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真田十勇士

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巻ノ百五 祖父との別れその六

「百歳までじゃ」
「生きてか」
「そのうえで大往生してはどうじゃ」
「それは並大抵では出来ぬぞ」
「だからこそ目指してはどうじゃ」
「それでか」
「そうじゃ、目指してはどうじゃ」
 これが猿飛の祖父への言葉だった。
「これからな」
「お主がそう言うならな」
「そうじゃ、もうここまで来たらな」
「百歳までじゃな」
「生きてそしてじゃ」
「大往生か」
「そうしてわし等の天下での働きを聞いてな」
「そう言うか。ではな」
 大介は孫のその言葉に頷いた、そうしてから言葉を返した。
「百歳、目指すぞ」
「ではな」
「ここで猿達と共に暮らしつつな」
「風や虫の噂からじゃな」
「お主達の話を聞こうぞ」
 大介もまた約束した、そしてだった。
 幸村もだ、大介に微笑んで言った。
「ではこれで」
「はい、九度山にですな」
「帰ります」
「そうされますな、しかし」
「はい、九度山に何時までいるかといいますと」
「そのつもりはなく」
「時が来れば」
 その時はというのだ。
「働きます」
「その時を待っていますぞ」
「ご祖父殿もですな」
「はい、先程佐助に話した通りです」
 まさにというのだ。
「待っております」
「そうですか、それでは」
「期待しております、そして」
「そしてですな」
「百歳まで生きますぞ」
 大介は幸村に自分から話した。
「必ず」
「そうして頂きますか」
「是非、人間天命というものもありますが」
「その天命もです」
「その者の働き次第ですな」
「はい」
 その通りだというのだ。
「ですから」
「生きようとすることですな」
「そうです、長生きをしようと思えば」
「長生きも出来ますな」
「ですから」
「それがしもそう思います」
「ですな、では」
「それがし、百歳を目指します」 
 そこまで長生きすることをというのだ。
「是非」
「そのこと、拙者も願います」
「そう言って頂きますか」
「心から」
「ではまことに養生し生きる様にしていきます」
「気も溜めてですな」
「仙人を目指し」
 そしてというのだ。
「百歳まで」
「長生きをされるか」
「そうしましょうぞ」
「では果心居士殿の様に」
「話は聞いておりまする」
「あの御仁の様になられるか」
「目指します」
 仙人とも言われている彼をというのだ。 
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