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おぢばにおかえり

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第四十二話 妹達の誤解その八

「それも何度もね」
「だから阿波野さんも観たことがあるんですね」
「大仏さんを」
「そうなんだ、君達は観たことは」
「実はないんです」
「私もです」
 妹達はこう阿波野君に答えました。
「おぢばはよく帰ってますけれど」
「奈良市までは」
「あまり行くこともなくて」
「それで」
「一回行ってみるといいから」
 かなり温和にです、妹達に言っていました。
 そして次は私の方を見てです、にこりとして言ってきました。
「先輩も行かれたことはないのなら僕と」
「はい、是非行って下さいね」
「お姉ちゃん色々な場所に連れて行って下さいね」
「そうさせてもらうね、じゃあ先輩いいですか?」
「何でそこで私に言うのよ」
 何でいつも私に言うのかわかりません、この子の場合は。
「そこで」
「いえいえ、先輩もおぢば以外の奈良県のこと詳しくないですよね」
「それはね」
 天理高校は基本おぢば以外の場所には行けません、それで奈良県にいてもおぢば以外の場所には詳しくないのです。
「そうだけれど」
「じゃあ機会を見てってことで」
「機会?」
「高校卒業したら行けますよね」
 おぢば以外の場所にというのです。
「そうですよね」
「ええ、それからはね」
「じゃあそれからってことで」
 やけに明るい笑顔での返事でした。
「宜しくお願いします」
「じゃあね」
「春休みなんかいいですね」
 勝手に話を進めてきました、このこともいつもですが。
「奈良市行って郡山城とか三輪さんとか長谷寺も」
「多いわね」
「明日香村もありますしね」
 飛鳥時代と言えばそこ、という場所なのは知っていますが実は行ったことがありません。行きたいと思っていても。 
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