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黒髪

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第三章

「大問題よ」
「茶色や赤や白の人はどうなるって」
「もっと言えば目とかね」
「カラコン入れろとか?」
「あれ目への負担大きいらしいわよ」
 そうした話になっているのだ。
「だからね」
「青い目限定にしろとかね」
「問題よね」
「どうしても」
「大騒ぎになるわよ」
 アメリカではというのだ。
「絶対に」
「お肌の色になると」
「アメリカで?」
「それこそ恐ろしいことになるわよね」
「人種問題になってね」
 アメリカで最も注意されているこのことでというのだ。
「その学校潰されるわよね」
「確実にね」
「そこまで極端でなくても」 
 目や肌にまで話はいかなくてもだ。
「アメリカで髪の毛の校則なんてあったら」
「大問題よね」
「確実にね」 
「お国が違っても日本でもね」
「地毛の人に無理に染めさせるとか」
 黒髪でなくても茶髪でなくてもだ、一つの色に統一して。
「変な校則よね」
「毛染め駄目って言ってて黒髪に染めろとか」
「おかしいわよね」
「どう考えてもね」
「だからあの校則もね」
「変わってよかったわ」
 こう二人で話すのだった、ひかりは確かに自分の黒髪が好きだ。だがそれでもそうした話はどうかと思った。
 それでだ、母にも家で話をした。
「黒髪じゃなくてもいいわよね、地毛が」
「そりゃそうでしょ、金髪は金髪でね」
 母もこう娘に返す。
「いいでしょ」
「そうよね、やっぱり」
「ええ、何か最近そうした話が話題になってるけれど」
「地毛ならね」
「それでいいのよ」
「そうね、じゃあ私はこれからもね」
 ここでまた自分の黒髪を見た。
「私は黒髪のままでいるわね」
「そうするのね」
「よく手入れしてね」
 その自慢の黒髪を維持するというのだ、こう話風呂に入った時はシャンプーもリンスもコンディショナーもして拭くのも丁寧にした、そうしつつ自慢の黒髪を大事にするのだった。


黒髪   完


                2017・10・30 
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