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デブは嫌

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第四章

「明日だな」
「うん、親が迎えに来てくれてね」
「退院だな」
「そうなるね」
「ああ、ただな」
「ただ?」
「親御さん達は毎日来てくれたよな」
 彬はまずこのことを確認した。
「そうだな」
「君もね」
「俺はまだ来ていない日があっただろ」
「一日か二日だけだったじゃない」
「それでもそうした日はあった」
 実際にというのだ。
「俺もな」
「凄く嬉しかったよ」
「だったらいいがな、あと他の連中も来たな」
 クラスメイト達もとだ、彬は太にさらに問うた。
「そうだったな」
「うん、そうだったよ」
「それは何よりだ、しかしな」
「しかし?」
「あいつはどうだった」
 知子、彼女はというのだ。
「どうだったんだ」
「来てないよ」
 太は彬にすぐに答えた。
「あの娘に近い娘達もね」
「そうか、やっぱりな」
「やっぱり?」
「周りの連中もそうだったんだよ」
 その彼女達もというのだ。
「そうした連中だったんだよ」
「そうした連中って」
「御前が入院したのはあいつが原因だ」
 告白を体型から否定した、太はそれが傷になってそうして無茶なダイエットに走った。そうして入院したが。
「しかしそれに責任を感じていないか感じていても逃げた」
「だから言うんだ」
「そんな連中だってな」
 彬はその声を怒らせていた、明らかに。
「言ったな」
「うん、確かにね」
「人を体型だけで評価する様な奴はだ」 
 まさにというのだ。
「その程度の。碌でもない奴なんだ」
「じゃあ」
「そんな奴に振られてもな」
「どうってことはない?」
「そうだ」
 彬は今ここにいない彼女を咎めていた、強い声であった。
「気にするな」
「じゃあ僕のダイエットも」
「ああ、太り過ぎはよくないだろうがな」
 それでもというのだ。
「あまり痩せ過ぎるとな」
「お医者さんにも言われたよ」
 病院の担当医にだ。
「こんなことは二度としない様にって」
「そうだろうな、そしてな」
「その無茶なダイエットは」
「下らない奴が原因だったんだ」
 知子の様なというのだ。
「だからな」
「もうだね」
「気にするな。いいな」
「うん」
 ベッドの中でだ、太は彬に答えた。
「もう二度とね」
「そういうことでな」
「無茶なダイエットはしないし」
「忘れろ」
「そうするよ」
 確かな声でだ、太は彬にこうも答えた。
「もうね」
「そういうことでな、学校に戻ったらな」
「普通に暮らすよ」
「そうしな
 こう言ってだ、そのうえでだった。
 太は退院してからはもう知子に見向きもしなかった、彬は彼女を睨んでいたが。そして普通の体重に戻ったがそれはあくまで健康の為だった。


デブは嫌   完


                  2017・7・16  
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