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痩せさせよう

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第三章

「このままいけばね」
「そうだね。それじゃあね」
「このまま続けていくわね」
「そうしなさい。猫もね」
「太り過ぎはよくないよね」
「やっぱり」
「そうよ。猫もね」
 とにかくトラは太っています。太り過ぎと言っていいです。
 ですから家族であえてダイエットさせているのです。それ故にでした。
 お母さんはトラにです。こう言ったのです。
「あんたわかってるわよね。痩せなさい」
「ニャア?」
 言われたトラは顔をお母さんに向けてこう鳴いてきました。トラは何もわかっていない感じです。それと共に気付いてもいない、そんな感じです。
 そのトラを見ながら笑顔でになって言うのでした。
「痩せたら虎になるんだから」
「トラが虎になるんだよね」
「強い虎に」
「そうよ。痩せた強い虎にね」
 お母さんは今度は子供達、歩と友則に言います。
「絶対になるから」
「じゃあその為にも痩せてもらおう」
「そうしようね」
 子供達は笑顔で話していました。ですが。
 トラは確かに痩せました。体型はすらりとしたものになりました。それで歩と友則はそんなすらりとしたトラを見て大喜びでした。しかし。
 お母さんはお父さんと二人にです。困った顔でこう言いました。
「体型は変わったけれど」
「それでもなのかい?」
「何かあったの?」
「一体」
「うん。昨日体重計ったら」
 トラの体重は時々計っています。それで昨日もそうしたのです。
 その結果です。わかったことは。
「体重は変わってないのよ」
「えっ、トラ痩せたじゃない」
「それでもなの?」
「そうなのよ」
 困った顔になってです。お母さんは子供達に言います。
「痩せてもなのよ」
「何で痩せたのに体重変わらないの?」
「それっておかしくない?」
「だよね。もうトラデブじゃないよ」
「それなのにどうして」
「ああ、それはな」
 お父さんがここでいぶかしむ子供達に言いました。
「筋肉がついたんだよ」
「筋肉?」
「筋肉がついたからなの?」
「それでトラの体重は変わらないの」
「デブじゃなくなったのに」
「お肉には二つあるんだよ」
 お父さんは笑顔で子供達に話していきます。
「筋肉と脂肪があってね。トラはこれまでは脂肪が多かったんだ」
「それが筋肉ばかりになったの」
「そうなったの」
「そうだよ。それで脂肪は軽いけれど」
 だがそれでもだと。お父さんはさらに話していきます。 
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