とある3年4組の卑怯者
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14 乱入
前書き
藤木の学校の3年2組の男子・堀内竜一。自分のクラスの授業をほったらかしにしてよそのクラスの授業の邪魔をするとんでもない男子である。はまじ、ブー太郎、関口が彼の悪口を言っていた所、運悪く関口が堀内に襲われ、笹山、城ヶ崎、そして大野と杉山が現れても事態は収まらず、戸川先生の登場で喧嘩は収まる。しかし、皆堀内への憎悪を残すのだった!!
授業前の朝、2組の学級委員を務める横須修太は堀内の行いに頭を悩ませていた。
(まったく、あいつめ、2回連続で音楽をサボっていやがる。今日は絶対止めるぞ!)
そう思い、同じ学級委員を務める南江沙里奈に相談しようと話しかけた。
「南江、今日こそ堀内を音楽の授業サボらせないように止めようよ」
「ああ、そうね、まずアイツに釘をさしましょうよ」
「そうだね、僕もそう思ったところさ」
その時、堀内が教室に入ってきた。
「ねえ、堀内君」
南江が話しかけた。
「何だよ」
「今日の音楽の授業、絶対サボるなよ」
「うるせえ!!」
堀内は横須が言い終わらぬうちに口を開いた。
「途中で抜け出して他のクラスの邪魔するなよ!」
横須がイラついて言った。
「うるせえ!!」
「うるせえ、ってあんたわかったの!?」
南江も怒ってかかる。
「うるせえ!!」
「とにかく今日は笛のテストだからね、休むなよ」
横須はそう言って南江とともに堀内から離れた。堀内は離れる二人に向かって「うるせえ!!」と叫んだ。
(ったく、余計なお世話だ、ボケェ!!)
2組は3時間目は音楽の授業のため、生徒たちは音楽室へ向かっていた。横須は堀内に目を光らせた。
「じろじろ見てんじゃねえよ!!」
「そうしないと、君サボるからね」
「行くに決まってんだろ、バーカ!!」
「ならいいけど」
その後横須は堀内を監視しながら音楽室へ向かった。堀内は途中で逃げることなく音楽室へと着いたのでよしと思った。が、その笛のテストにおいて堀内の番が終わったとき、堀内が急に、腹を抱えた。
「先生、俺お腹が痛くなったのでトイレに・・・」
「堀内君、そういって授業抜け出す気でしょ!?」
南江がいち早く堀内を睨みつけた。
「うるせえ!!」
音楽の大石先生が喧嘩を止めた。
「まあまあ、二人とも。堀内君、行ってらっしゃい。必ず戻ってくるのよ」
「先生、僕も付き添います」
横須はそう言って付いて行こうとした。
「来なくていい、一人で行けるぜ、バーカ!!」
堀内は全力で音楽室を走り去った。
「おい、堀内!!」
横須は連れ戻そうとした。が、大石先生から担任の先生に言うから安心しろと言われたので止められた。
「クソ、駄目だったか・・・」
横須は諦めて自分の席に着いた。
4組は算数の授業中だった。
「それではこの1番の計算を丸尾君、2番を穂波さん、3番を山根君、お願いします」
呼ばれた丸尾、たまえ、山根は前に出て黒板の計算に取り掛かった。その時、急にドアが開いた。皆が驚いてドアの方を向く。堀内だった。藤木は嫌な予感しかなかった。いつものことだが。
(ほ、堀内・・・、今度は何しに来たんだ・・・!!)
堀内は入ってきて笹山に話しかけた。
「おい、かず子ちゃん、今日はどんなパンティ穿いてんだい?!」
笹山が嫌な顔をする。
(堀内・・・、笹山さんをそんな馴れ馴れしく呼んで・・・!しかもそんな嫌らしいことを・・・!)
藤木は心の中で怒りに溢れていた。
「おい、かず子ちゃん、返事しろよ、おい、かず子ちゃん!!」
笹山は堀内から顔を背けた。すると、堀内は笹山の机を揺らした。
「やめて!!」
「じゃあ、どんなパンティ穿いてんだい?!答えろよ!!」
「堀内君、自分のクラスの授業に戻ってください」
「うるせえ!!」
堀内は戸川先生に向かって言った。丸尾が怒鳴る。
「堀内君、先生に向かってその口は何ですか!ズバリ、失礼でしょう!」
「うるせえ!!なあ、おい、かず子ちゃん!!パンティ何色だよ?!」
その時、藤木は己を抑えられなくなり、自分の席から飛び出した。
「やめろよ、堀内君!笹山さんが困っているじゃないか!」
(藤木君・・・!?)
「うるせえ!!」
「うるさく思うなら出ていってくれ!!」
藤木は堀内の体を掴み、廊下へ投げつけようとして堀内に尻餅をつかせた。
「てめえ、何しやがる!」
堀内が藤木に襲い掛かろうとした。藤木は慌てて逃げた。
「待ちやがれ、この卑怯者があ!!」
堀内が藤木を追いかける。が、大野と杉山が堀内の前に立ち塞がり、堀内を止めた。
「もういい加減にしろ、堀内!」
大野が言う。
「うるせえ!!放せ!!」
大野と杉山は堀内を教室の外へ連れ出すことに成功した。が、また堀内が入ってくる。
「さっさと授業に戻れ!」
杉山が怒鳴る。そして4組皆が堀内を睨みつける。温厚な戸川先生までもが怒りを見せていた。
「堀内君、この事は担任の先生に報告します。自分のクラスの授業に戻りなさい」
「ああ、分かったよ、戻りますよ、へっ!」
堀内は気に食わなそうに去った。その約13分後、授業が終わった。
「藤木君、さっきのカッコよかったわ。正義感強いのね」
リリィが藤木に話しかけた。
「いやあ・・・」
藤木は赤面した。その時、笹山が近寄ってきた。
「藤木君、さっきは私を助けてくれてありがとう・・・」
笹山がやや照れてお礼をした。
「え、う、うん・・・」
藤木も照れた。城ヶ崎も現れた。
「笹山さん、大丈夫?ホントヒドイわよねっ!」
「うん、もう大丈夫よ・・・」
「ねえ、堀内って人そんなに悪い人なの?」
リリィが聞いた。
「ええ、そうよ、アイツはホントろくでもないし、皆をムカつかせることしかできないんだからっ!」
城ヶ崎が返答した。
「そうなんだ・・・」
藤木は好きな人が二人今ここで顔を合わせていることに僅かな戸惑いを感じていた。
(リリィ、まさか僕が笹山さんに気が移ったと思っているのかな?確かに笹山さんも好きだけど・・・)
藤木は笹山を見た。そして昔を回顧していた。
(そういえば、1年生の頃から笹山さんが好きだったな・・・。あの時は違うクラスだったけど・・・)
藤木はふと、笹山に初めて恋した事を思い出すのだった。
後書き
次回:「恋路」
藤木は思い出す。初めて笹山に恋した1年生の頃を。そしてそれから彼女を想い続けた日々を。だがその時、堀内が再び4組の教室に現れ、藤木に復讐をしようとする・・・。
一度消えた恋が蘇る時、物語は始まる・・・!!
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