待し酷使して反乱一つ起きなかった、暴動すらだ。これもまた恐ろしい統率力であると言うべきであろう。
しかも劣悪な環境で飢餓状態で想像を絶するだけの時間を働かせられていたらしい、だが死んだ人間を埋めたとされる墓の類も一切残っていない、日本軍は死体をそれこそ骨一つ残さず全て焼いてしまったのか、何しろ生きた人間を血の一滴と言われたガソリンをかけて容赦なく焼き殺していた軍隊だ、そこまで徹底して残虐に、跡形もなく殺すことなぞ造作もないことだったであろう。
この強制連行も異常だ。千万単位で人を徴用するだけの輸送力があってそれを極めて組織的にかつ混乱なく行えた日本軍の統率力、作戦遂行能力は恐ろしいまでだ。しかも長い間、日本軍がなくなってかなり経つまで緘口令を敷けたのだ、日本軍の偉業と言うべきであろうか。
この恐るべき強制連行だけではない、日本軍がしでかしたおぞましい悪事はまだある、まずは虐殺である。
「柔道で百万人殺された!」
「女子供まで片っ端から殺した!」
「勇敢に戦った独立の義士を拷問で惨たらしく殺していった!」
「許せないことだ!」
俗にこう言われる。とにかく多くの人間を虐殺したらしい。
それでも人口は二倍に増えている、どうやら殺されたそのうえでどんどん増やされた様である。日本の神話のイザナギとイザナミの人間の寿命の話の様だ。
しかもその殺し方は多彩で尚且つ多岐に渡る。さながら明代末期に四川省で虐殺の限りを尽くしたという張献忠である。この人物の虐殺についても実際にそうしたことが行われたのかどうか疑問が多いとされている。
だが日本軍はそれだけの虐殺を行ったという、独立記念館にはその拷問の様子が蝋人形で再現されているが何故か、である。
日本の拷問や処刑はなくその国の拷問や処刑を行っている。日本人だというのに実に奇妙なことではある。
まだある。文化や土地もだ。
「我々の言葉を根絶しようとした!」
識字率が殆どなかった言葉をそうしたというのだ。
「土地を奪った!」
千年前のままと言ってよかった土地制度から近代的な土地制度に切り替えた、そして所謂特権階級の農奴だったのを解放し小作人とした。農奴と小作人では全く違う。
とにかく搾取の限りを尽くしたという。インフラなぞ何も整ってはおらず山には草木はなく石油も石炭も金も銀も宝石もなかった。ついでに言えば土地は痩せ水車もなく碌に灌漑も為されていなかった。衛生設備も当然皆無であった。
服の染色技術もなく針も作ることができなかった。海からも塩を取れなかった。
ここから搾取の限りを尽くしたのだ。日本は恐ろしいまでに何かしらの錬金術を使っていたのであろうか。
優れた建物は全て根絶し素晴らしい歴史を書いた歴史書も文化、技術を書き残した文献も全て焼き払った、しかも焼き払った証拠さえ残さなかった。
凄まじい話だ、この何もかもを根絶してしまった日本軍について彼等はこう主張する。
「証拠も残さないまでに根絶したんだ!」
「それだけ酷い破壊だったんだ!」
言うにはユーラシア大陸全土から北米に至るまで影響を及ぼした偉大な文明だったという。歴史は何と五千年、メソポタミア文明に匹敵するだろうか。
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