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ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

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第18話 激突!デビル大蛇!唸れ5連釘パンチ!!

side:小猫


 ココさんの過去を知った私たちはココさんと仲良くなるために今ココさんの背中にアーシアさんと一緒にくっついています。ココさんは最初は渋っていましたが今は何も言わずにおんぶしてくれています、最初は迷惑をかけちゃったかな?、と思いましたが気のせいか先ほどより和らいだ表情になっているような気がします。


「だんだん勾配がキツくなってきたな」
「ああ、ここからは100mくらい真下に向かって巨大な穴が広がっている」


 私たちの目の前には大きな穴が開いており今度はここを通らなければならないようです。


「よし、ロープを引っかけて下に降りるか」


 先輩が背負っていたリュックから細いロープを取り出しましたがあんな細いロープで大丈夫なんでしょうか?


「イッセー、そのロープじゃ切れてしまわないかしら?」
「炭素繊維を配合したワイヤーロープですから大丈夫ですよ。100人ぶら下がっても切れません」


 部長が私が思った事を聞いてくれました。でも流石先輩です、道具の準備も怠っていませんね。


「じゃあアーシアとティナは俺たちに捕まってくれ、他の皆は飛んで降りてくれるか?」


 私たちは飛べるからロープを使う必要はありませんよね、いつまでもココさんにくっついていたら降りにくいかも知れません。私はココさんにアーシアさんを任せて彼の背中から降りました。


「じゃあティナは俺が…」
「イッセー君、ちょっといいかしら?」
「ん?朱乃さん?」


 先輩がティナさんを背負おうとしたときに朱乃さんが先輩を呼び止めました。


「実は私、羽の調子が悪くて……イッセー君が運んでくれないかしら?」
「え?それは大変ですね。分かりました、朱乃さんは俺が背負いますよ」
「うふふっ、ありがとうございます」


 な、何ですと―――――っ!?先輩に運んでもらえるなんてズルいです!でももしかしたら本当かも知れませんし……ムムムッ……どうしたらいいんでしょうか?


(まあここは我慢するしかありませんよね、朱乃先輩もイッセー先輩の反応が可愛いのでからかっているだけですよ。多分……)


 しぶしぶ認めた私は背中から悪魔の羽を出しました。


「じゃあティナさんは僕が運びますね」
「お願いね祐斗君。それにしてもこんなイケメン君にお姫様抱っこされるなんてあたしもツイているわね」
「あはは、それは光栄です」


 祐斗先輩も羽を出してティナさんをお姫様抱っこしました。因みに悪魔の事はティナさんに言ってありますが「へー、不思議な種族がいるのね」と普通に受け入れてくれました。この世界では悪魔も珍しくないのでしょうか?


「よし、最初に僕が降りていくから後に続いてくれ」


 まずココさんとアーシアさんが降りていき次に私、そして先輩と朱乃さん、最後に部長と祐斗先輩とティナさんの順で穴を降りていきます。


「うう、暗くて怖いです……」
「アーシアちゃん、しっかり捕まっていてくれ」
「は、はい!」


 ゆっくりと下に降りていくココさんの後を追う私、少し下に降りると淡い光が飛んできました。


「これは蛍ですか?」
「ああ、『海蛍』だね。海から洞窟に紛れ込んできたようだ」
「凄く綺麗です~」


 目の前に広がる幻想的な光景に思わず見とれてしまいそうです……


「先輩!凄く綺麗ですよ!先輩も見て…って何してるんですかーーーっ!?」


 上を見上げると朱乃さんが先輩の背中に大きな胸をこれでもかと押し付けていた。


「ちょ、朱乃さん!?」
「ごめんなさい、イッセー君の背中が心地よくてつい密着してしまいましたわ♪」


 朱乃先輩がイッセー先輩に大きな胸を押し付けているのを見て私はついにキレてしまいました。


「先輩、何顔を赤くしてるんですか!!朱乃さんもそんなに密着しないでください!!」



 私に対する当てつけですか!?どうして私の周りには巨乳しかいないんですか!?姉さまや部長と朱乃さんは言わずもがなアーシアさんもそれなりに大きいですし前に知り合ったルフェイさんも大きかった、更にはティナさんも……世界は私に恨みでもあるんですか!?


「がるるぅ!!」
「こ、小猫ちゃん!?落ち着けって!?」


 あまりにも辛い現実を突きつけられて思わず獣化してしまいそうになりましたが何とか下まで降りることが出来ました。


ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー


「全く……何をやっているんだ、君たちは」
「イッセーさん!!デレデレしてはダメです!!」


 ココさんとアーシアさんに私は先輩と朱乃さんと一緒に怒られています。でもあれは不平等すぎませんか?


「あはは……」
「もう、貴方たちは仕方ないわね」
「四天王を取り合う二人の美少女……美味しいニュースなのかしら?」


 部長達もあきれ顔になってます。ううっ……自分が情けないです……


「ぎゃあああぁぁぁぁ!?」


 その時でした、洞窟内に誰かの悲鳴が響きました。


「今のは他の美食屋の悲鳴か…!?イッセー!」
「ああ、分かっているさ!」


 先輩とココさんが目線を向けた方から何かがこちらに向かって飛んできました。


「ナイフ!!」


 先輩は赤龍帝の籠手を出して飛来してきた何かを切り裂きました。


「ポイズンドレッシング」


 ココさんは指先から毒を出して飛来してきた何かに毒のシャワーを浴びせました。


「こ、蝙蝠?」


 部長の言う通り飛来してきたのは蝙蝠でした。でも普通の蝙蝠と違い羽が鮮やかな模様をしています。


「『アゲハコウモリ』さ、スパイスが効いてて美味いぞ」


 先輩はムシャムシャとアゲハコウモリを食べていました。というか生でいけるんですか?


「でも何か様子がおかしかったな。ココ兄にまで襲い掛かるなんて」
「ああ、でも襲い掛かってきたというよりは必死で何かから逃げていたように見えたが……」


 確かに毒を持つココさんに襲い掛かるなんて変ですね、何かとんでもないものが奥にいるんでしょうか……?


「まあ警戒しながら奥に行くしかない……!?ッリアスさん!」
「えっ?…きゃあ!?」


 先輩が突然部長をお姫様抱っこして飛びました、その瞬間に何かが部長のいた場所の地面を砕きました。


「イッセー!?今のって……」
「ええ、どうやら向こうから来てしまったみたいですね……」


 洞窟の奥から現れたのは巨大な口と三つの目、そして長い胴体に生える幾つもの腕……まさに化け物としか言いようがない生物でした。


「こいつが伝説の魔獣『デビル大蛇』か!?」
「デビル……悪魔の異名を持つ生物……何て禍々しいの……!?」


 デビル大蛇……ココさんが言っていた猛獣がこの生き物ですか!?部長の言う通り悪魔の名に相応しい見た目です。


「ギャオアァァアア!!」
「ぐっ、何て凄まじい咆哮なんだ!」
「気が狂ってしまいそうですわ……」


 デビル大蛇の悍ましい咆哮に身震いが止まらなくなってしまいそうです…!


 ズム…ズムム……


 …?何の音でしょうか?何かが沈んでいくような音が聞こえた私はデビル大蛇の腕のひとつが胴体の中に入っていくのを見つけました。


 ギュボアッ!!


「なっ!?」


 次の瞬間、デビル大蛇の腕が凄まじい速度で私に迫ってきました。余りの速さに反応が遅れてしまいます、これじゃ避けることが出来ない……!


「小猫ちゃん!!」


 先輩が私を突き飛ばしてくれたお蔭で私は助かりましたが先輩がデビル大蛇の腕に掴まってしまい壁に叩き付けられてしまいました。


「先輩!?」
「イッセー君、今助けますわ!」


 朱乃さんが雷をデビル大蛇に放とうとしましたがデビル大蛇は口から何か液体のようなものを吐き出してきました。


「ぐっ!」


 朱乃さんは攻撃を止めて液体をかわします、液体が地面に当たるとジュウジュウと音を鳴らしながら地面を溶かしました。


「消化液を吐き出しましたわ…!?」


 もしあれに当たったらドロドロに溶かされてしまいます、朱乃さんがかわせて本当に良かったです。


「ヴロロロロ……」


 デビル大蛇は捕えていた先輩に目がけて消化液を吐きかけようとします、まさか自分の腕ごと…!?


「イッセー先輩!!」
「オおぉおㇽあァあああ!!!」


 先輩は間一髪デビル大蛇の腕を引きはがして脱出しました。そして赤龍帝の籠手をデビル大蛇の腕に振り下ろしました。


「ナイフ!!」


 先輩の一撃はデビル大蛇の腕を斬り裂きました。


「やった…!?」


 私は目の前の光景が信じられませんでした。何故なら斬られた腕の切り口から一瞬で新たな腕が生えてきたからです。


「ぐはっ!?」


 先輩はデビル大蛇に殴られて再び洞窟の壁に叩き付けれてしまいました。


「何て再生速度なの!?斬られた腕が一瞬で生えてくるなんて…!」


 まるでイモリの尻尾みたいですが再生する速度が比べ物になりません!


「くそ、あの巨体で素早い奴だ」


 先輩は崩れてきた岩を払いのけてこちらに飛んできました。先輩がここまで苦戦するのは初めて見たかも知れません。


「皆は下がっていてくれ。流石にこいつを相手にするのは骨が折れそうだ」


 先輩の言葉に私たちは素直に頷いた。先輩ですら手を持て余す相手に私たちが適うはずがありません、寧ろ足手まといになってしまいます。私はアーシアさんの盾になろうと彼女に視線を送りましたがあることに気が付きました。


「あれ?アーシアさん?」


 アーシアさんの姿がどこにも見当たりません!ど、どうして……!?ッこの匂いは…!


「先輩、アーシアさんが!?」
「ああ、俺も今気がついた、アーシアの匂い以外に何者かの匂いがする……連れ去られちまったか!」


 そ、そんな……一体誰が!?


 ブォン!!


 そんなことを考える暇も与えないとデビル大蛇が攻撃をしてきました。私たちは何とかそれを回避しました。


「喰らえ、毒砲!!」


 ココさんの右腕に毒の塊が集まって巨大な球になりそれがデビル大蛇に向かって放たれる。だがデビル大蛇はそれを回避して髪の毛から黒い液体を出してきた。


「驚いたな、髪の毛から毒を出してくるとは…ポイズンドレッシング!!」


 ココさんは指先から毒のシャワーを出してデビル大蛇に放つ。だがデビル大蛇は毒をかわしてココさんに消化液を吐き出した。


「イッセー、ここは僕に任せてアーシアちゃんを追うんだ!」
「でもココ兄だけじゃそいつは…!」


 ココさんがデビル大蛇を引き付けていますが防戦一方になっています。


「くそ、俺は何をやっているんだ。守ると言っておきながら……」


 先輩は悔しそうに手を握っている。いくら先輩でもデビル大蛇を相手にしていたら気が付くのは遅れてしまうだろう。


「……イッセー、ここは私たちに任せて頂戴」
「リアスさん!?」
「部長!?一体何を!」


 部長の突然の言葉に全員が驚きました。




sede:イッセー


 俺はリアスさんの言葉に驚いていた。何故ならこの危険な洞窟を俺やココ兄抜きで行くと言っているようなものだからだ。


「駄目だ、あまりにも危険すぎる!」
「分かってる、でも私たちじゃあデビル大蛇には適わないわ。でもココさんだけでも分は悪い……ならここは二手に分かれてアーシアを追う方がいいと思うの」


 リアスさんの意見は正論だ、このままではアーシアの身が危険だ。今すぐに俺が追いたいがデビル大蛇に背中を向けたら殺されてしまう、でもリアスさんたちがアーシアを追えば俺とココ兄でこいつを足止めできる。だからその提案が一番いい選択だと頭では理解できる。


(だがリアスさんたちだけでは…!)


 この洞窟には他にも危険な猛獣が存在している、もしかしたら他の個体のデビル大蛇がいるかも知れない。いくらリアスさんたちが強くなったといえデビル大蛇に勝てるはずがない。そんな危険地帯に仲間を行かせることは……


「イッセー君、僕たちは仲間だ、アーシアさんだって同じこと。だったら助けに行くのは当然の事だろう?たとえ危険な場所であろうと僕は仲間を助けに行きたい」
「私たちは貴方に鍛えてもらったんですもの、逃げることくらいなら出来ますわ」
「それに私たちは危険を承知でここに来たの。だから貴方だけが全部背負うのは止めて、もっと私たちを頼ってほしいの」
「皆……」


 俺はどうすればいいんだ?皆の覚悟は本物だ、でも万が一誰かが死んでしまったら……そう考えると体の震えが止まらない。偉そうなことを言っておきながら俺は誰かを失うのが怖くて仕方ない…


「先輩」


 小猫ちゃんがそっと俺の右手を自身の両手で包み込むように握った。


「小猫ちゃん?」
「先輩、私たちを信じてください。私たちはまだ弱いです、でもそれでも貴方の力になりたいんです。だからお願いします、私たちを信じて……」


 ……俺はやってるんだろうな、自分一人で全部背負おうとして皆を唯守る対象としか考えてなかった。それじゃ対等ではない、時には仲間を信じて送り出すことも必要なんだ…!


「分かった、不甲斐ない俺に代わってどうかアーシアを助けてくれ!」
「はい、勿論です!」


 俺は皆にアーシアの事を任せてデビル大蛇に向かっていく。因みにティナだけは後ろに下がっていてもらっている、彼女だけは戦う術が無いからな。


「ココ兄、加勢しに来たぜ!」
「イッセー、何をやっているんだ!?アーシアちゃんはどうするつもりだ!」
「アーシアの事は皆に任せた、ココ兄だけじゃこいつには勝てないだろう?俺も一緒に戦う!」
「だが危険じゃないのか?」
「俺は皆を信じる…だから俺はやるべきことをやるだけだ」
「…そうか。いい仲間をもったな」
「ああ!」


 俺とココ兄は赤いドラゴンと不気味な人型のオーラを放ちデビル大蛇を威嚇する。だがデビル大蛇は怯むどころか睨みつけてきた。


「俺の威嚇やココ兄の毒にも怯えない……何年ぶりだろうな、本気で戦うのは…」
「イッセー、久しぶりの連携だ。気を抜くなよ」
「ああ、勿論だ!」


 俺は向かってくるデビル大蛇の腕をかわしてデビル大蛇の胴体にナイフを繰り出した。


「ぶった切ってやる!」


 だがデビル大蛇の胴体は予想以上に固く浅く切り裂いただけだった。


「か、硬え…!伸縮性のある皮膚を限界まで縮めて硬度を上げやがったのか!」


 さっきのナイフで学習したのか、なんて知能してやがる!


「はぁぁ…毒砲!!」


 ココ兄が再び毒砲を放つがデビル大蛇はあっさりとかわしてしまう。


「くそ、何で奴はこの暗闇であんなに動き回れるんだ?」
「恐らくデビル大蛇は『ピット器官』をもっているんだろう」


 ピット器官…蛇が持っている熱を察知するセンサーの事か。これは厄介だな。


「なあココ兄、あいつの動きを止める事は出来ないか?」
「出来なくもないが……もしかして奴を倒す技があるのか?」
「ああ、今の俺なら『5連』までいける。再生する間もなく内部から破壊してやるぜ」
「なるほど…なら奴の毒と僕の毒…どちらが有害か勝負してやる…!!」


 デビル大蛇は一旦ココ兄に任せて俺は赤龍帝の籠手に力を溜めていく。


「いくぞ、デビル大蛇!!」


 ココ兄はデビル大蛇の攻撃をかわしながら接近していく。


(僕の毒液の弱点はスピード……動きの素早いデビル大蛇には避けられてしまう。ならまずは奴のピット器官を潰す…!)
 

 ココ兄は跳躍して右腕を構えた。


「(ピット器官は……見えた!)喰らえ、ポイズンライフル!!」


 ココ兄の指先から微量の毒が弾丸のように放たれた。それはデビル大蛇の鼻の上に当たった。おそらくデビル大蛇のピット器官を潰したんだろう。


「よし、微量だから効くまでに時間がかかるが粘着性のある毒でピット器官を完全に潰した!喰らえ、毒砲!!」


 だがデビル大蛇はピット器官を潰されたにも関わらずココ兄を腕で掴んだ。


「し、しまった!コイツのピット器官は三つじゃない!?他に隠していたのか!」


 デビル大蛇は髪の毛をココ兄に突き刺した。不味いぞ、ココ兄はデビル大蛇の毒の抗体を持っていない…!俺はココ兄を助けようとするがココ兄が手で必要ないと合図した。


「イッセー、お前は力を溜める事に集中しないといけないだろう…」
「でも、ココ兄はそいつの抗体を…!」
「ああ、持っていない…ならば新しく精製ればいい…!」


 まさかココ兄は直接毒を体の中で解読して抗体を精製するつもりか…!?普通は不可能だが強力な免疫力を持つココ兄なら可能だ。


「…ふう、何とか抗体を作れたか。…そろそろだな」
「ギュロロッ!?」


 突然デビル大蛇の動きが鈍くなった、先ほど打ち込んだポイズンライフルの毒がようやく効きだしてきたのか。


「よし、毒が周ったか。イッセー、準備はいいか?」
「ああ、いつでも放てるぜ…!!」


 俺は限界まで溜めた赤龍帝の籠手をデビル大蛇の胴体にぶちかました。


「5連!!釘パンチ!!!」


 俺の放った釘パンチはデビル大蛇の胴体を貫きバラバラに粉砕した。俺は落ちてきたココ兄をキャッチする。


「大丈夫か、ココ兄?」
「やっぱりブランクが大きいね。流石に疲れたよ……」
「俺もだ。でもそうは言ってられねえ。早く皆を追わないとな」
「ああ、急ごう」


 俺とココ兄はティナを連れて皆の後を追った。待っていろよ、アーシア!

 
 

 
後書き
 リアスよ。イッセーとココさんは大丈夫かしら?ううん、今は私たちのやるべきことを果たさなくちゃ…アーシア、待っていてね!次回第19話『伝説の美食屋現る!フグ鯨を捕獲せよ!!』で会いましょう。 
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