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真田十勇士

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巻ノ百十二 熊本その十一

「その余裕は暫くないやもな」
「大久保殿の後でも」
「ここで一番厄介なことを終わらせたい」 
 幕府にとってというのだ。
「大坂のことでな」
「では」
「上総、下総の二国をやがてと考えておるが」 
 柳生に応えつつだ、家康は幕臣達に話した。
「しかしな」
「一時はですな」
「大和でいいであろうか」
 その国でというのだ。
「一国な、それかな」
「先にですな」
「上総に城を築いてな」
 そうしてというのだ。
「すぐに入ってもらうか」
「そうですな、どうせ移って頂くのなら」
 本多正純が述べてきた。
「やはり」
「先にじゃな」
「はい、城を築き」
 そうしてというのだ。
「すぐにです」
「入ってもらうか」
「そうしましょう、城を築く間は」
 それまではというと。
「まあ大坂から出てもらいますが」
「それでもじゃな」
「江戸でも何処でもです」
「然るべき場所にな」
「住んで頂き」
 そうしてというのだ。
「それからです」
「城が出来てじゃな」
「入ってもらいましょう」
「そうしてもらうか」
「何といってもです」
「大坂から出てもらうな」
「それは絶対です」
 何といってもというのだ。
「やはり、そして摂津と河内と和泉は」
「どうしてもな」
「はい」
 この三国はというと。
「幕府のものになり」
「大坂の町もな」
「幕府のものになり申す」
「結局はあそこが欲しい」 
 大坂をとだ、家康はまた言った。
「幕府としてはな」
「その通りですな」
「豊臣家はな」 
 家自体はというと。
「よい」
「何もせずとも」
「大坂でよいのじゃ」
 この地を手に入れるだけでというのだ。
「それでな」
「充分であり」
「他はよい、さてそれが済んでな」
「島津ですな」
「そうなる、しかし島津家はな」
「やがては」
「何とかしておきたい」
 こうも言うのだった。
「伊達家、毛利家もな」
「その二家もですな」
「何とかな」
 まさにというのだ。
「しておきたいが」
「どちらの家も」
「難しい」
「隙を見せませぬな」
「うむ」
 その通りというのだ。 
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