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真田十勇士

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巻ノ百十二 熊本その十三

 幸村と十勇士達が着こうとしていた、幸村は遠くに見えたその城を見て十勇士達に対して言った。
「よし、見えてきたな」
「ですな、見事な城ですな」
「天守も石垣も」
「その全てが」
「全くじゃ、あれだけの城を築けるのもな」
 幸村は感嘆と共に言った。
「加藤殿ならではじゃ」
「天下でも指折りの築城の名人」
「だからですな」
「あれだけの城を築ける」
 まさにというのだ。
「そういうことじゃ、それでは」
「いよいよですな」
「あの城に入り」
「そしてですな」
「そのうえで」
「そうじゃ、加藤殿とお話をする」
 まさにというのだ。
「そうしてじゃ」
「そのうえで、ですな」
「いざという時のお話をする」
「そうされますな」
「今より」
「加藤殿のところに参りな」
 それからというのだ。
「お話をする、それじゃが」
「はい、既にですな」
「加藤殿は我等がいることはご存知ですな」
「そのことは」
「左様ですな」
「そうじゃ」 
 そうだというのだ、加藤は。
「あの方ならばな」
「並の大名ならいざ知らず」
「あの方程になりますと」
「我等でもここまで来れば」
「お気付きですな」
「だからな」
 それ故にというのだ。
「これよりな」
「あの城に入り」
「そのうえで、ですな」
「お話をしますか」
「そうする、わかったな」
 こう十勇士達に述べた。
「今よりな」
「わかり申した」
「ではです」
「これよりです」
「我等もお供します」
「今より」
「うむ、皆で行こうぞ」
 幸村は十勇士達と共に熊本城に向かった、そうしてそこで加藤と会うのだった。


巻ノ百十二   完


               2017・6・24 
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