転生とらぶる
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ペルソナ3
1800話
「ペルソナ!」
その叫び声と共に、頭に銃口を向けた召喚器を使い、イオを召喚するゆかり。
召喚されたイオは、木の根の王冠のシャドウ……荒垣曰く、囁くティアラに向かって突っ込んでいく。
囁くティアラに比べると、イオは……もしくはペルソナはと表現すべきか? ともあれ、イオはかなりの大きさを持ち、正面からぶつかった場合、囁くティアラが吹き飛ぶのは当然の結果と言ってもよかった。
ましてや、囁くティアラはスライムの如き外見をしているマーヤ系列と違って空中に浮かんでいる。
当然のようにイオに正面からぶつかられた時に堪える事が出来ない。
そうして吹っ飛んでいった囁くティアラだったが、それでもやがて空中で何とかとどまり、イオに向かって火の玉を……アギを放つ。
だが、その火の玉をイオはあっさりと回避し、その姿を消す。
「ペルソナ!」
再度響くゆかりの声。
その声に従うようにして現れたイオが、再び囁くティアラに襲いかかり……2度目の突撃には耐える事が出来なかったのか、やがて囁くティアラは消滅する。
やはり、何だかんだと1人で戦闘をするのは緊張するのか、息を整えているゆかりを見ながら、俺は隣で同じく様子を窺っていた荒垣に視線を向け、口を開く。
「なぁ、ペルソナが出ている時間ってのを伸ばす方法はないのか?」
荒垣から聞いた話によると、基本的にペルソナを出していられる時間は数秒から、長くでも十数秒といったところだ。
だが、それだけしか召喚出来ないとなれば、当然のように攻撃をする直前に召喚するしかない。
ましてや、毎回のように召喚しなければならないというのは、色々な意味で面倒でしかない。
そうである以上、召喚している時間を出来るだけ伸ばす方法を考えるのは、当然だろう。
だが、荒垣は俺のそんな言葉に首を横に振る。
「悪いが、俺の知ってる限りだとそんな事は出来ないな。勿論、俺が知らないだけでペルソナをずっと出しておける方法というのはあるかもしれない。……ペルソナについて調べている桐条グループ辺りになら、その辺りの情報があるかもしれないが」
「結局そっちから情報を回して貰う為には、向こうにこっちの情報が漏れるのは確実……か」
「ああ」
個人的には、俺の情報なら幾ら向こうに漏れてもいい。
何しろ、俺はこの世界の人間じゃないし、どうにかして俺を捕らえようとしても影の転移魔法がある限り、俺を捕らえる事なんてのは無理なのだから。
だが、ゆかりの場合は違う。
そもそも、桐条グループに対して思うところがあるのだから。
そうなると、やっぱり忍び込む必要があるのだが……アクセサリー屋と違い、そもそも桐条グループでシャドウとか影時間とかペルソナとかを研究している場所が分からない。
荒垣に、どこでその辺の研究をしているのかを聞いてみてもいいのだが、桐条グループとは関わらない方向で進めているというのに、わざわざその辺の話を聞くというのも、こっちを怪しんでくれと言ってるようなものだろう。
ましてや、その話を聞いてからすぐに桐条グループの研究所とかに襲撃を仕掛けたりすれば……ああ、別に荒垣に聞かなくてもいいのか。
桐条グループの持つ研究所かどこかに侵入して、そこからシャドウミラーの技術班謹製のハッキングツールを使って情報を抜き出せばいいのだから。
よし、ならわざわざ荒垣にその辺について話を聞く必要はないな。
「分かった。じゃあ、その辺はこっちで独自に研究していくよ。ゆかりはそれなりにペルソナを使えるようになってきているし」
その言葉に、荒垣は微妙な表情を浮かべる。
まぁ、実際ある程度ペルソナを使いこなせるようになってきているのは間違いないが、それが他の面子……荒垣を始めとして、以前からペルソナを使っていた者達と同様かと言われれば、間違いなく否と言うしかないのだから。
だが、ペルソナに覚醒したのが昨日で、実際にきちんと使うようになったのが今日からだと考えれば、十分にペルソナを使いこなしている方だと思うんだが。
ともあれ、現在の俺達がいるのは4階。
2階と3階では色々と歩き回って、ゆかりがペルソナを使って戦う為の訓練に費やしてきたのだが……相変わらず、タルタロスは毎日影時間になると構造が変更するんだよな。
おかげで、タルタロスの内部をスムーズに移動する事は出来ない。
出来れば、何とかこの毎日のように内部構造が変化するのを止めて欲しいところだが。
「ねぇ、アクセル。そう言えば明日の準備はしてる?」
こっちに近づいてきたゆかりが、不意にそんな風に声を掛けてくる。
明日? と一瞬疑問に思うも、すぐに花見の事だというのを理解する。
まだ2月だというのに、何故かもう桜が咲いているというのを、TVでやっていたのだ。
それで、折角だから花見に行こうという話になったんだが……
「準備と言ってもな。何か必要な物はあるか? 料理とかは、それこそ明日にでも花見に行く前に買えばいいだろうし」
「……花見?」
俺とゆかりの会話に首を傾げる荒垣。
どうやら、2月に咲いた桜という話は知らなかったらしい。
「まだ2月なのに、桜が咲いた場所があるんだよ。丁度TVでやってたからな。それを見に行こうと思って」
「……随分とアグレッシブだな、お前達」
「俺の場合、影の転移魔法があるからな。多少遠い場所であっても、特に問題なく移動出来るし」
そう告げると、何故か荒垣は再び呆れた表情を浮かべる。
「お前については、もう考える事を諦めたよ。本当に、お前はどこからやって来たんだ?」
「さてな。ま、世の中には知らない方がいい事もあるってだけだ」
実際にはそこまでして隠すような事ではないのだが。
いや、普通に考えれば隠すべき事なのか?
「あのね、桜が咲いてても、結局はまだ2月なのよ? その辺を考えれば、やっぱり色々と防寒具とかが必要だと思わない?」
「あー……そう言われればそうかもな」
ぶっちゃけ、俺の場合は特に防寒具とかが必要ないからすっかり忘れてた。
普通に花見をしながら食べる料理だけ用意しておけばいいかと思ってたんだが。
「明日、花見に行く前にそういうのを用意しましょ。アクセルの場合は魔法があるから向こうに行くのに時間は掛からないし」
「それ、正直に羨ましいよな」
しみじみとした様子で、荒垣が呟く。
まぁ、その気持ちも分からないではない。
遠出をする時とか、この世界の人間なら普通に片道数時間とかあったりするのに対して、俺の場合はそれこそ片道数秒掛かるかどうかだ。
……まぁ、旅の醍醐味として電車とかで流れる景色を見ながら駅弁を食うとか、そういうのは楽しめないが。
ああ、でも駅弁だけなら普通に駅に行って買えばいいのか?
風情はないが。
ともあれ、普通に考えれば転移魔法は非常に便利な魔法であるのは間違いない。
「ターミナルの件もあるし、ペルソナとかでも転移能力とか使えるようになってもおかしくないと思うんだけどな」
「……残念だが、その辺りは俺も聞いた事がねえな」
荒垣が残念そうに呟く。
ただ、荒垣はもう随分とペルソナを使ってはいないらしいし、桐条と真田の2人もタルタロスについてはまだ2階とか3階くらいしか行っていないらしい。
つまり、ゲーム的に考えるとまだレベルが2とか3とか、その辺な訳だ。
そうである以上、当然ペルソナの強さもまだ未熟な訳で、転移魔法とかを習得してなくてもおかしくはない。
大抵こういう転移魔法とかは、高レベルな代物だし。
そもそも、ペルソナが成長する事によって、新たな魔法とかを覚えらえるかどうかも不明だが。
ただ、もし何のスキルも習得出来ないのであれば、ゆかりのイオはこの先ずっと回復魔法と敵を轢いたり押し潰したりといった攻撃しか出来なくなる。
……うん? 今更……本当に今更だが……
「なぁ、ゆかり。悪いけど、ちょっとイオを召喚してくれないか?」
「え? まぁ、別にいいけど」
突然の言葉だったが、ゆかりは特に躊躇う様子もなく召喚器を自分の頭部に向け、口を開く。
「ペルソナ!」
その言葉と共に、俺とゆかりの間にはイオが……牛の頭蓋骨に乗った鎖に縛られた女が姿を現す。
そうして現れたイオに……正確には、牛の頭蓋骨の部分に触れる。
うん、普通に触る事が出来るな。
シャドウを押し潰したり轢いたりといったように、物理的な攻撃で倒していたのを考えれば当然かもしれないが、それでも実際にこうしてイオに触れる事が出来るというのは、少しだけ驚いた。
そして俺が触れている状況で、やがてタイムリミットがやってきたのだろう。イオの姿が消えていく。
「……で? 結局何がしたかったの?」
疑問を含んだゆかり声に、俺は口を開く。
「第三者でも、普通にペルソナに触れる事が出来る。つまりこれは、戦闘の途中でいざという時にペルソナを空中に召喚して足場にしたり……といった真似が出来る訳だ」
何故かその言葉に、ゆかりだけではなく荒垣までもが嫌そうな表情を浮かべる。
「何か変な事を言ったか?」
「あのね……一応言っておくけど、ペルソナってのは私の一部みたいなものなの。つまり、アクセルの言うとおりにした場合、私を空中に放り投げて足場にするとか、そんな風に言ってるようなものなのよ?」
「……そうなのか?」
ゆかりの言葉に確認の意味も込めて荒垣に視線を向けると、そこでは荒垣も渋い表情を浮かべながら頷きを返す。
「あー……ペルソナ使いとしてあまり好まないってのなら、取りあえずそういう手段があるという事だけは覚えておいてくれ」
「分かったわよ」
「大変だな」
「……ええ」
何故かゆかりと荒垣はお互いに分かり合ったように視線を交わしていた。
うーん、そんなに変な事を言ったか?
別にそこまで気にするような事じゃないと思うんだが。
そう考え、先程のゆかりの言葉を思い出し、ふと気が付く。
「ん? ペルソナがペルソナ使いの一部的な感じなら……俺はさっき、ゆかりの身体を勝手に触りまくっていたってのと同じなのか?」
口にした瞬間、ゆかりの顔が急激に赤くなっていく。
「い、いきなり何を言ってるよ! 馬鹿じゃない? てか、ばかじゃない!?」
相変わらず、テンパると同じ言葉を繰り返すな。
もっとも、今回は2回目の言葉により力が込められていたようだが。
不意打ちだった分、ゆかりの精神に効果的なダメージを与えられたのだろう。
「あー……うん。悪かった。悪かったらから、こっちに銃口を向けるなって」
召喚器の銃口をこっちに向けるゆかりを落ち着かせる。
元々物理攻撃に対しては絶対的な耐性のある俺だが、だからといって銃口を向けられても平気な訳じゃない。
勿論、召喚器である以上、銃口はあっても当然弾丸の類は出ないんだが。
そうして数分程でゆかりを落ち着かせる事に成功する。
「アクセルは、もうちょっとデリカシーとかそういうのを勉強した方がいいわよ。それにセクハラとか」
落ち着きはしたが、まだこうして不機嫌そうではあったが。
ともあれ、それからも4階を攻略していき、宝箱から幾らかの現金や、何故か出てきた傷薬といったものを入手しながら階段を見つける。
「今日は5階のターミナルでエントランスに戻って終わりって事でいいか? 色々と疲れてるだろうし」
視線をゆかりの方に向けながら、そう告げる。
何だかんだと、今日の戦いは全てゆかりがイオで行った。
そうである以上、ゆかりが疲れているのは当然だろう。
体力的なものそうだが、どちらかと言えば精神的な疲れの方が大きい筈。
……さっきのやり取りで、精神的な疲れが一気に増したのでは? と一瞬思ったが、多分それは気のせいだろう。……うん。
「そうね。誰かさんのおかげで思いっきり疲れたわ」
何故か、ゆかりが俺の方を見ながらそう告げてくる。
俺は無罪だと、胸を張って言いたい。言いたいが……きっと聞いてくれないだろうな。
「ま、俺は今日付き合っただけだし、これで終わるってんなら構わねえぞ。……結局俺がアドバイスしたのは、最初だけだったみたいだけどな」
「そうでもないぞ。ペルソナに詳しい荒垣がいるから、ゆかりも落ち着いてああいう風にペルソナを召喚出来たんだろうし」
「そうよ。荒垣さんがいなくてアクセルだけだったら、一体どんな無茶をさせられた事か」
「……ふん、確かにな」
荒垣は何故かゆかりの言葉に同意するような返事をする。
いや、何でだよ。
「ああ、ちなみに明日からも荒垣には付き合って貰いたいんだが、構わないだろ?」
「はぁ? 何でだよ。岳羽ももうペルソナを使えるようになったんだし、構わねえだろ?」
「ペルソナについて詳しい奴がアドバイザーとして側にいてくれれば、こっちとしては助かるしな」
「……却下だ」
そう呟いた時、少し前までは薄らとではあっても笑みを浮かべていた荒垣の表情は、苦渋に満ちていた。
……どうやら、桐条グループに対して色々とあるゆかりと同様に、荒垣の方にも事情があるらしいな。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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