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真田十勇士

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巻ノ百十五 異端の者達その一

           巻ノ百十五  異端の者達
 服部は人知れぬ森の中にいた、彼はまずは一人だったが。
 まず一人来た、その者は。
「神老ここに」
「お主が最初だ」
「そうですか」
「よく来た」
 こうその神老に言うのだった。
「一番乗りのこと認めよう」
「有り難きお言葉、されど」
「他の者達もだな」
「続々とここに来ております」 
 神老は畏まって服部に述べた。
「ご安心を」
「そうか、ではな」
「これより」
「全ての者が揃ってから話そう」
 こう言ってだ、服部は次の者達を待った。すると。
「次はお主か」
「はい」
 無明だった、相変わらず表情はない。
「それがしが二番ですか」
「そうなった」
「それは残念なこと」
 雷獣がその無明の横に出て来た。
「急いで来たというのに」
「それはわしも同じこと」
 軽い感じの雷獣と違い双刀の口調は苦々し気だった。
「一番乗りは神老のご老体か」
「この通り」
 神老は笑みを浮かべず双刀に応えた。
「幸いなことに」
「幸いというが相変わらずの速さよのう」
 幻翁は霧の様に出て来た。
「わしよりも齢は上というのに」
「流石は伊賀十二神将の前の筆頭かしらね」
 音精は妖艶な声で笑みを浮かべつつ姿を現した。
「そして伊賀一族の長老でもあるから」
「ただ長生きしているだけのこと」
 神老は幻翁や音精達にも返した。
「何でもない」
「それでその素早さはないでありんすなあ」
 音精以上に妖しい色気を醸し出す声だった、その声の主は絡繰であった。
「老いて尚盛んでありんすか」
「何、もうおなごにもおのこにも興味はなくなった」
 神老はその妖艶な絡繰にも素っ気ない。白拍子の服を着ているが絡繰の色香はえも言われぬ魔性のものだったがだ。
「とうの昔にな」
「ではあるのは忍の道と強さか」
 剛力が来た。
「ご老人の興味は」
「それと酒か」
 氷刀の声は不敵に笑っていた。
「残念ながら今はないが」
「まあ酒は何時でも飲める」
 音もなく影の様にだ、道化は一同の中に出て来た。
「一仕事終わってからでも遅くはなし」
「そうだな、折角十二神将が集まるんだ」
 土蜘蛛の身体は大きい、しかし気配は完全に消していた。
「この仕事、確実に終わるぜ。わし等の勝ちでな」
「自信の程やよし、しかし」 
 その土蜘蛛の横に来てだ、音精は妖しく笑って言った。
「一人足りないのはわかってるね」
「ああ、わかってるさ」
 土蜘蛛はその音精に余裕のある声で返した。
「全く、あの姫さんはな」
「また遊んでいるな」
 やれやれといった顔でだ、剛力が述べた。
「何処かで」
「こうした時はいつも最後だな」
 こう言ったのは氷刀だった。
「姫様は」
「姫ではに」
 氷刀に半蔵が言った。 
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