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HUNTER FUNG

作者:真亭 甘
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永遠の行軍

ダルフが目を開けると、そこには流れの美しい川が流れて、近くで焚き火を炊きながら魚が焼けるのを待っている大男がいた。

「・・・ここは」

「おお、気がついたか。俺様は袈(けえ)。強いものを探して倒す、それを生き甲斐にして旅をしている者だ。よろしくな。であんたは」

とこの袈と名乗る男は、体は豪将のように猛々しく目元に赤いメイクをし、髪の長い俺よりも薄く輝きのある金髪をオールバックにしている。なにより強固に割れた腹筋が丸出し姿が特徴的である。下半身は肩に羽織ってある毛皮の脚の部分を腰に巻き、後ろからしっぽが出て腹の部分は周りをスカートのように垂らしているが、ちゃんとズボンは履いている。

恐らくこの者は神宮のものらしい。

神宮
それはマルナスから北東の方面をかなりいったところにある大国。前まではエストレス山脈の向こうにある超大国華鳳と2強と言われるほどであったが、今はハルやシロンの故郷で起きてた大戦が終結したアクロテンが加わり3強と言われる程、ユルシア大陸では強い権力を持つ国である。

「俺はダルフ。助けていただきありがとうごさいます。・・・ここはいいったい」

「ここは川の少し下流のところさ。あんたらはそのへんの岸や岩に引っかかっていた。そこを俺が通りかかった」

「あんたら・・・」

ダルフはジェスの戦闘をしてたことを思い出た。辺りを見回すがもうジェスの姿はいない。

「黄色い服を着て細めのヤツなら、もうとっくにいた」

と袈は俺とジェスが戦闘していたのを知っていた。

「あちらさんは起き上がって、お前さんを見るなり殺気を出してたで。「俺様が助けたからには目の前では殺させね」と殺気を少し出したらすぐさま立ち去って行ったよ。あの傲岸は面白かった。一度戦っておきたかったな。ガハハハハ」
と高笑いをして教えてくれた。

「さぁ魚が焼けたぜ。食うか」

「いただきます」

と袈に言われるがままに焼けた魚を食べる。そしてジェスやなんで川にいたのか、旅のこと村のことやスットマンのなど国の事情やシロンやハルの仲間のことを話した。

「なるほどね、強行的な策を取るのはどの国も同じね」

「そちらの国でもあるのですか」

「あぁ、お気づきのとおり、おりゃ神宮の出身でな。1大名家に使える家臣なんだ」

「大名家」

「大名家ってのは、他の国で言う領主さまだ。俺のいる神宮の国ではその領主さまが国を動かす権力があるのよ、そんでその権力をしめすために戦争がある。」

「領主同士の争い」
俺はすごい難しい顔をした。

「まぁ、そういうこっちゃ。昔は100もの大名がいたが、今は10ほどになった。あの激戦時代は楽しかった」

「楽しい・・・だと」
その言葉を聞いた瞬間に恐れを感じ身構える。

「ッハハハ、そう身構えなさんな別にいまやり合うつもりはないさ」
というが、いまって言葉が恐ろしい、後々やり合って殺されるのか家畜のように

「まぁちいと、話が脱線してしまったが、その戦になると俺みたいなぶつかり合うのがほとんどだったが、だんだんと時が立つに連れて頭のできるやつの戦いになっていった」

「頭のできるものの戦い」
言葉の意味がわからなかった。たしかにバカよりはましだが、動けなければ宝の持ち腐れになってしまう。一体どう言うこと。

「頭のできものの戦いは、戦わずして勝つことだ」

「戦わずして・・・勝つ」

「戦争を起こさず、策や謀略などをして相手を弱体化し飲み込むってことだ、全然面白くない」

「どういうことだ」

「さっき言った、スットマンもおんなじことをして町や村を潰そうとしている」

「話がわからない」
神宮の戦争とスットマンのやることがおんなじとは全然理解できない。

「大名も相手の大名の役人を暗殺したり、近郊の村を襲わせたりして収益を失くし敵を戦えなくして潰すってことだ。スットマンの場合は自分の利益かもしれないが、軍を失くし賊に村を襲わせて潰す。」

「・・・」

「まぁ俺様は軍人・・・政治はわからねえが、ただこれだけは言える。それを考えれるヤツは自分が神にでもなる気分だと思うぜ」

「・・・」

「そして、それを指揮する大名はさぞ肝がすわったか、あるいわ・・・おっとわり、暗い話になってしまったな」
と言い、俺の背中をバシっと叩く

「う・・・」

「まぁこの話はここまでだ、さぁ今日はもう寝るか」
と言い、袈は腕を広げそのまま後ろに倒れ、大の字になりながら寝た。

俺も横になり眠りにつこうとするが、話のことを考えなかなか寝付けなかった。





次の日の朝、いつの間にか俺は寝ていたらしく、目を開け起き上がる。

「よう、奴さんよく寝れたか」

と袈は焚き火を炊きながら、俺に話しかけた。

「あぁ、いつの間にか寝ていた」

と俺も返事を返す。

「それはいいことだ、ほれちょうど魚も焼けたぜ」

といい、焼けた魚を渡す。

「ありがとう」

2人が焼けた魚を食べ終えると、袈が話す。

「さぁて、仲間のもとにでも行きますか」

「仲間」と言いながら振り返る。

「仲間だよ。お前さんのはぐれているなら心配だろ。」

「ありがとうございます」

「それにまだドラゴンと戦っているのかも知れないしな」

仲間を心配してくれるいい恩人かと思ったが、最後のドラゴンと言う言葉を出してから表情が子供のようにワクワクしてる。そう言えばこの人は戦い人だったな・・・ドラゴンと戦いたがっているのだろう。それから少しの間は、ドラゴンについての話を聞かれる。

焚き火の火を消して
「じゃあ行くか」と言い、近くで休んでいた馬を引き寄せた。

「あぁそう言えばこいつの紹介がまだだったな、こいつは俺の愛馬のだよろしく」

朱風「しゅふう」は黒鹿毛に高さ2mくらいだろうか2人の頭を超え、長さは3mもあるのではないかと思える程の大きさ、その上には矛が収められている。

馬の紹介も終わり、俺らは落ちてきたと思える川上に向かって歩きだした。



「そう言えばなんで袈はこんなところにいるのですか」

「なんだい敬語なんて、柄でもない。」

「はい」

「なんでここにか・・・俺はただまだ広い世界を駆け抜けてみたいだけさぁ」

「駆け抜ける・・・」

「あぁ駆け抜ける、そのことを一心に各地の強者が走っている。そんな集まりもある。俺はそこに置かせてもらってる」

「集まり・・・ギルドか」

「あぁなんかそんなことも言っていたような」

「ギルド」

「何なら仲間と再開して、ドラゴンを倒した後に行くか」

・・・ドラゴンにまだ興味が。

だが少し面白く思えた

「はい、各地の猛者どもの集まるギルド」

そんな話をしていると、俺とジェスが昨日戦った場所の後みたいな場所に着いた。

そこは土砂崩れがあったかのように今まで清流だった流れが岩、岩の隙間から吹き出るように流れいる。森の方は土砂崩れの後のように岩や木々がゴロゴロしながら上の方へと続いている。

「ここで間違いなか」

「あぁなんとなくだがここ最近雨もなかったし、それにこんなところが崩れるとは思えない」

「だな、じゃあ登るか」

崩れ落ちた岩などを登り上がる。

「戦った後は感じられるが、ドラゴンや人が見当たらないな」

「ドラゴンはもう少し奥の方だと思う」

多分そうだ、ここはジェスが森の方に移動して戦った場所だ。ジェスに意識を集中していたでアジトから離れていったはず。

「なるほど、なら森の中を突っ切るか」

森の中を歩いていると、袈がふと言った。

「木ってのはどこにも同じ種類の木が生えているのだな」

「そうなのか」

「あぁ、この高い木々はスギやヒノキなんだよ。高々と立派に伸びるずーと前からあったのだな」

「へぇー」
と俺は言うくらいで、袈を見てた。

森を抜けるとアバの賊のアジトがある、岩山にでた。がそこにもドラゴンの姿は無く。ハルやシロンなどの姿も見当たらない。

「さぁて、どうすか。ドラゴンを倒しきってどっか言ったか、それか喰われてドラゴンが移動したか」

「村へ行こう」

ダルフは即答だった。

「いいぜ。賭けてみよう」

「あいつらがそう簡単に喰われるはずがない」

「かぁ、いいね。面白い」

と高笑いをしながら、ララハ村に戻っていると信じ足を進める。



ララハ村の門に来ると、前来た時は錆び付いて人っ子一人もいないはずが、今村人があちらこちらとせっせと働いていた。

「なんだなんだ、お前さんの言っているイメージと違うが・・・」

「俺もびっくりだ」

「と言う割には少し喜んでいないか」

そう袈が言うが、そうだ、俺は喜んでいるあいつらは村に戻ってきたんだと。

村の中に入っていくと壊された箇所の修復のためにトンカチのカッコン、カッコンと音がいたるところでなり響いていた。


「だ、ダルフさんじゃないですか」

するとアバの賊に立ち向かったあの男が駆け寄ってきた。

「おぉ、お前か怪我は治ったのか」

「えぇおかげさまで、あの時に助けてもらったおかげで」

「そうか」

「それより早く役場に行ってください。お二人はもう戻ってきていますよ。ダルフさんを探しに行くとかも言ってますから下手したらすれ違いになってしまう」

「そうかそれはわかった。ありがとう」

「はい、ところでそちらの御仁は・・・もしかしてアバの」

「いや、違う俺を助けてくれた方だ」

「それはすいませんでした」

「いや、いいってこと、逆にざわつかれるのを楽しんでいたところさ」

と2人は村役場に向かった。

「どうやらお前さんの賭けがかったようだな」

「ふん、当たり前だ」

その頃、役場の展望デッキでは村長とシロンとハルが話していた。

「さっさとダルフを見つけて、早く宴やろうぜ」

「そうね、私たちが倒したドラゴンの肉もあるし、村の復興を祝って」

「早く酒飲みてぇ、特に生をよ」

「生って何」

「生は生だよ」

「だでなに」

「おめぇ生も知らないのか」

「・・・」

「っかぁこれだから田舎者は、生ってのはなビールなんだよ。あの味の美味しさはたまんないぞ」

「ならビールって言いなさい」

「なんだよ、お前は生飲まないのかよ」

「私生よりはワインかな・・・大人の味よ」

「なんだと」

「ちなみに俺はビールかウィスキーかな」

「俺様は地酒だな。この渋さは訳のにはわからねえがな」

と言いながら、ダルフと袈が混ざってきた。

「あぁこれはこれはダルフさん無事で何よりです。」

「すまない、遅れてしまって」

「いいえ、戻ってきてくれて何よりです」

「賊は取り逃がしたが、当分は何もないと思う」

「えぇ本当に皆さま方が村を救ってくれました。本当にありがとうございます」

「いいえ」

「なにが、いいえよ」

と後ろからハルが尻蹴りをする。

「そうだぜ、何戻ってきて英雄気取りかな。これから探しに行くところだったんだぞ。土下座しろ」

とシロンは肩に腕をかけてもたれながら、俺の腹を突きながら言う。

「まぁまぁ、戻って来たことだし。早速宴を始めましょう」

「「「はい」」」

と三人同時に返事をして、中に入っていく

「へぇ、面白い仲間だな」

と言って袈も後を付いて行く。



乾杯の声とともに宴が始まり、みんなが一斉に盛り上がった。

「ところで、武将さんは誰」

とハルが袈に訪ねる。

「俺様は神宮の天征の家臣、袈と申す」

「へぇ、で神宮の袈さんはダルフとはどのような関係かしら」

「川を歩いていたらこいつが寝ていたので同行しているのさ。ところであんたらドラゴンを倒したんだって」

「えぇ、あそこに掲げれているドラゴンの頭。あれがそのドラゴンさ」

「ほぉで、早速その話を聞かせてくれないか」

「いいよ」


ダルフと別れた後、あのドラゴンはブレスを噴いた。

すぐさまお互い左右に避け、シロンは右から鉄鎧で攻め、私は左から射撃しまくったのよ。

「射撃」

「そうよ、私はあの砲銃を使って戦うのよ」

「あれか」

「見てみたいか」

「見せてくれるのか」

「いいよ」

と言ってハルは砲銃を持ってきた。

「これがアクロテンの砲銃・・・」

「どう」

「俺のところより銃口が広いな・・・もう少し広ければ大砲と変わらないな」

「あら・・・神宮の方は銃口が小さいんだ」

「あぁ、この砲銃でも十分に持ち歩けるが・・・俺の知り合いの傭兵は小石サイズの鉄の玉を飛ばしから穴も小さく更に先っちょに刃物を付け加えて刀のように振り回して戦ってもいたな」

「小石サイズの玉・・・そんなので倒せるの」

「上手い奴なら、脳天や心臓に1発命中させて終わりさ、しかもそれを早打ちで次々と裁くあの姿は恐ろしかったな」

「倒したの」

「いや、逆にダチになった」

「へぇー」

「それより続きを聞かせてや」

「うん。で、私のアニマは電気タイプなの。」

「ほぉ、電気かぁ。雷でも落とせるのか」

「いやいや、そんなの出来ないよ。」

「私のは、電気ショック程度だよ」

「それで、どうやって倒すのだ」

「ふんふん」

ハルは鼻で笑いながら言った。

「まず、シロンが扱う鉄鎧の中に私の電気のアニマを注ぐ、そして鉄鎧の穴をシロンの空気系のアニマで塞ぐ。」

「まぁ、あとはドラゴンに突撃をかますだけさ。」

「それで、どうなるだ。電気ショックでも起こすのか」

「違う、違う」

「私の電気のアニマが鉄鎧の中で膨張し続けて、エネルギーを大量に生み出すの。そしてドラゴンにぶつかった瞬間に酸素が入り込み爆破。」

「で、ドラゴンを倒したのよ」

袈の顔が怪しくなってきたな。

同じくその様子をシロンも見守っている。

「なぁ、少しだけそれやってみせては、くれないか。」

「え・・・いいよ」

どうやら、予想した方になった。

「シロン、ちょっとだけ、頂戴」

「無理だ。ドラゴンの時に大半の鉄の要素を失った。」

「えーいいじゃん」

すると、袈も説得に加わり

「なぁ、頼むよ。あんちゃん」

と言いながら肩を組み始めた。

「わ、わかった」

と言い、床に転がっている小石を指で二度突き、渡した。

「え、鉄じゃないの」

「少しだけ成分に含まれてたし、内部に空気を取り込んだ。」

「ふーん」

ハルは、小石をすこし怪しい顔をしながら見ていたが、小石を握り締め。外に投げた。

すると数秒後に、ボーンと空砲のような大きな音がした。

「わははは、こりゃたまげたすげえなぁ」

と袈を始め、村の住人をびっくりしたが、宴会を一部と思い盛り上がった。




「そっかそれはすごや」

「ところでダルフ、このあとどうするのだ」

「このあとは、袈の言うギルドにあってみたい」

「ギルド」

「あぁ、なんでもいろいろな国々から集まって出来たギルドらしい」

「ふーん、まぁ決まっているならいいか」

と話も進み、宴は無事終わった。

がここで袈は偉業をなした。村にある酒蔵の大樽を飲み干し、村の男共やダルフやシロンを負かし村の機能を一時期麻痺に追いやった。



その日の夜中

俺は目が覚めて一人デッキへと行き、広い森の景色を眺めた。

すると

「なに子供みたいに夜のおしっこ」

と言いながらハルが来た。

「そんなんじゃねぇ」

くすくすと笑いながら俺の隣に座り

「わかってる、無事に帰って来れたね」

「あぁありがとう」

「ってか、やっと笑った」

「そうか」

「なんだろう、今まで反応が薄かった」

「そうか」

「またぁ」

「わりぃ」

「そう言えば、あいつ・・・なんだっけ」

「ジェスか」

「そうそう、ジェスはどうなったの」

「倒したら川にともに落ち、それっきり」

「なんかあんまり悔しそうにないね」

「いや、面白い戦い方をしてくるやつだよ。もしかしたらやっれてるかも」

「敵に敬意があるってことは余裕だね」

「「・・・」」

ハルが首を振り

「そう言えば、この先はどうするの。旅の目的とか」

「特にない、シロンは目的あるみたいだが、ハルはあるのか」

「私はないよ、一緒に旅しているのも楽しそうだからついてるだけ」

「そうか」

「異国から来たものから言えば、興味を持った方がいいよ。ダルフは目的無さ過ぎる」

「目的ね」

「そういうこと、じゃあ眠いでおやすみ」

「おやすみ」

「良い子は夜更しするなよ」

「あぁ」

「青春だね」

「わぁ」

そこにはセラのお父さんでジットの師匠の酒場の亭主がいた。

「おっさん、なんでここに」

「この村には元々食材などの契約をしていてね、配給が遅いから様子を見に来てたのさ」

「そうか」

「あれれれ、もしかして邪魔した」

「何がだ」

「・・・なんだ」

「いつからいた」

「「・・・」」

「聞いていたのか」

「いや、きいてねぇ。聞かないし。ハルに気づかれたしな」

「あの時か」

「でどうした」

「いやぁすこし黄昏ているのを突っつきにだし、おじさんたのしくて」

「・・・」

「とまぁ、なんだやっぱり迷い少年か」

「ジットと変わらずの、おしめかえようか」

「なんだとぉ」

「冗談、冗談」

「ふん」

「正義のヒーローにはなるなよ、国のことは関係ない」

「スットマンを倒したいなら、国主になるんだな、それができないなら見過ごせ。以上子供は夜更しするなよ」

「くそぉ、ムカつく」

ムカついているダルフだが言い返せなかった。それからすこし夜風に当たり根所に戻る。それらを袈が見てた。



ダルフは寝処から起き上がり、ベランダへと向かった。



街や草原などの空から地面から熱気が襲ってくるような朝ではなく、冷たくさっぱりとした涼しげな朝と薄い霧が、ダルフたちを迎え入れた。



「うーん、ここの朝は気持ちいいな。暑苦しさを感じない」



と言って体を伸ばしていると、後ろから声が聞こえてきた。



「ダルフさん、夜はグッスリと寝れましたか」



敵に屈しず戦う、例の勇敢な青年だ。



「おかげで、ここの朝は気持ちいいですね。」




「そうですね、ここは他の街などと比べて地面が高いところを位置していますし、さらに木の上に建てていますから、涼しく暑さも感じにくい。あと森の中ですから涼しい」




と男は説明してくれて、ご飯の準備が出来ているそうなので、案内してくれた。




向かうとシロンとハルが食べていて、架が食べ終えていた。



「おはよう」



とハルが声をかけ、続いてシロンも挨拶した。最後に大きなゲップをして架が声をかけてきた。



「おぉ、よく寝れたか」



俺は座ってから架の声に反応した。



「ところで、これからどうするのだ」



とシロンが訪ねてきた。その言葉にハルや架が顔をこちらに向けて見てきた。みんなが気なっていることだ、これからの俺たちに重要な事だから。



「俺は、このあと架に付いていきギルドを見てみようと思う」



俺はその事を話してから、架を見たってよりは睨むように力強く見た。これから予定を決めたのだ、架の許可は出てないが許可を出させる。そんな強気で見た。




「俺は、いいぜ」




そんな努力も必要ないってかのように、架は言った。



「そう言う事だ。お前たちはどうする」



二人に聞いてみた。ハルは昨晩のもありすぐにO.K.の答えを出した。少しぶつぶつと言ったあと、賛成の答えを出した。


「そうと決まれば、早速行くかぁ」



架が立ちあがり、言った。食事を済ませて、出立の準備を進め建物を出た。




「みなさん方、この荒れ果て賊に襲われていたララハ村を救っていただきありがとうございます。」




広場に行くと、村長を始め村の人々が集まってお見送りをしに来ていた。





「お世話になりました。」



と村人に別れを告げていると、人々の奥の方で亭主が手を振っていた。




「いってきます」




俺らは門を出て、歩き出した。



門を出てから、俺らは山を下っていた。鳥の羽ばたく音、鳴く音、風が通る音、川の水の音などの自然を感じながら。



「いや、木々の中は落ち着くね」



ハルが大きく深呼吸しながら言う。




「ここは自然の力が強いのだな」



とシロンは周りを見ながら言う。




「自然の力」



とシロンの言った事が3人は理解できずにいた。




「なんだ、知らんのか」




シロンは聞き返す。が誰も言い返せなかった。







「アニマってのは、この世界の五つの基本元素を借りている。無論アニマは魂を力の媒体にしたものだが、それに属性などを加えるときは、この世界の元素が自分に合うものが属性としてなっている。」




シロンは歩きながら説明をした。俺らは説明に納得する位しか反応が出来なかった。




「そして、その五つの基本元素の内の1つが自然の力」


わかる部分に来たところで、納得の反応をする。



「自然の力は、木や風のなど表す。俺の空気の用に。他には人が多い街の中を火の力。ダルフの用に。川や海などを水の力。ジェスの用に。雷や太陽などの光の力。ハルの用に。そして地下や影などの闇の力。の5つの基本元素で成り立っている。」


シロンの重苦し説明に、少し疲労感を感じたが、架が森を出てるとギルドのキャンプに着いたと言う言葉に、俺らは何とか救われた感じがした。




森を向けて草原の中に複数のキャンプがあり、架の呼び声に数人の人が出迎える。



「架よ、単独行動が早い帰参だの」



とギルドメンバーの中でも厳つい人が架に話しかけていた。




「いやぁ、参った参った。イスタロフ殿。俺様はこの御仁方がこのギルドに行ってみたいと言うので案内したのじゃよ」



架とイスタロフと名乗る男同士の話し合いして、何とか段取りよく行くかと思ったら




「…イスタロフだと」





シロンが吠えて、前にできた。







「そうとも、我が名はイスタロフ。このギルド(永遠の行軍(エターナルマーチ))のマスターを務めるものだぁ」




イスタロフは高らかに、両手を広げ天に向かって名乗った。




「きさまぁ、なぜ同盟を破りバビやブテンと連結し、アクロテンと言う国を作って、こんなところでぶらぶらしている。」



シロンが吠えた。どうやらシロンの目的はこのイスタロフらしい。イスタロフはこめかみ辺りを掻きながら答えた





「何も同盟を破って、アクロテンへの持ち掛けをしてきたのはそちらの国の者だが」



イスタロフは軽く答え、シロンを見た





「なに…なら、なぜこんなところで…」




動揺しながら、イスタロフに話す。






「確かに、アクロテンの主軸となるのは、バビ、ブテン、アケニアの国だが、アクロテンの国造りをしたのは、プリオリウム皇国だ」





少し暗い顔をしながら、シロンに向けて言った。



「何だって、あの王族国家が」



動揺の影響はシロンを尻もちを着かせるほどであった。




「もうすぐ百年間となる戦争もこんな終わり方など…」



シロンはよつん這いになり、地面を叩いた。



「そこの御仁、戦士なら立ちあがれ」



と架が言う。その言葉にシロンが架の方に向く。




「戦士なら立ちあがれ」



架はさらに言った。その言葉にイスタロフも反応した。



「そうだぞ戦士ならお主、わしに一撃入れたくはないか。民が王に一撃入れれるのだぞ。」





イスタロフは、わざとらしい言い方をしてシロンに喧嘩を売っている。




「ふん、王様。どうやら俺に殺されても文句は無いみたいだなぁ」




シロンは立ちあがり、イスタロフを睨む。イスタロフも受け答えるかのように、頬笑む。どうやら永遠の行軍は喧嘩集団か




「こりゃおもしれぇ。いいぜ俺様が見届け人をやってやる。」



架が笑いながら、名乗り出た。自分から焚き付けたのに。



「ちなみに、わしは殺さずにしておこう。お主は最低でもわしに一撃を入れれたらお主の望みを満足にしておこう。殺せるなら殺してもかまわないがな」




イスタロフは牛馬(牛と馬の混合種)に乗り腕を組ながら、試合に挑む。シロンも言い返しながら闘いの場に移る。


ギルドのマスターと通りすがりとの決闘という噂は広がり、永遠の行軍のメンバーがぞくぞくと集まった。








「両者位置に着いたことにより、試合・・・開始」




架の掛け声により、両者戦闘体勢をとる。






シロンは左手を後ろに振り、右手を伸ばし錬成、イスタロフは牛馬の頭を沈めさせていた。





「あれは…」




不思議な行動に、二人は驚いた。




「あれは、雷突(ラーファ)」




架が説明した。




「ラーファ、牛馬は火か雷の属性を持つ。あの牛馬は雷の属性。そして牛馬の最大の特徴は突撃の破壊力。それをラーファ。ラーファに寄ってもたらされる威力は山を貫通する。」





と架が説明しているうちに、シロンを鉄鎧の錬成を終え、新たな錬成をし始めた。




「シロンも何かやるみたいだね」


「そうだろ、アイツの目的は簡単じゃない」



二人は安心しながら、話す。と瞬間。凄まじい光が襲った。




バリバリバリバリ


ゴォー







と鳴り響いた。



雷突が起り、シロンのいた辺りで土煙を発たせていた。



「こりゃ驚いたぜ、雷突を受け止めてやがる。」



鉄鎧は牛馬の角を掴んでおり、雷突を受け止めた。そして牛馬を振り投げた。
牛馬は着地して走り出し構え直すが、無数の瓦礫がイスタロフに襲いかかる。
牛馬は瓦礫を避けて構え直すが、また瓦礫が襲いかかる。





「なるほど、あーやって瓦礫で距離をとり雷突を封じているのか」



ハルは納得したかの様に話すが、牛馬は雷を纏いながら襲う。





シロンは2手に別れて回避するが、イスタロフは構えていた剣を抜き取り、シロンの左腕を切りつけた。



「うぅ…」





牛馬は引き返して立ち止まり、イスタロフは話しかけた。




「さぁ、もうお主よ、降伏したらどうだい。早めに状況を見定めるのも勇気だ」




イスタロフは試合の終了を問いかけるが、シロンは納得しなかった。



「お前が、降伏しろ」




シロンが言うと地面から術式が発動し、イスタロフの周りを鋼鉄の壁が前後左右へと出現して閉じ込めた。



「おお、中々なの仕込みっぷりに貫禄した。だが上が空いているぞ、イスタロフ、上は抜けぬと思われたか。」




壁に囲まれていてイスタロフの表情を伺うことはできないが、喋りから余裕を感じる。



「あやつめ、楽しんでやがるな」



と2.5m位のスキンヘッドに肩から白いゾウの牙のようなものを垂らし、背中に毛皮を羽織り和服を着こんだ大男が話しかけてきた。



「これは我峰さん、いつ戻られて」



架が驚き、声を大人しくするこの男…我峰(がほう)。

架の質問に眼を睨むような威圧感を出して答えた。




「雷突の稲光りが見えた頃にきた。でなにやってるし、お前もいる。」




我峰から聞かれた質問に、架が答え様としたら少し離れたところにいた馮今(ひょうきん)と言う男が答えた。




馮今(ひょうきん)。

後々に説明してもらったが、蛮獣のようなお面を被り鎧を身に付けていている。華鳳の将軍で、イスタロフと出会いギルドに加入。

ギルドの順として、イスタロフ、我峰、馮今の順になっている。




「上は、お前を倒すためにあるのさ」


シロンの言葉の後に、イスタロフ遥か頭上に鋼鉄の板が出現。猛スピードで急降下してきた。


「おぉこれでわしを」


イスタロフは剣で落ちてくる板を両断した。


「なめてはこまる」



イスタロフが言い終えた瞬間、イスタロフに大きな衝撃が襲った。



「ぐぅぅう、なんじゃ一体」



牛馬にしがみつきながら言う。


「空気圧。板は斬られるとわかっているがそんなのただの布石。本当は板の上に大量の空気を溜めるのさ、あとは板の出現位置に止めておいた空気を下に抑え込む」



シロンは差し伸べている右腕から、決めた顔をして言うが、鋼鉄の板が砕け鉄鎧をも砕き、シロンを弾き飛ばした。



「ぐはぁぁぁ」



雷突である。


「楽しい試合であったが、我峰が来たのでやめた。雷突で弾き飛ばされ、放電を浴びた。起き上がれまい。ここまでだ」



とイスタロフは、みんなのいるとこに移動した。




その後、架が終了の合図をし、試合は終了した。


イスタロフ。

日焼けした暗い肌、黒い髪、革の鎧にマントに剣。そして雷の牛馬。


この男、強い。





「ガララララァ」


「さぁ、我峰も戻ってきた。宴を始めるぞい」




イスタロフは、また両手を広げ天に向かって、吠えた。



永遠の行軍。
武人揃い・・・戦闘集団 
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