緋弾のアリア ~とある武偵の活動録~
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~False accusation of I・U - 862 years~
俺は、また少し離れたところで境界を開き―家へと帰る。リビングに行くと…あれ?アリアが居ない。
ふてくされて寝ちゃったのか?
ぶわん。と境界を開き、アリアの部屋を覗いてみると…
あれ?いない……ホントにどこに行ったんだよ。
まぁ、いいや。お風呂入って……TV見て寝よう。
お風呂場のドアを開ける。
―ガララッ……………?…………………!?
「なっ―!? 」
なんで……ここにアリアがいる!?音がしないからいないと思ってたのに!
「こっ、この―ヘンタイ!!!」
「うわっ!」
全裸状態アリアの―飛び膝蹴りからの鳩尾に1発……をすんでのところで回避し、俺はお風呂場のドアをおもいっきり閉める。そしてリビングへと逃走し、いつ発砲されてもいいようにベレッタとDEの2丁拳銃+ESSで待機。
あの凶暴貴族が絶対に本気でやってくることは目に見えている。ならばこっちも本気でやろう。
「うらぁっ!!」
バリバリバリバリッ!!!
パジャマに着替えたアリアが―扉を開き様に2丁拳銃で発砲してきた。照準は……頭!?ちょっ、殺す気!?
パパンッ!! ギギギギンッ!
咄嗟の銃弾逸らしで全弾回避。
そして―アリアのガバメントをごり押しで取り上げ、弾倉を抜き、コッキングしてチェーンバーから薬莢を出し、空撃ちをして撃鉄を落とす。
一難去ってまた一難。今度は二刀流だ。
「―やぁっ!」
狙いは―肩。真っ直ぐに突いてくる!
俺は回転受け身をとり、起き際に―
パパンッ!
―刀の刀身を撃ち、手から落とさせる。
「えーっと……アリア。悪かった、ちゃんと確認してなくてな……あとでももまん買ってやるから許してくれ」
「だいたい!なんで玄関にあたしの靴が置いてあるのに気づかなかったの!?このバカ! 」
境界で一気に廊下までワープしたからなぁ……玄関見てなかったな。
「……まぁいいわ。その代わりももまん買ってくれるんでしょうね?」
「あぁ、うん…コンビニにあるだけ、な」
「じゃあ今!今買ってきなさい」
―と言われ、コンビニから8個のももまんを購入し。
アリアが夕飯として、全て平らげました。
「ふにゅう……」
「なんだその声は……」
「おいしかった、って意味よ。分からない?」
ワカリマセン。
……ふと時計を見ると、7時58分。今度こそお風呂入ってこよ。
「んじゃあ俺は、お風呂に入ってくるからな」
「んー……」
―ガチャン…ガララッ。
………………………10分後……………………………
「あー…………」
リビングに戻ると、アリアが生き物にサン○ューを見ていた。……ネコかわいいな。
「ねぇ!このネコかわいくない?」
画面を指差し、俺に聞いてくる。種類はたしか……
「アメリカンショートヘアーか。かわいいな」
「でしょ!いいなー」
……………………………………………………
「ふぁ…………そろそろ寝ようかしら」
と言われ時計を見てみると、8時58分。もう寝る時間だな。
「先に寝ててもいいぞ。俺は弾倉に弾籠めしてから寝るから 」
「おやすみなさい」
「うん、おやすみ」
アリアがリビングを出た後、俺はさっきの戦闘で消費した分の弾(ベレッタをたった4発だが心配性なのでな)を籠める。その後、銃の簡易整備をして。
「大丈夫かな……。寝るか」
―パチン。
リビングの電気を消し、寝室のベッドに入る。
………………………………………………………………
……………………………………………………
……………………………………………
……………………………………
……………………………
…………………
………
「ん…………」
朝、7時27分。今日は学校は休みである。
俺は眠気覚ましにコーヒーを飲もうとリビングに行く。
「あれ?珍しいな」
珍しいことに、俺より早くアリアが起きていた。
「珍しいってなによ。たまにはこういうのもいいかと思ったからやってみたのよ」
休みの日は用事さえなければ遅くまで寝てるからな………
こいつ。
「早起きは良いことだがな。明日は大雨が降るかな…………?」
「ハァン?」
「……なんでもない。それよりコーヒー飲むか?」
「エスプレッソ・ルンゴ。カンナ」
俺もそれにしよう。
そう思い、コーヒーメーカーに豆を淹れる。
…………1分後…………
「ほら、出来たぞ」
コトッ、コトッ。
「はーい。どうも」
……………………………………………………
……………………8時34分。 暇だ……。
「暇ねぇ…………」
同感。
「あ!」
アリアが何かを思い出したような声を出した。
「ママの所に行くんだった」
「……ママ?」
「そう。準備したらすぐに出かけるわよ!」
「準備は良いんだが……事のあらましを説明してくれ」
「移動中に話すわ。あ、武装してね」
「武装……?」
―その後。男子寮を出て、モノレールの駅へと行く。
新橋に出て、JRで神田を経由し、新宿で降りた。
ついて行くと、街の男達がアリアをジロジロ見ている。
まぁ、それもそうか。今のアリアは私服だからな。
制服かC装備姿しか見たことなかったので、少し新鮮だ。
新宿駅西口から高層ビル街の方へ、カツカツとミュールを鳴らしながら歩いていく。ちょっと意外だな。こっちにはオフィスビルしかなかったハズだが……どこに行くつもりだ?
「ここよ」
「新宿警察署……?」
「そう。入るわよ」
―と言われ、入った場所は……留置人面会室。2人の管理官に見張られながらアクリルの板越しに出てきた女の人に、少し見覚えがある。
たしか……アリアのガバメントのグリップに、埋め込まれていたカメオ。それに彫刻されていた、アリアによく似た女性だ。
柔らかな曲線のロングヘアー、オニキスのような瞳―
「まぁ……アリア。この方、彼氏さん?」
「ちっ、違うわよママ」
俺を見て少し驚いたような―でもおっとりしたような声を上げたその人は……アリアの母親、だろう。
…………若いな。年の離れたお姉さんって感じの。
「じゃあ、大切なお友達さんかしら?へぇー。アリアもボーイフレンドを作るお年頃になったのねぇ。お友達さえ作るのが下手だったアリアが、ねぇ。ふふ……」
「違う。コイツは如月彩斗。武偵高の生徒で―そういうのじゃないわ。絶対に」
「…………彩斗さん、初めまして。わたし、アリアの母で―神崎かなえと申します。娘がお世話になってるみたいですね」
「あぁ、いえ……そんなことないですよ」
「別に気を使わなくても良いのよ?仮にも母親なのだから、そのくらいは分かるわ。どうせギャーギャー騒いでるんでしょ?」
「そういう時もありますね」
俺の回答にイラッとした顔をしたアリアは―
―「ママ。面会時間が3分しかないから、手短に話すけど……コイツは武偵殺しの3人目の被害者なのよ。先日、武偵高で自転車に爆弾を仕掛けられたの」
「…………まぁ…………」
アリアの母…かなえさんが表情を固くする。
「さらにもう一件、一昨日はバスジャックが起きてる。ヤツの行動は、急激に活発になり始めてるの。
てことは、もうすぐシッポも出すハズだわ。だからあたし、狙い通りまずは『武偵殺し』を捕まえる。ヤツの件だけでも無実を証明すれば、ママの懲役864年が一気に742年まで減刑されるわ。最高裁までの間に、他もぜったい、全部なんとかするから」
「そして、ママをスケープゴーストにしたイ・ウーの連中を、全員ここにぶちこんでやるわ」
「アリア。気持ちは嬉しいけど、イ・ウーに挑むのはまだ早いわ―『パートナー』は見つかったの?」
「ここにいるわ」
とアリアが俺を指差す。
「…彩斗さん。アリアの才能は、遺伝性のもの。でも、アリアには一族の良くない一面―プライドが高くて子供っぽい、その性格も遺伝してしまっているの。そのままでは、アリアは自分の能力を半分も発揮できない―」
「―だから、アリアを理解し、アリアと世間を繋ぐ橋渡しになるようなパートナーが必要なの。適切なパートナーは、アリア自信の能力を何倍にも引き延ばしてくれる……。アリア、曾お爺さまにも、お祖母さまにも、優秀なパートナーがいらっしゃったでしょう?」
「…………それは、ロンドンで耳にタコができるぐらい聞かされたわよ。分かってる」
「神崎。時間だ」
壁際に立っていた管理官が、壁の時計を見ながら告げる。
「ママ、待ってて。必ず公判までに真犯人を全員捕まえるから」
「焦ってはダメよアリア。あなたが心配なの。ちゃんとパートナーと一緒に行動しなさい。自分の能力を最大限に発揮できないと、イ・ウーには勝てないわ」
「でも…………」
「アリア。私の最高裁は弁護士先生が一生懸命引き延ばしてくれてる。まずはパートナーとの協力、これが出来ないとダメ」
「…………分かった」
「彩斗さん、アリアを宜しくお願いします」
「……はい」
「時間だ!」
アリアを宥めようとアクリル板に身を乗り出したかなえさんを、管理官が羽交い締めにするような形で引っ張り戻した。
「あっ…………!」
「やめろッ!ママに乱暴するな!」
アリアはまるで猛獣のように犬歯をむき、赤紫色の瞳を激昂させてアクリル板に飛びかかった。
だが板は透明でも、厚く硬い。もちろん少しも歪まず、アリアを受け付けない。
かなえさんはアリアを心配そうに見ながら、2人がかりで引きずられるようにして運ばれていった。
―ゴトンッ…………
「訴えてやる。あんな扱い、していいワケがない。絶対…………訴えてやるッ! 」
と独り言しながら、曇り空の新宿駅へ戻るアリアに………
俺は、何も声をかけられずにいた。
「…………」
かつん…かつん…かつん。
ミュールを鳴らしてアルタ前まで戻ってきたアリアは、急に―かつ……ん。立ち止まった。
俺も、立ち止まる。
背後から見れば、アリアは顔を伏せ、肩を怒らせ、伸ばした手を震えるほどに強く、握りしめていた。
ぽた。
ぽた………ぽたた。
足元に、何粒かの水滴が落ちてはじけている。
…………聞くまでもない、アリアの涙だった。
「アリア……」
「泣いてなんかない」
怒ったように言うアリアは、顔を伏せたまま震えていた。 町を歩く人々は道の真ん中に立ち止まる俺たちを、
ニヤニヤと見ている。痴話喧嘩か何かだと思っているのだろう。
「おい……アリア」
少し背をかがめて顔を除きこむと……
ぽろ……ぽろ。ぽろ。
前髪に隠れた目から、うつむいた白い頬を伝って、雫がしたたる。
「な…………泣いてなんか……」
と言うアリアは歯を食いしばり、きつく閉じた目から涙を溢れさせ続けていた。
「ない…………わぁ……うわぁぁぁあああぁぁぁあああ!」
糸が切れたかのように、泣き始める。
俺から顔を逸らすように上を向き、ただ、子供のように泣く。 こっちの胸が振動してしまうほどの、大きな声で。
夕暮れの街は、明るいネオンサインに音楽を乗せて、流行の服や、最新の家電を宣伝している。
ちかちかするその光が、アリアの桃色の髪を弄ぶように照らし、追い討ちをかけるように、通り雨が降り始めた。
人々が、車が、俺たちの横を通りすぎていく。
ケータイを耳に当てた女が、キャハハ!マジ!?ウケルー!なんて大声で喋りながら、通りすぎていった。
……俺は、泣き続けるアリアにどうすることも出来なくて。ただ、ただ。時間だけが過ぎていった。
~Please to the next time!
後書き
皆さん久しぶりです。レミリアですっ!
やっとテスト終わったぁぁ……! 以上。
誤字脱字はコメントにて。それではノシ
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