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和-Ai-の碁 チート人工知能がネット碁で無双する

作者:笠福京世
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第一部 桐嶋和ENDルート
  第13話 古の碁と新しき碁

H11年8月末日 緒方の住むマンション

 緒方精次の見つめる画面の向こうで sai vs akira の対局が終わる。

「ナルホド、これが噂のsaiか。」

「塔矢アキラが手玉にとられるとはな。
 オレとてはたしてどうか……皆がさわぐのも無理はない」

 眺めていたパソコンから目を離し、席を立ってアクアリウムの中で泳ぐ熱帯魚を見つめる。

「アマとは信じられん。まァ、こんなところにプロがウロウロしているというのも確かに変だ」

「Aiと同じくJPNとあるが、どこまでホントか。とにかくインターネットは闇の中だからな……」

「しかし子供ではない。子供の打ち方は粗い。どんな素質がある子でもミスがある」

「そしてAiの碁とはまた違った趣がある。」

 先日の囲碁サロンでの話を思い出す。

――先月に打ったネット碁での一局だ。黒石がAiで白石がオレだ

――ここで白が投了。このAiの碁は君の知ってる桐嶋和の碁か?

――わかりません。僕にはそれほど棋力がありませんから……

――なるほど

――ただ…似ていると思いました

――似ている?

――えっと……自由な……というか……常識に囚われてないというか……すいません。うまく言葉にできませんが……

 岸本空という大学生から聞いた桐嶋和という女性の特徴。その若さには驚いたが逆に柔軟な独創性の根拠として納得もできた。

「Aiは言うなれば未開の地を切り開く新進気鋭の碁」

「比べてsaiの練達さは碁に長久の歳月を感じさせる」

 Aiが現れたのが先月の半ば。以降は姿を見せていない。
 saiは7月の末に現れて1カ月。Aiが消えてsaiが現れた。

「偶然なのか?」

 どちらにせよ桐嶋和と思しき女性を探してみることにしよう。

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H11年秋→冬

 緒方先生と連絡先を交換し、桐嶋和とAiについて調べ分かったことがあれば、互いに連絡することを約束した。

 ただし調べるにしても僕と桐嶋和の関係については、他者に詮索されないよう注意して欲しいとお願いした。

 秋の授業が始まり大学に通う。アキラくんのプロ試験が始まったので囲碁サロンには週1日のペースで通うことにして北斗通信システムのアルバイトは週3日ほどのペースで通う。

 和が海外にいる可能性がないか中韓の囲碁界について情報を集めたが得るようなものは何一つなかった。

 物語への過度な干渉を避けるようAiはsaiが消えた後、月に数日ほどネット碁を行っていた。

 ヒカルが院生になり、アキラくんがプロになり。

 年の瀬を迎えたころ。

 緒方先生から年明けに食事をしながら久しぶりに会って情報交換をしたいという連絡が入った。

 約束の日は新初段シリーズで、アキラくんと座間王座の対局が行われた日の夜だった。
 
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