町鼠ジョニーのお話
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第一章
町鼠ジョニーのお話
ジョニーは自分の住処である町に戻っていました、ですがそれから歳月が経ってです。お友達の黒鼠のヘンリーに言いました。
「実は昔村に行ったことがあるんだ」
「村っていうと?」
「ここから結構行った森や湖が傍にあるね」
「自然の場所にだね」
「うん、人間ものどかな農家ばかりでね」
「こんなにごたごたしていないんだね」
ヘンリーはここで周りを見回しました、周りはとても人が多くて皆右に左に動いています。レストランの裏ですが何かと大変な状況です。ジョニー達はその裏でレストランの残飯を拝借してそれで御飯にしているのです。
「そうなんだね」
「静かで落ち着いた場所だよ」
「それは何より。けれどいきなりその村の話をしたけれど」
「そのことだね」
「一体どうしてなのかな」
「うん、どうしたもこうしたもなくてね」
ジョニーは残飯の中から見付けた胡桃の粒を齧りながらお話しました。
「またそこに行ってみたくなったんだ」
「そうなんだ」
「もう二度と行きたくないって思っていたけれどね」
ジョニーにとっては自分に合わない場所でした、それでそう思ったのです。
「今思うといい場所も多くて」
「それでだね」
「また行きたくなったんだ」
その村までというのです。
「旅行にね」
「じゃあ今から行くのかな」
「そうしようかな」
実際にというのでした。
「思い立ったらだしね」
「じゃあ僕も一緒に連れて行ってくれるかな」
ヘンリーはジョニーのお話を聞いてこう申し出ました。
「そうしてくれるかな」
「君も行きたいんだ」
「お話を聞いたら興味を持ったよ」
だからだというのです。
「それでね」
「それじゃあ」
「うん、一緒に行こうよ」
「よし、じゃあ今から村まで行く車に乗ってね」
人が動かすそれにというのです。
「行こうね」
「よし、それじゃあね」
「車に乗っても隅っこにいれば見付からないよ」
「人間達にはね」
「だから何の問題もないから」
「今から村に行くんだね」
「そうしよう」
ジョニーはヘンリーにケーキの残りを渡しながら言いました。
「お弁当とかも持って」
「お弁当ならもうね」
ヘンリーはジョニーの言葉を受けてです、明るく応えました。
「残飯から何でも持って行って」
「そうしてだね」
「お弁当にしよう」
「よし、じゃあローストビーフにコールドチキン」
「胡桃にアーモンドにチーズにね」
「ピクルスやシチューのお野菜の残り」
「何でもあるよ」
お弁当として持って行けるものはというのです。
「じゃあ何でも持って行って」
「持って行けるだけね」
「水筒には紅茶やジュースを拝借して」
「少しだけね」
人間達から見れば気付かない位です。
「そして行こう」
「お弁当はたっぷり」
「それだけ持って行ってね」
二匹で楽しくお話してでした、そのうえで。
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