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真田十勇士

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巻ノ百 後藤又兵衛その十四

「心から思っておる」
「そうですな、では戦になれば」
「出来れば共に戦おうぞ」
「そうしましょうぞ」
「そしてじゃが」
 後藤は清海にあらためて言った。
「御主にわしの槍術の全てを教えるからな」
「免許皆伝になり」
「そしてじゃ」
 そのうえでというのだ。
「縦横に働くのじゃ」
「戦の際は」
「よいな、戦になれば見せてもらうぞ」
「わかり申した」
「免許皆伝まであと少しじゃ」 
 清海の腕から見ればというのだ。
「だからな」
「はい、修行をですな」
「これからもしてもらうぞ」
「楽しみにしております」
「修行は好きか」
「身体を動かすことなら」
 清海は後藤に笑って答えた。
「何でもでござる」
「そうか、ではな」
「はい、明日もですな」
「今日は皆しこたま飲んでおるからせぬが」
 朝から夕方まで動き通しだった、この日も修行することはしているのだ。それも普通の修行よりも遥かに激しい密なものをだ。
「明日も日の出から起きてな」
「そうしてですな」
「修行じゃ」
 それをはじめるというのだ。
「よいな」
「わかり申した、それでは」
「明日も楽しむぞ」
「ははは、修行と三度の飯と酒は大好きですぞ」
 清海の笑みは後藤に負けないだけ大きなものだった、口も声も。
「それでは」
「うむ、共に楽しもうぞ」
「拙者も」
 幸村も笑って言った。
「そうさせて頂きます」
「三人でじゃな」
「それがしも修行が好きです」
「真田殿は学問もじゃな」
 後藤は幸村のこのことも指摘した。
「左様ですな」
「学問もですか」
「毎日読んでおられよう」
 このことも言うのだった。
「書を」
「お気付きでしたか」
「気付かぬ筈がないわ、毎夜遅くまで読まれておるからのう」
 だからだというのだ。
「気配でわかったわ」
「学ぶそれで」
「そうじゃ、毎夜遅くまで学んでおられるな」
「身体を動かすとどうにもです」
「書を読みたくなるか」
「幼き頃からそうした性分でして」
 それでというのだ。 
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