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真田十勇士

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巻ノ百六 秘奥義その七

「それでご本家を陥れるなら」
「それならですな」
「容赦はせぬ」
「そうお考えですな」
「そのつもりじゃ、許せぬ」
 絶対にというのだった。
「その時はな、そしてな」
「何かあれば」
「大久保殿の槍が動く」
「そうされますか」
「そのつもりじゃ、見ておるのじゃ」
 大きぼはまた言った。
「あの親子もな、それと切支丹じゃが」
「はい、あの者達ですな」
「今は幕府も認めていますが」
「それが、ですな」
「どうにも」
「禁じられる様じゃな、そしてな」
 それにというのだ。
「あの者達は危ういな」
「ですな、かつて本朝の民を外に売り飛ばし」
「そして奴婢にしておりました」
「その様なことをしますから」
「本朝の乗っ取りも考えているとか」
「ならばですな」
「禁じるのも当然」
「左様ですな」
 周りの者達も口々に言った。
「民を奴婢にしたりお国乗っ取りまで企むなら」
「それならばですな」
「容赦せずに」
「禁じるべきですな」
「わしもそれは同じ考えじゃ」
 大久保にしてもというのだ。
「さもないと国も民も危うくなる」
「だからですな」
「切支丹に対しては」
「本多殿や崇伝殿と同じですな」
「別に教えはいいのじゃ」
 切支丹のそれはというのだ。
「よい教えであろう、しかしな」
「その教えとは裏腹にですな」
「民を外に売り奴婢にするなぞ」
「全くの言語道断」
「お国乗っ取りも企てるなぞ」
「どんな悪質な坊主でもな」
 日本にいる彼等よりもというのだ。
「せぬことをする」
「人買いですな」
「それもかなり性質の悪い」
「そうしたことを坊主がするとは」
「伴天連は何なのか」
「しかも神仏もじゃ」
 こちらもというのだ。
「認めぬという」
「ですな、大友家においてもです」
「それで神社仏閣を壊していました」
「他の教えを認めぬとは」
「どういうことか」
「そんな者達を入れるとじゃ」
 それこそというのだ。
「天下が乱れまことにじゃ」
「乗っ取られる」
「だからですな」
「許せぬ」
「禁じるしかないですな」
「そうじゃ」
 その通りというのだ。
「あの者達はな」
「大御所様もそうお考えですし」
「無論上様も」
「ならば」
「切支丹はじゃ」
 何としてもというのだ。
「許せぬ」
「本朝には入れられぬ」
「絶対にですな」
「民の為に」
「そして天下の為に」
「そういうことじゃ、さて夜じゃしな」
 ここで大久保はこうも言った。 
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