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ドリトル先生と春の花達

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第四幕その五

「お花も見て」
「学園の中の」
「そうしています」
「そうですか」
「季節を謡いますよね」
「はい、和歌は」
「ですから」
 それでというのです。
「よくです」
「お花をですか」
「観ています」
「今の季節ですと」 
 春ならとです、日笠さんも応えます。
「菊や梅、桃ですね」
「あと蒲公英もですね」
「そうですね、蒲公英は和歌ではあまり謡われていませんが」
「梅や桃は多いですね」
「そうしたお花もですね」
「観ています」
 実際にというのです。
「そうしています」
「そうですか、では」
「では?」
「桜はこれからですし」
 和歌会の主役となるそのお花はというのです。
「では他のものも」
「お花以外の」
「そうした場所もどうでしょうか」
「行ってですね」
「はい、和歌会の前に」
「そうしてインスピレーションを得る」
「そうされてはどうでしょうか」
 こう先生に言うのでした。
「ここは」
「そうですね」
 少し考えてです、先生は日笠さんに答えました。
「いいですね」
「はい、では」
 先生の返事を聞いてさらに言った日笠さんでした。
「須磨はどうでしょうか」
「須磨といいますと」
「はい、源氏物語の舞台の」
「その一つでしたね」
「あちらはどうでしょうか」
 こう先生に言うのでした。
「須磨の海に行って」
「いいですね」
 先生は日笠さんの提案に笑顔で応えました。
「須磨の海も」
「そうですね」
「春の海ですね」
「そうです、海といえば夏ですね」
「そのイメージが強いですね」
「現代は、ですが」
「かつてはですね」
「ですが和歌の世界ではそうでもなくて」 
 日笠さんは先生にさらにお話していきました。
「それぞれの季節の海を謡っていまして」
「それで、ですか」
「はい、春の海もです」
「謡っていますか」
「その景色の美しさを」
「そうですね、日本の春の海はです」
 よく見る神戸のそれから言う先生でした。
「観ていてです」
「奇麗ですね」
「はい、そう思います」
 実際にというのです。
「僕も」
「そうですね、では」
「あちらにですね」
「行きましょう、それで日は」
 日笠さんは先生にさらに言いました。
「日曜はどうでしょうか」
「今度の日曜ですか」
「はい、この日はどうでしょうか」
「わかりました、その日は僕もオフですし」
「それでは」
「参りましょう、教会には朝早くに礼拝をしに行きます」
 それは忘れない先生でした。 
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